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【東京】基本的役割、未来につなぐ

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(2017/9/8)



 


【東京】基本的役割、未来につなぐ

〜安全・安心・快適〜


 



渡辺志津



 1300万都民の生活と首都の都市活動を支えるインフラ。24時間365日休むことなく機能させながら、老朽化した施設を更新し浸水対策を実施する。多くの使命を帯びた下水道事業だが「都民の多くはトイレの水を処理する∴ネ外の事業内容を知らない。われわれにとってはショッキングだが、それも事実」。東京都下水道局の渡辺志津男局長はそう語り、重要な都市インフラとして都民の理解を得るため「見せる化」が必要だと言う。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催と、その後の東京の在り方を見据えながら、どのように事業を展開するのか。話を聞いた。





都民理解得て事業を推進





―下水道に求められる役割が多様化している。事業推進に当たっての課題をどう考えているのか。

「災害などどのような状況下にあっても、都民生活あるいは社会経済活動を支えている重要なインフラとして、下水道の機能を欠かすことはできない。下水道サービスの質向上を目指す上で、技術の継承、下水道の見せる化、ネットワーク化の大きく三つが重要だと考えている」

「当局の20〜30代の若手職員の割合は10年前に2割未満だったが、現在は約4割に増えている。10年後にはその割合は6割程度まで増える見込みだ。組織に活気をもたらすという意味では良いことだが、反面、事業を熟知した職員がどんどん減っていく。計画立案から設計、工事、その後の運営、維持管理まで専門的な知識や経験が求められることを考えると、技術の継承をしっかりと進めなければならない」

「都民アンケートの結果などを見ると、例えば多くの事業費を投入して進めている雨水対策などの事業を知っている都民は極めて少ないのが現実だ。さまざまな事業を実施する際には地元住民の協力が欠かせない。そのため、まずわれわれが行っている事業を知ってもらうため、局を挙げて見せる化≠ノ取り組むことにした」

「2017年4月には開く・伝える・魅せるの三つの方針と、取り組みの方向をまとめたマスタープランを策定した。年度内に個々の事業の内容と実施時期を明確にしたアクションプランをまとめる」

「ネットワーク化については、情報通信に加え、施設と施設の連絡などの取り組みを進めている。多摩地域には多摩川を挟んだ6カ所の水再生センターがあるが、多摩川を横断する格好でそれぞれの水再生センターを結ぶ連絡管を整備している。相互に融通機能を持たせることによって、効率的な運転や施設再構築時のバックアップ機能を確保することができる。同様に区部についても芝浦水再生センターと森ケ崎水再生センターを結ぶ連絡管を整備中だ」



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再構築、浸水対策など着実に





―現在進めている具体的な事業内容はどのようなものか。

「下水道局では、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催と、その後の東京の在り方を見据え、2016〜20年度の5年間に展開する事業運営の指針として『経営計画2016』を策定している。これに基づき、下水道管の再構築や震災対策、浸水対策、合流式下水道の改善、高度処理、エネルギー・地球温暖化対策を柱に事業を展開している」

「例えば整備年代の古い都心部の再構築(対象面積16300ヘクタール)では、約6割に当たる累計10059ヘクタールの事業を完了させる目標を設定している。多くのインフラが埋設されている道路を掘らずに既設下水道管をリニューアルすることができる更生工法の活用などによって建設費の増大を抑制しつつ、下水道管の再構築の整備ペースを加速している。毎年約700ヘクタールの整備を進める計画で、初年度の16年度はほぼ目標を達成した」

「浸水対策については、多発する局地的な集中豪雨に対応するため、下水道の果たす役割が大きくなっている。豪雨対策下水道緊急プランに沿って、既存の幹線の下に新たな幹線を整備するとともに、促進地区18地区と重点地区5地区の対策を確実に進めていく。大規模な事業は10年程度の期間を要するが、20年大会を前に一部区間を供用するなど一定の効果を発現できるようにする」

