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岐阜県・事業展望


岐阜県・15年度事業展望



西濃農林事務所





 2017年度の全線開通を目指し広域農道西南濃3期地区の整備などを推進する岐阜県西濃農林事務所の木内康文所長と東海環状自動車道西回りルートのアクセス道路などさまざまな事業に取り組む岐阜県大垣土木事務所の冠者信男所長に15年度の主要事業などを聞いた。





 ――15年度の予算規模を伺いたい。

「農業農村整備事業の当初予算は約16億6000万円。県営分が11事業23地区で約11億7000万円、団体営分が3事業57地区で約4億9000万円を見込んでいる。また、14年度繰り越し予算が県営7事業8地区で約7億円あり、当初と合わせると約23億6000万円となる。このほか、治山事業として、当初予算が11カ所で約2億9000万円、14年度繰り越し予算が6カ所で約1億1000万円の合計約4億円。林道事業として、県営関ケ原林道など5路線の整備で約9000万円を見込んでいる」



 ――事務所の重点施策と主要事業について伺いたい。

「農業農村整備事業について、15年度は『ぎふ農業・農村基本計画』の最終年となり、売れる農産物づくりを実現するため、優良農地の確保が重要だ。担い手への農地の集積を加速するため『農地中間管理事業』が14年度から始まったが、これを推進するため、新たに海津市の2地区で暗渠排水事業に着手する。また、農業用水の確保のため、大垣市・垂井町、海津市で農業用水利施設の長寿命化対策を新たに2地区で着手する」

「また、大垣市上石津町と関ケ原町をつなぐ広域農道西南濃3期地区については、15年度中に名神高速道路のアンダーパス工事が完成する予定で、17年度の全線開通に向け予算を重点的に確保している」

「治山・林道事業では、山地災害が発生する危険が増大しており、養老町や垂井町で復旧治山事業や予防治山事業を計5カ所で新たに着手する。また、森林資源の適切な管理、山村地域の振興を図るため林道、作業道の整備も進めたい」






広域農道名神高架下の工事






 ――15年度の新規事業着手箇所について伺いたい。

「農業基盤整備促進事業で、海津市の高須輪中地区の暗渠排水工面積37fと田鶴・境地区の暗渠排水工面積20fに着手する。県営かんがい排水事業で海津市の高須輪中三期地区の揚水機場13カ所などの補修や、大垣市、垂井町の相川左岸地区の用水路工の補修、改築、補強に着手する」

「復旧治山事業では、養老町の表山と滝谷の谷止工などに着工するほか、予防治山事業では養老町の小谷山南山、垂井町の登の谷止工に着手する」



 ――16年度の新規事業採択に向けた要望の動きがあれば、伺いたい。

「大垣市内の県営かんがい排水事業山王下立用水二期地区の用水路補修と中山間地域総合整備事業大垣上石津地区(大垣市)の用排水路工、農道整備などの2事業について新規採択へ向けた準備を行いたい」



 ――建設業に対してメッセージを。

「食糧の生産基盤を将来にわたって維持するたこと、また森林の持つ多面的機能を維持することは、農林行政にとって重要な課題であり、その実現には建設業界の力添えが今後とも必要と考えている。若い人材が魅力を感じてこの業界に飛び込んでもらえるよう、受注者と手を携えて努力したい」




 


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大垣土木事務所




冠者信男



 ――事務所の課題はどうか。

「管内の国道21号や岐阜垂井線、大垣一宮線には渋滞ポイントが点在しており、特に橋梁の前後では著しい交通渋滞が発生することから、交通容量を拡大するため早急な整備が重要と考えている。また、東海環状自動車道西回り区間では、12年9月15日に名神養老ジャンクション(JCT)〜大垣西インターチェンジ(IC)間が開通し現在、全線開通に向けて事業が鋭意進められており、関連するアクセス道路の整備を重点的に行う必要がある」

