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成長分野で商機を@

 日本の社会を覆う閉塞感が晴れない。2008年秋以降の世界的な経済危機の傷はいまだに癒えず、国政では与党が7月の参院選で惨敗し、政局は不安定感を増している。こういった状況の中にあって、今後の社会と経済の方向を考えていく材料の一つが、政府が6月に発表した「新成長戦略」だ。新成長戦略が、経済対策として建設業にどんな意味を持っているか考えてみた。  公共事業は過去には、経済対策での重要なカードの一つだった。08年秋にはじまった世界的な不況に際して、当時の麻生政権は09年4月に「経済危機対策」を発表。雇用や金融対策などとともに、長く封印してきた公共事業のカードを切った。その結果、09年度の政府の公共事業予算は、補正予算も加え前年度と比べ3割もの増額になった。 「第三の道とは」  しかし、これとは打って変わり、民主党政権が今回まとめた新成長戦略は、公共事業による経済対策を真っ向から否定した。80年代には基礎的インフラが整備されたとし、公共事業はそれ以降、経済対策としての効率性を失ったという。さらに、小泉政権時代の市場原理に基づく経済対策も、所得格差の拡大などを招いた点などで失敗だったと切り捨てた。  その上で「過去の失敗に学び、現在の状況に適した施策」として、公共事業でも市場原理でもない「第三の道」に進むと謳う。そして「第三の道」について、「経済社会が抱える課題の解決を新たな需要や雇用創出のきっかけとし、それを成長につなげようとする施策」だと説明する。  「課題解決による需要創出」とは、具体的にはどういったことなのか。例えば社会保障の分野に関して戦略は、医療や介護、年金、子育てなどの問題解決を通じて雇用を創出し、将来に対する国民の安心感によって消費の拡大を引き出すという。その点では、北欧型の高福祉(高負担)社会がモデルとして透けて見えてくる。しかし、消費税に関する首相のちょっとした発言で、政権の基盤が揺らぐような現状では、理想の実現は相当先になりそうだ。


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