「震災への対応としては、新たに指定された避難所や防災上重要な施設などに対象を拡大するとともに、マンホールとの接続部の耐震化について、マンホール浮上抑制対策として、これらの施設と緊急輸送道路を結ぶ道路で実施していく。水再生センターやポンプ所については、想定される最大級の地震が発生した場合でも、揚水や簡易処理、消毒といった震災後においても必ず確保すべき機能を維持するための対策を実施していく」






温室効果ガス3割削減へ





―20年大会を前に東京湾の水質改善なども求められている。環境負荷を低減するためにどのような取り組みをするのか。

「水質改善に向けた事業では、降雨初期の特に汚れた下水を貯留するための施設整備を進めるとともに、高速ろ過施設を組み合わせることで整備のペースを加速する。東京湾や河川に放流する下水処理水の水質をさらに改善するため、これまでの処理法に比べて電力使用量がほぼ同じで一定の水質改善が可能な準高度処理の導入などを進めていく」

「当局はこれまで、エネルギー基本計画である『スマートプラン2014』に沿って、再生可能エネルギーの活用拡大や省エネルギーのさらなる推進、エネルギーマネジメントの導入などを実施してきた。エネルギー活用の高度化やエネルギー管理の最適化を目的とし、総エネルギー使用量に対する再生可能エネルギーなどの割合を24年度までに20%以上とする目標を掲げたものだ」

「これに続き、地球温暖化防止計画として新たに『アースプラン2017』を策定した。下水道事業で発生する温室効果ガス排出量を、2000年度比で20年度までに25%以上、30年度までに30%以上削減するという高い目標を設定。徹底した省エネルギーや再生可能エネルギーの活用拡大に加え、新しい焼却技術の開発や最新技術を先導的に導入することで、地球温暖化対策の取り組みを一層加速させる」





五輪後見据えて施工体制整備を





―下水道局が展開する事業は多岐にわたる。それらを円滑に進める上でパートナーとなる事業者にどのような取り組みを求めるのか。

「都は20年大会を見据えたさまざまな事業を重点的に進めているが、都民の生活や都市活動を支えている下水道事業は大会後も永続的に進めなければならない。そのため、事業者の皆さんには大会後も見据えた人材の確保・育成など中長期的な施工体制の整備をお願いしたい」

「東京下水道は事業者の皆さんとの技術開発によりさまざまな課題解決につなげてきた歴史がある。今後もこうした取り組みを継続していく。特にAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)といった分野については革新的な技術提案を求めていきたい」




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経営計画2016・アースプラン2017の着実な推進を

〜多摩地域の下水道事業〜


 



神山守



 東京都多摩地域の下水道は、市町村の公共下水道と下水道局の流域下水道が一体となって機能することで、多摩地域420万人の生活や都市活動を支えるとともに、多摩川などの水環境の改善や市街地の浸水被害の軽減に大きく寄与しています。昭和43年に始まった流域下水道事業は、来年度、50周年の節目を迎えます。その間、多摩地域の下水道普及率は99%まで向上し、これからは普及拡張の時代から維持管理の時代へと本格的に移行します。

下水道局では、東京オリンピック・パラリンピックの開催とその後のあり方を見据え、下水道サービスのさらなる向上に取り組むため、平成28年2月に計画期間を平成28年度から平成32年度までの5カ年とする「経営計画2016」を策定しました。経営計画の2年目に当たる本年度は、市町村との連携をより一層強化しつつ、下水道施設の老朽化対策、震災対策など、多摩地域のさまざまな課題への対応を着実に進めていきます。






連絡管活用で燃焼効率向上





 流域下水道は現在、施設の老朽化対策、首都直下地震への対応、エネルギー使用量の削減、財政収支の改善など、多様な課題に直面しており、効率的かつ効果的な事業運営が求められています。2017年度は、都民にお約束した経営計画2016の2年目であり、課題解決に向けた取り組みを一層推進し、経営計画に掲げた目標を達成するために、職員一丸となって取り組んでいます。