「13年9月には、大垣市内で観測史上最大の時間108_の雨量を観測するなど、短期的・局地的集中豪雨から住民の生命と財産を守るために、確かな安全安心の県土づくりとして『新五流域総合治水対策プラン』や『八山系砂防総合整備計画』に基づき総合的な治水対策・土砂対策に取り組まなければならない」

「そのほか13年度に策定された『岐阜県社会資本メンテナンスプラン』や『橋梁長寿命化修繕計画』、『緊急輸送道路ネットワーク整備計画』に基づき、管内410`の県管理道路(国道2路線、主要地方道13路線、一般県道35路線、橋梁約470橋)を、また『岐阜県河川インフラ長寿命化計画』に基づき旧水門川排水機場などを適正に管理していく必要がある」



 ――15年度の主要事業について伺いたい。

「道路事業の大垣江南線では、ことし2月に、揖斐川に架かる大安大橋を含む2・4`区間を開通させた。15年度は、この区間から東に向かって県道安八平田線までの約1`区間の設計、用地測量、用地買収を進める。岐阜関ケ原線は、養老鉄道踏切による慢性的な渋滞の解消、東海環状自動車道大野神戸ICへのアクセス道路として早急な整備が必要で踏切の立体化および4車線化の整備として丈六道高架橋に取り組んでいる。15年度は、下り側2車線を跨線化するための上部工桁製作・架設を実施する。東海環状自動車道西回り区間の養老ICへのアクセス道路として整備を進めている養老平田線は、14年度に養老ICとの交差点部の工事を概成、15年度は、引き続きIC以西の歩道設置を含む道路改良工事を実施する」

「河川事業では、大谷川の洗堰の改修を図るため市之坪橋改築工事を進めるとともに、JR東海道線の橋梁の嵩上げのための調査を14年度に引き続き進める。杭瀬川は14年度に引き続き、大垣市笠木町地内で築堤の一環として山王用水サイホン改築工事を実施する。大垣市墨俣町の犀川では、「岐阜県河川インフラ長寿命化計画」に基づき犀川調節樋門の扉体の更新を14年度に引き続き行う。大江川は、海津市札野地内で10年8月にアオコが大量発生し、これが腐敗したことが原因の悪臭が周辺に漂った。このため、「清流の国ぎふづくり大江川環境対策協議会」の検討結果に基づき、水質改善を14年度に引き続き実施する」

「通常砂防事業として13年度から着手した大垣市の乙坂一の谷で引き続き工事を進めるとともに、急傾斜地対策事業として、関ヶ原町今須地区で工事を実施する。また、大垣市上石津町の花瀬谷で堰堤補修工事を実施する」

「橋梁の耐震補強では、北方多度線の油島大橋に13年度から橋梁耐震対策工(下部工橋脚補強工)に着手しており、15年度も引き続き耐震補強工事(PC巻立て工法)を実施し、橋脚7基について、16年度の完成を目指す。羽島養老線の福束大橋と水門橋は、15年度も引き続き橋梁耐震対策工事(下部工橋脚RC巻立工)、橋梁補修工事を実施する」

「交通安全対策として大垣養老公園線の高田橋は、13年度から橋梁部分の防護柵更新、歩道の拡幅、橋梁補修工事に着手しており、15年度も引き続き車道および歩道の拡幅工事を進め15年度末の改修完了を目指す」

「養老公園では、『養老改元1300年祭』の開催が予定されており、現在老朽化した施設の修繕・更新工事など公園の魅力アップに取り組んでいるところで、15年度は、園路の舗装補修、テニスコートの全天候型に改修工事などを進める」






丈六道高架橋






 ――建設業に対してメッセージを。

「景気は回復傾向にあるが、建設業界では高齢化などの課題がある。若い人や女性を始め、いろいろな人に広く建設業の魅力をPRしていただき人材確保に努めてもらいたい。生命や暮らしを守るために一番必要なのは地域の建設業の人たちの力だ。若い人がたくさん集まる魅力的な業界となってほしい」




 


