林業労働力を確保することの重要性と困難さについての認識は、林野庁や地方自治体にもかなり以前からあった。とくに90年代に入ってからは、危機感を持って林業労働力の確保に取り組み始めた。
林野庁は、それまでの林業基本法(1964年制定)に基づく労働力確保・育成では不十分と判断。91年には「林業労働対策室」を設置。93年には「森林整備の担い手対策のための基金」を各都道府県で造成した。
さらに、96年には林野庁と労働省(当時)が共管する「林業労働力確保法」を制定。同法に基づく「林業労働力確保支援センター」を各都道府県に設置し、林業研修者の支援や就業のための資金融資、高性能機械の貸し付けなどを行っている。
林野庁はいま、林業労働力確保法に基づく基本方針の初めての改定に向けた作業を進めている。 その中で、林業労働者のキャリア形成支援や教育訓練の充実とともに、建設業をはじめとする異業種との連携による地域の雇用創出を基本的な方向として打ち出す。
改定案によると、建設業など異業種と連携しながら、間伐促進のための路網整備や建設工事での間伐材利用、地域材を活用した新たな需要拡大などを進め、地域の雇用創出に役立てることを明記する。このほか、▽事業主によるOJT、OFF−JTの計画的な実施▽労働者の能力に応じた昇進・昇格モデルの提示▽段階的・体系的な研修の促進▽生産工程管理や事業計画の作成ができる人材の育成―なども盛り込む考えだ。