「水再生センターの再構築」では、定期的な点検や補修などにより土木施設の延命化を図るとともに、アセットマネジメント手法を活用し設備の長寿命化を図るなど効率的な再構築を進めています。また、水処理施設における散気装置などの再構築に併せて、準高度処理・高度処理施設の導入を推進しており、平成32年度末までに、準高度処理と高度処理を合わせた能力の割合を現在の約6割から約8割まで向上させ、より良好な水環境の創出に貢献していきます。

「震災対策」では、想定される最大級の地震動に対し、震災後においても必ず確保すべき機能を担う揚水、簡易処理および消毒施設の耐震対策を流域下水道本部が管理する全7カ所の水再生センターで進めており、東京オリンピック・パラリンピック開催の前年度までに完了させます。

「維持管理の充実」では、水質改善とエネルギー使用量の削減の両立を目指した二軸管理を活用して、水処理施設の運転を最適化し、多摩川のシンボルであるアユなどの水生生物がよりすみやすい水環境の創出に努めています。また、汚泥処理において連絡管の相互融通機能を活用し、焼却炉の能力に応じて汚泥を適正に配分することで燃焼効率を向上させ、使用燃料の削減に努めています(図―1)。さらに、設備については、故障する前に計画的に対策を講じる予防保全の考え方を取り入れることで、稼働率を向上させるとともに、延命化によるライフサイクルコストの抑制を図っています。

「市町村との連携強化」では、広域的な維持管理体制の構築に向けた技術支援や、維持管理、危機管理などのノウハウを提供するため、多摩地域全30市町村と流域下水道本部による「下水道情報交換会」を開催し、市町村と調整を図りながら課題の解決に取り組むことで、多摩地域全体の事業のレベルアップを図っています。また、災害時における下水道機能の確保をより確実なものとするため、2016年度末に多摩地域の市町村と下水道局、協力団体などとで締結した「多摩地域における下水道管路施設の災害時復旧支援に関する協定」に基づく情報伝達訓練を本年度、初めて実施する予定です。

市が管理する「単独処理区の流域下水道への編入」では、八王子水再生センターで編入に必要な水処理施設の増設を着実に進めるとともに、本年度は同センターに液体燃料(重油)に加えて気体燃料(都市ガス)でも運転可能な、重油・都市ガス併用型発電設備(デュアルフューエル式非常用発電設備)の整備に着手します(図-2)。この設備を導入することで、停電などの非常時に自己電源の安定的な確保が図れます。






大規模太陽光発電を導入





 下水道局では、ポンプ設備、送風機設備、汚泥焼却設備など、多くの電力を消費する設備を有しており、下水処理の過程で都内で使用される電力の1%強を使用しています。

このため、温室効果ガス排出量の削減に加え、再生可能エネルギーの活用拡大や省エネルギーの推進に向けた取り組みをさらに進める必要があり、平成29年3月には地球温暖化防止計画「アースプラン2017」を策定しました。そこで、流域下水道本部の取り組みの一端について紹介します。

南多摩水再生センターでは、2017年度から高温省エネ型焼却炉(汚泥ガス化炉)が稼働しており、汚泥が持つエネルギーを使って汚泥焼却を行うことで燃料使用量を大幅に削減するとともに、焼却時の廃熱を活用したバイナリー発電設備(120`h)を導入し、焼却炉で使用する電力の約3割を賄っています(図-3)。また、同水再生センターの地盤高と処理水の放流先である多摩川との高低差が約8bあるという特性に着目して、小水力発電設備(30`h)の工事を進めており、本年度末に完成する見込みです。

さらに、太陽光発電を下水道事業における基幹事業として位置付け、震災時にも活用できる分散型電源として、これまでに多摩川上流・八王子・南多摩・清瀬の各水再生センターで合計2800`hの設備を導入しています。今後も、浅川水再生センターで1000`h(メガワット級)などの導入を進め、平成32年度末までに多摩地域で累計約4500`hまで太陽光発電を拡大導入する予定です。