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揖斐土木事務所




熊谷研一所長



 ――管内の課題はどうか。

「管内の道路は山間部の険しい場所を通過する路線が多く、整備率は2014年4月1日現在64%と県平均の64・6%をわずかに下回っている。国が東海環状自動車道西回りルートの整備を進めているが、大垣西インターチェンジ(IC)から大野神戸IC(仮称)間が19年度の開通見通しであることが発表された。揖斐郡各地から大野神戸ICなどにアクセスするための、都市計画道路大野揖斐川線(一般国道303号バイパス(BP))、主要地方道岐阜巣南大野線、国道417号などの整備が喫緊の課題である」

「管内は、大部分が急峻(きゅうしゅん)で脆弱(ぜいじゃく)な地形であるため、幹線道路や生活道路の安全確保のための落石対策や東海地震などの大地震に備えた耐震対策などの防災工事が特に必要である。また、浸水や土砂災害から地域住民の暮らしと安全を守るため、河川改修工事や砂防工事、急傾斜地崩壊対策工事などのハード対策と警戒避難に関する情報提供や支援などのソフト対策を併せた、総合的な防災・減災対策を推進する必要がある」






床版工に着手する新川尻橋






 ――整備方針を伺いたい。

「管内の課題を解決し魅力ある地域づくりに貢献するため、三つの目標を定め必要な対策、事業を推進する。一つは活力ある地域をつくるため、県経済の発展などに不可欠な幹線道路と地域を支える道路の整備として東海環状自動車道西回りルートの大野神戸ICと糸貫IC(仮称)へのアクセス道路を進める」

「関西と北陸圏への玄関口となる国道303号は08年11月に坂本から木之本間が開通し通年交通が確保されたが、横山ダムから坂本間は急峻な地形で落石や雪崩が多発し通行止めが発生していることから鉄嶺(くろがね)トンネルを含む西横山BPの整備を進める。徳山ダムのサイトを通り、福井県とつながる予定の国道417号は新たな交流を生み出す幹線道路として期待は大きいが、横山ダムから徳山ダム間は幅員が狭く危険なため09年度から鶴見・横山BP整備を進めている。そのほか、地域の安全、安心な暮らしを支える生活道路春日揖斐川線香六〜川合工区や神原西津汲線小津工区などの整備を進める」

「次に住民の皆さんが安心して暮らせる地域づくりのため、防災・減災対策として、砂防、急傾斜地崩壊対策、河川改修、道路防災の事業を推進するとともに、土砂災害に関する情報提供と警戒避難体制の整備支援などのソフト対策も進める。東日本大震災を教訓として、いつ起こるかわからない大地震に備えて、下座倉橋の耐震対策を進めるとともに、トンネル点検結果に基づき新北山トンネルなどの補修を行う」

「最後に、『社会基盤メンテナンスサポーター制度』や『フィッシュウェイサポーター制度』『ぎふ・リバー・サポーター制度』など、地域の皆さんと連携した道路・河川維持活動を積極的に進め、地域に愛される土木施設を目指すとともに、維持管理コストの削減を図る」



 ――15年度の主な道路事業はどうか。

「東海環状自動車道ICへのアクセス道路整備として、大垣神戸大野線の下磯〜麻生工区の用地測量や用地買収を進める。また、岐阜巣南大野線で下磯から麻生交差点間の改良を進めるため用地買収と工事を推進するほか、大野揖斐川線の大野町工区と揖斐川工区で引き続き用地買収と工事を、本庄揖斐川線の福島長良区間の用地買収を推進する」

「国道303号の整備として14年度に事業採択となった『西横山バイパス』では、鉄嶺トンネルの詳細設計や地質調査、取り付け道路設計などを進めている。また長年の懸案だった三輪(上新町)交差点改良事業は関係者の理解が得られたことから15年度に交差点改良工事を実施する」

「国道417号では、岡島橋から脛永橋間の通学路に指定されている幅員狭小区間の和田工区について歩道設置を含む道路拡幅事業に着手し、用地買収や建物補償を進める。横山・鶴見BPでは、新川尻橋(仮称)の床版工事を進めるとともに横山トンネル(仮称)の掘削工事、その前後の取り付け道路の改良工事も進める」

「10月11日に開催予定の『全国育樹祭』の会場へのアクセス道路となる山東本巣線揖斐川町谷汲徳積・長瀬工区の道路整備延長1540b区間について、道路拡幅、線形改良を急ピッチで進めている」

「道の駅では、大野町の道の駅に大野町と協力して取り組む。また、星のふる里ふじはしは、揖斐川町の地域防災計画の避難所に指定されたことから、15年度はトイレの洋便器化や災害時に利用できる貯水槽、非常用発電装置、非常用汚水貯留槽などの設置工事を行う」



 ――河川、砂防事業はどうか。

「河川事業では、揖斐川町上南方地区の浸水被害軽減のため桂川で1995年度から県単河川局部改良事業を実施しており、15年度も引き続き掘削護岸工事を実施する」

「通常砂防事業では、池田町片山地内の金地谷で、渓流保全工として護岸工の整備を推進するほか、揖斐川町谷汲名礼地内の橋角谷で堰堤(えんてい)工を進め完成させる」

「急傾斜地崩壊対策事業は、揖斐川町北方地内の西平工区と揖斐川町東津汲地内の東津汲2工区で引き続き擁壁工などの法面対策工事を推進する。また、揖斐川町乙原地内の乙原工区では、引き続き測量や設計を進める」

「雪崩対策事業として揖斐川町春日香六地内で、本年度に測量や設計を進め工事に着手する」



 ――建設業界へメッセージを。

「建設業は社会資本整備のための重要なパートナーであり、安全、安心な地域づくりや地方創生に欠くことのできない重要な存在だ。また、災害時の対応や冬場の除雪など地域の安全、安心の確保に取り組んでいただき感謝している。しかし、少子高齢化が進み、担い手不足が懸念される。担い手を確保するには、将来にわたり希望や誇りの持てる建設業であることが大切なので、労働環境のさらなる改善、若手技術者や女性技術者の雇用拡大など将来を見据えた取り組みに努めてほしい」




 


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美濃土木事務所




白河忠良所長



 関市と美濃市を管轄する岐阜県美濃土木事務所。管内は美濃関ジャンクションで東海北陸自動車道と東海環状自動車道がで連結するなど、四つのインターを有する交通の要衝。地域経済発展の基盤としてこれらと連携する主要幹線道路の整備が急がれる。また地域住民が安全安心に暮らせる河川、砂防の整備推進も重要課題だ。4月に着任した白河忠良所長に、2015年度の基本方針、主要事業を聞いた。



 ―美濃土木事務所管内の現状と課題は。

「管内には管理道路が258`あり、改良率は70・7%と県の平均64・6%をわずかに上回っているが全国平均の72・4%には及ばない。また、管内には3カ所の通行規制区間があり、15年度中に1カ所規制区間を解除する予定だが、いまだに緊急時の対応や地域住民の生活に支障を来たしている状況だ。管内には長良川をはじめとして、板取川、津保川、武儀川などの主要な一級河川があり、特に長良川では04年の10月20日の台風23号で大きな被害を受けたことから、床上浸水対策特別緊急事業を実施して11年度に完了した。しかし、近年頻発する短期的・局地的集中豪雨による洪水被害に備えるため、引き続き長良川の美濃市立花地内の河川改修をはじめ、他の河川でも河道掘削・護岸工事などの治水対策を進める必要がある。水防の取り組みとしては、本年度から異常出水時にきめ細やかな河川水位情報提供を長良川や武儀川、津保川で実施する。道路防災面では、13年度に策定した緊急輸送道路ネットワーク整備計画に基づき、橋梁の耐震化など防災・減災対策に取り組むとともにメンテナンス計画を進める。樋門や陸閘(りっこう)といった河川構造物や砂防施設についても年々老朽化が進んでいることから、13年度に策定した岐阜県河川インフラ長寿命計画や岐阜県砂防施設長寿命化計画に基づき早急に社会基盤の老朽化対策を進める必要がある。交通安全対策としては自転車歩行者道や歩道の整備を実施し、安全で安心な地域づくりを進めていく」