来年度、流域下水道事業は50周年を迎えます。流域下水道本部は、経営計画2016やアースプラン2017などの計画に基づき、市町村との一層の連携強化を図りながら多摩地域の下水道の信頼性向上と経営の効率化に努めるとともに、東京の下水道全体の発展にも貢献していきます。






連絡管を活用した汚泥処理効率化のイメージ



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<下水道>新技術・工法紹介


 


 


フロートレス工法等 既設管路耐震技術協会





 「フロートレス工法」は、消散弁により地震時に発生する過剰間隙(かんげき)水圧を消散させ、周辺地盤の液状化現象を抑えてマンホールの浮上を抑制する。消散弁は過剰間隙水圧が加わると、受圧板が外れて水圧を消散。地盤側はメッシュ構造になっており、土砂などのマンホール内への流入を防止する。同工法は2013年度土木学会賞「技術開発賞」を受賞。(1)東京都など28(現在は65)都市で採用され東日本大震災でも効果を実証(2)液状化被害を受けたニュージーランドの企業に対する技術供与(3)日本国土の強靱(きょうじん)化に不可欠な技術として海外への貢献にも期待―などが評価された。

「既設人孔耐震化工法(ガリガリ君)」は、マンホールの壁を管外周に沿って切削し、切削溝に土砂の流入を防止するバックアップ材と地下水の流入を防止するシーリング材を充填(じゅうてん)する工法。接続部を耐震化し、インバート部に設置する吸収ゴムブロックは、地震時にも管の破損を防止する。東京都下水道局は、この事業の計画施行によって優秀な成果を収めたとして13年度の「都建賞」を受賞した。

「更生管マンホール接続部耐震化工法(耐震一発くん)」は、更生管のマンホール接続部に、レベル2地震動による抜き出し・突き出し・屈曲などに対する耐震性能を付加するため、更生前にマンホール接続部をフレキシブルな構造に改造する工法。

16年度末の施工実績は、フロートレス工法が74都市で採用されマンホール21700基以上に浮上抑制対策を実施。ガリガリ君は86都市マンホール56000基以上、耐震一発くんは37都市559700管口以上の耐震化を実施した。



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SPR工法 日本SPR工法協会





日本SPR



 既設管内に帯状の硬質塩化ビニール材をスパイラル状にかん合しながら製管し、既設管と更生管の隙間に特殊裏込め材を注入することで、強固な複合管として更生する。製管方式には「元押式」と「自走式」があり、管径や現場状況により選択。製管後、裏込め注入を行い、主に円形管の内径250ミリから5000ミリまでを更生する。

円形、矩形、馬てい形などのあらゆる断面形状に対する更生が可能。急曲線用プロファイルの開発で急曲線でも機械製管による連続施工を可能にした。また、地震を想定した管軸方向ひずみ1.5%の変異に対しても水密性を保持。新潟県中越地震や能登半島地震の震災復旧にも採用されている。

日本下水道新技術機構の「建設技術審査証明書」を取得済み。2013年3月には、高度な生産技術の研究開発などをたたえる第59回大河内賞「大河内記念賞」を受賞した。



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ターボ型流動焼却炉 都下水道局、月島機械





ターボ型流動焼却炉(月島機械)



 東京都では、下水を処理する過程で年間約120万トンの汚泥が発生。これを効率的に処理するため濃縮、脱水、焼却を行っているが、焼却時に大量の温室効果ガスが発生している。ターボ型流動焼却炉は、この温室効果ガスを大幅に削減できる技術として開発された。

流動焼却炉内を圧力状態にし、従来(850度)より高温の870度で焼却することで一酸化二窒素(NO)の熱分解を促進。炉本体が小型化できるため、放熱量の減少に伴う補助燃料の使用量削減につながる。また、焼却炉からの排ガスでターボチャージャーを動かすため、従来設置していた電動式送風機が不要となり、電力量も削減できる。

従来の焼却と比べ、NO削減率は50%以上、補助燃料使用量削減による二酸化炭素(CO)の削減率は10%以上、電力量削減によるCO削減率は40%以上となる。



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バイオガス利用のコージェネ ヤンマー





バイガスマイクロジェネレーションシステム(ヤンマー)