 ―15年度の予算規模、編成については。

「当土木事務所の当初予算は公共・県単を合わせて約24億円であり、14年度当初予算とほぼ同額となっている。当初予算では、設計費や用地補償費へ優先的に配分し、工事ストックの確保を図る」



 ―15年度の基本方針について。

「岐阜県では、国土強靭(きょうじん)化に関する総合的かつ計画的な推進を図るため、15年度から5年間の推進方針を示した『岐阜県強靭化計画(国土強靭化地域計画)』『岐阜県強靭化アクションプラン』を策定した。このプランに基づき個別施策の着実な推進を図る。また、『ぎふの未来を支え、命と暮らしを守る強靭な県土整備』と『魅力あふれるまちづくり』を達成するため、『成長・雇用戦略を推進するための社会資本の整備』『確かな安全安心に向けた強靭な県土づくりの推進』『「清流の国ぎふ」づくりの推進』『社会資本を支えるパートナーの育成・支援』『街路事業の推進(にぎわいあふれるまちづくり)』を政策の5本柱に、『安全・安心・活力・自立』を支える社会基盤整備を進める」



 ―主な道路整備事業や街路事業については。

「国道248号バイパスは、関市山田工区の4車線化に向けた整備と、山田交差点の左折車線整備を進める。国道248号線の街路事業では、江南関線から栄町3交差点までの約760b間の工事を進めており、15年度は残る栄町3交差点の改良工事を実施する。国道418号関市肥田瀬工区では、用地補償と工事を行う。国道256号関市尾倉工区では、構造物設計を実施する。上野関線の美濃市半道工区では、用地補償を行い、早期完成を目指す。岐阜美濃線の美濃市極楽寺工区では、街路事業とともに、4車線化事業を進めており、15年度は用地補償を行う。美濃洞戸線の美濃市蕨生工区では、13年度から事業を進めており、15年度は用地補償を行う」



 ―道路維持事業については。

「道路災害防除事業として、美濃洞戸線の美濃市蕨生工区、御手洗立花線の美濃市立花工区で落石対策工事を継続する。交通安全事業として、関金山線の関市下之保工区や美濃加茂和良線の関市富之保工区で歩道設置工事を進める。また、美濃洞戸線の美濃市安毛工区で測量、設計を進める。舗装道補修事業として、損傷の著しい白鳥板取線(関市板取)や神野美濃線(美濃市冨野)、勝山山田線(関市迫間)などで舗装補修を実施する。橋梁補修では、美濃洞戸線に架かる谷戸橋の支承取替を行う」



 ―河川事業については。

「美濃市立花地内の長良川(立花工区)河川改修では、引き続き用地補償と工事を実施する。関市保戸島地内の今川(保戸島工区)河川改修については、用地補償と工事を継続する。津保川河川改修については、小屋名地内(下流工区)で工事と護岸設計を行う。13年度に着手した関市明ケ島地内の小那比川河川改修では環境調査と予備設計を実施する」



 ―砂防事業・急傾斜地崩壊対策事業について。

「砂防事業については、継続事業では関市下之保地内(大洞谷)、美濃松森地内(亀野谷)の丈量測量を進める。新規事業では関市下之保地内(寺洞)、関市板取地内(島口川)の測量・詳細設計・地質調査を進める。急傾斜地崩壊対策事業では、継続事業の関市中之保地内(間吹2)、関市上之保横腰地内(横腰)の工事を実施し、新規事業では関市中之保地内(町1)と関市洞戸市場地内(神明前)の測量、詳細設計、地質調査を進める」






入道洞の砂防堰堤






 ―都市公園事業については。  「関市にある岐阜県百年公園では、駐車場無料化に伴う対策工事を行う。また老朽化が著しい遊具の更新・修繕、フェンスの更新を実施する」



 ―建設業界に対してのメッセージを。

「建設業は地域経済や雇用を支える基幹産業であり、地域防災力の要でもある。建設業をとりまく環境は依然として厳しいが、地域の安全・安心を支える優良な建設業者が今後とも存続していくことが重要だ。より一層技術の研さんを積み、より高い品質の社会基盤を地域住民に提供するよう努力していただくとともに、地域貢献などを通して地域から親しまれ、地域に密着した業界として頑張っていただきたい。なお、現場内事故をくれぐれも起こさないように、十分な注意を払っていただくことをお願いしたい」




 


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郡上土木事務所、長良川上流河川開発工事事務所




飯島昭憲



 岐阜県の北西部に位置し、豊富な観光資源を持つ郡上市を管轄する岐阜県郡上土木事務所。管内の総面積1030平方`のうち約9割が山林で、急峻(きゅうしゅん)な山地、流れが早い渓流など高低差の厳しい地形が多く、多雨で、近年頻発する豪雨、洪水などの災害対策が急務となっている。また、観光資源の開発や森林資源の活用などによる産業振興のため、管内を走る国道156号や国道256号などの幹線道路を中心とした道路整備に対する期待は大きい。また、2015年度は内ケ谷ダムの本体発注が予定されるなど注目が集まっている。飯島昭憲所長に15年度の事業計画などを聞いた。



 ――内ケ谷治水ダム建設は県土木事業のビックプロジェクトの一つ。いよいよダム本体工事の発注を控えているが、事業の状況はどうか。

「内ケ谷治水ダムは、堤高84・2b、堤頂長270b、堤体積約32万8000立方b、重力式コンクリートダムで、有効貯水量910万dとなり、県が建設・管理するダムでは最大となる。13年度から、ダム本体工事の準備工として亀尾島川の流れを切り替える仮排水トンネル工事に着手しており、15年度中の完成を予定している。この他、15年度はダム本体工事の契約を目指すとともに、仮排水トンネルへ水を導くための仮締切工事と工事用道路工事を継続する」



 ――次に、道路建設事業について伺いたい。管内の道路改良率は約55%と県内平均の約65%と比べ、まだまだ低い。まず岐阜県の高速交通体系を補完する地域高規格道路である濃飛横断自動車道の整備はどうなっているか。

「郡上市和良町と下呂市金山町を結ぶ国道256号のバイパス『和良金山道路』の延長は約2700bで、このうち郡上土木事務所分の延長約1200bについては2008年度から整備を進めている。13年度には、和良川に方須大橋を架橋し、和良金山トンネル(仮称)の工事に着手した。このトンネルの延長は約1830bで、郡上土木事務所は延長約1040bを担当しており15年4月末に掘削が完了したところである。15度中の完成、供用を目指し、引き続きトンネルの覆工、舗装や非常用設備などの整備を進める」



 ――その他の道路整備についてはどうか。

「主要地方道の金山明宝線で旧明宝村の小川地区と畑佐地区を結ぶ総延長3380bのバイパス道路の整備を進めている。14年度末に、小川峠に計画している延長約1650bの『めいほうトンネル』(仮称)の第1期工事を発注したところであり、15年度はトンネル掘削を開始する」



 ――道路維持管理事業はどのように進めるか。

「緊急輸送道路の橋梁耐震対策を順次進めており、15年度は大和町大間見地内の一般県道の剣大間見白鳥線の清浄寺橋ほか3橋の耐震対策を実施する。道路災害防除では、14年度に県が策定した県土強靭化計画にのっとり、県土強靭化ネットワーク上の道路である国道256号の八幡町旭地区の落石対策事業を実施する」

「歩道整備については、通学路交通安全プログラムにて対策が必要とされた国道156号の白鳥町二日町ほか5カ所の整備を進めていく」



 ――近年、頻発する豪雨で甚大な被害が発生している。洪水や土砂災害への対策はどうか。

「洪水対策としては、長良川において04年の台風23号により浸水被害が発生した美並町木尾地区、深戸地区で、広域河川改修事業を行っており、用地買収、築堤工事を順次進める」