 バイオガスなどメタンが主成分の未利用エネルギーを利用するマイクロコージェネレーションシステムは、下水汚泥などから得られる燃料(メタンガス)で、電気と温水を作り出すシステム。

メタンガスは、二酸化炭素よりも高い温室効果があるため、メタンガスを発電に有効利用することにより、地球温暖化防止に寄与する。バイオガス利用で発生する二酸化炭素の総量は増加しない(カーボンニュートラル)。また高効率機器導入で省エネも実現している。

各種バイオガスや幅広いメタンガス濃度範囲での運転に対応する他、低いメンテナンスコスト、30台までの複数台運転対応、国産エンジン・国産パッケージ部品の採用といった特長を持つ。

牧場のプラントや食品工場などの他、全国の下水処理場での採用が進み、累計の設置台数は300台を超えている。



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オールライナー工法 オールライナー協会





オールライナー工法施工図



 下水道の先進国であるドイツのカナル・ミュラー社が開発した管渠更生技術。ドイツ本国のほか他、欧州各国、米国、オーストラリアに普及している。

材料の品質管理は、規格に適合した製品が合理的に出荷できるよう材料製造メーカーが十分な管理体制を敷き、施工面では独自で資格制度を設けるなど、技術研さんに努めている。また、2014年4月には日本下水道協会が同工法用管更生材を2.類認定適用資器材「下水道用現場硬化型繊維強化プラスチック製管更生材」に、製造メーカーのアクアインテック・オールライナー工場を更生材製造工場にそれぞれ認定し、工場生産から出荷までの品質管理を担保する体制を整えた。

工法の主な特徴は、(1)管種・管径・管形状を選ばず施工可能(2)ライナー厚の確保が万全(3)段差、屈曲でも滑らかな仕上がり(4)非近接施工が可能(5)施工時に環境を汚染しない(6)自立管として所用強度に応じたライナー厚が可能(7)低臭気システム(ALOF)の採用―など。

オールライナーやオールライナーZなど同協会の7工法は、老朽管の修繕・改築に広く採用されており、今後もあらゆるニーズに対応していく。



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シームレスシステム工法 光硬化工法協会





シームレスシステム工法(光硬化工法協会)



 シームレスシステム工法は、メインライナー(本管)、ラテラルライナー(取付管)、ユナイトライナー(接続部)により本管から取付管まで下水道の一体更生が可能。紫外線照射によって確実に硬化し、シームレスな更生管路がスピーディーに完成する。施工設備が少なくコンパクト、施工時間が短時間であり、COの排出量も抑制できる。

施工は、メインライナーを既設管内に引き込み、圧縮空気で既設管内面に圧着させ、UVライトトレインによる光(紫外線)照射により硬化。ロボットカッターを用い管内から取付管口を削孔する。その後、升側からラテラルライナーを反転挿入し、UVライトトレインにより光硬化。ユナイトライナーを本管に引き込み、本管と取付管との接合部へ圧着し硬化して完成する。

耐酸性ガラス繊維を補強材として使用しているため、優れた耐薬品性と耐久性を持つ。また、更生材料の内外装を特殊フィルムで包んでおり、浸入水があっても施工できる。適用管種はヒューム管、陶管、鋼管、鋳鉄管、塩ビ管など。適用管径は本管が200ミリから800ミリ、取付管が100ミリから200ミリ。



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マグマロック工法耐震化シリーズ 日本スナップロック協会





マグロック



 マグマロック工法は、耐震性を有しない既設の下水道管路施設を短時間でレベル2地震動に耐える耐震構造に改善する非開削工法。

マグマロック工法で使用する材料は、円筒形に一体成型されたゴムスリーブ、円筒形で分割されたステンレススリーブ、固定金具で構成され、地震動による継ぎ手部の抜き出しに追従して水密性能を維持し、地下水や土砂の浸入を防止する。

健全な管渠であれば、継ぎ手部に連続的にマグマロックを設置することによりマンホール間の耐震化が可能となる。マンホールと管渠の接続部の耐震化には「マグマロック工法NGJ」と「マグマロック工法mini・NGJ」があり、マンホールに接続する管渠に誘導目地とマグマロックを設け、地震動により誘導目地がひび割れることでマンホール側と管渠側が切り離され、被害を最小限に抑えるとともに、誘導目地部に設置したマグマロックがひび割れ箇所からの地下水や土砂の浸入を防止する。



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多機能型大口径マンホール 全国ユニホール工業会





多機能型大口径マンホール



 多機能型大口径マンホールは、マンホールの大深度化にも対応し作業の省力化、大幅な工期短縮を実現する。Y号(内径600ミリ)から5号(内径2200ミリ)までのシリーズに加え、内径2400〜3000ミリを製品化している。

部材が高強度で継手部の水密性0.2Mpaを保つため、深さ20メートルや地下水位の高い現場での設置が可能。広範囲な地盤でレベル2地震動に耐えることができる。また、多数の内副管の設置、踊り場フロア上へのインバートの設置、マンホール内に構造物を設置することも可能になった。



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曲線用ストリップ EX・ダンビー協会





曲線用ストリップ



 EX・ダンビー協会の「ダンビー曲線用ストリップ(S形、L形)」は、硬質塩化ビニル樹脂製の帯板(ストリップ)にフレキシブル部を設け、既設管屈曲部や曲がり部の外側でフレキシブル部を広げて使用するストリップ。

通常のストリップに比べ、大きな屈曲部や曲がり部での施工が可能になっている。部材は、耐震部材SFジョイナーで実績のあるフレキシブル構造を採用し、通常のストリップと同一幅で連続的なに管体を形成できる。

対象となる既設管路は、円形きょ渠では800〜1500ミリ未満がS形、1500〜2000ミリ以下がL形。非円形渠では800〜1400ミリ未満がS形、1400〜1600ミリ未満がL形。



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アーバンウォール工法 アーバンリング工法研究会





アーバンウォール



 アーバンリング工法研究会は、合成構造セグメントケーソン工法「アーバンウォール工法」を開発した。アーバンリング工法では従来採用されなかった20メートルを超える大口径・深度100メートル級の大深度立て坑をコンパクトかつ早く施工できる工法で、鉄筋組み立て作業が不要なため、省スペースで短工期施工が可能。

同工法は、鋼製リングを二重構造にして現地で組み立て、鋼製リング間にコンクリートを充填(じゅうてん)した合成構造のセグメントケーソン工法。鋼製リング同士の接合には差込継手と直線矢板継手を採用しており、現地での組み立て期間を短縮するとともに構造体の耐震性が向上する。

設計と製作はJFE建材、施工は加藤建設、材料開発はJFEスチールがそれぞれ担当する。



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神鋼環境ソリューション ベルト型濃縮機





ベルト型濃縮機(神鋼環境)



 2011年10月に東京都下水道局が募集した「下水汚泥の省エネルギー濃縮技術」で、濃縮汚泥の平均濃度4%以上、固形物回収率95%以上、従来の遠心型から70%以上の動力削減―などの数値目標をクリア。省エネ型汚泥濃縮機として承認を受けた。

樹脂製ベルトの採用により微細な凝集フロックが捕捉でき、低動力、低薬注率で運転。機器の軽量化、コンパクト化にもつながり、建設コストを縮減、維持管理費を低減する。

ろ過面となるベルト上には独自形状の汚泥セパレーターを設置。ベルト接触面の高濃度汚泥層をかき上げてろ過面を更新し、常に低濃度汚泥層がベルトと接触して高い濃縮効果を維持する。汚泥セパレーター内部には洗浄装置も設置でき、大容量を安定的に処理することも可能だ。

1時間当たり処理能力5〜150立方メートルまで幅広い機種を用意。06年から国内で納入予定を含む64台の実績が、信頼性の高さを裏付けている





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(2017/9/8)

 















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