「土砂災害対策としては、砂防事業で八幡町小野の高垣洞など4カ所において堰堤工など、急傾斜地崩壊対策事業で八幡町の中柳町など4カ所において擁壁工などを実施する。ソフト対策では13年度までに土砂災害防止法に基づき、土石流、急傾斜、地滑りについて管内において警戒区域1516カ所と特別警戒区域1429カ所の指定を完了した。また、郡上市が作成する土砂災害ハザードマップについては、14年度に八幡町並びに美並町のハザードマップを作成し、市内全域の作成が完了している」

「昨年は、8月からの豪雨等により、県内では飛騨地域から中濃地域を中心に土砂災害や橋の流出、床上・床下浸水など、甚大な被害が発生し、郡上管内でも、白鳥町を中心に土木施設の災害が発生した。災害の件数および査定決定額については、道路は8件で約1億円、河川は22件で約14億円、砂防は8件で約2億円となった。被災した施設については、地域の住民の生活と安全を守るため、必要に応じた応急工事を行い、早期復旧を目指し、鋭意工事を進めている」






内ケ谷治水ダム完成予想図






 ――地元建設業に期待することは。

「災害時や冬期の除雪など、緊急時に迅速かつ臨機応変に対応していただき非常に感謝している。最近の建設業を取り巻く環境は郡上地域も例外なく厳しいが、14年度、品確法をはじめ入契法、建設業法の3法が『公共工事の品質確保とその担い手の中長期的な確保』という視点で、大幅に改正されたこと、また予算も右肩下がりの傾向が改善され、労務単価も13年度以降3年連続して改善されるなど現場に明るい展望も見えてきている。われわれとしても、現場の実態を踏まえた適切な積算や工事の平準化、書類簡素化の徹底など担い手確保に向けた取り組みを進めていく」

「地元建設業の方々には、将来にわたって良いものをこの地域に作り続け、守り続けていくために次世代の育成に努めるとともに、若い世代が安心して入職できるように現場における人身事故の撲滅にも努めてほしい」




 


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可茂土木事務所




和田義則



 岐阜県可茂土木事務所は、県の中南部に位置する美濃加茂市、可児市、加茂郡(坂祝町、富加町、川辺町、七宗町、八百津町、白川町、東白川村)、可児郡(御嵩町)の2市7町1村を管轄する。管内面積は約834平方`で県土の7・9%、人口は約22万人で県内の10・8%を占めている。南部は濃尾平野の北東部で平たん地・丘陵地で人口集中が進み高速道路などの幹線道路の整備に伴い企業の進出が進んでいる。一方、北部は急峻(きゅうしゅん)地形の多い緑豊かな山間地域が広がっている。4月に着任した和田義則所長に地域の課題や2015年度各事業への取り組みについて聞いた。



 ――地域の課題と基本方針について。

「管内の県管理道路は433・6`あり、改良率は59・4%と県の平均64・6%を下回っている。中山間部においては4カ所の異常気象時交通規制区間があり、緊急時の対応や生活に支障を来している。一方都市部では交通量が多く交通集中による渋滞が発生しており、歩行者の安全確保も大きな課題となっている」

「また可茂地域は10年、11年と局所的な集中豪雨により大きな災害を受けており、異常気象に備えるための河川整備、急傾斜地崩壊対策、そして災害に強い道路整備を進めるとともに、災害の危険を住民に認識してもらうことが重要である」

「『清流の国ぎふ』づくりは、このような状況を踏まえ、可茂地域の未来を支えるための幹線道路整備、県民の命と暮らしを守るための道路整備、河川整備と土砂対策などを、国、県、市町村や建設関係団体などが連携・協力し、地域から信頼されるよう丁寧な対応で進めたい。ハードとソフトを両輪にし、スピードとコストを重視して各事業に取り組んでいく」



 ――15年度の重点施策(主な事業)について。まず道路事業から。

「幹線道路では八百津方面から東海環状自動車道へのアクセス道路となる多治見白川線の伊岐津志トンネル(仮称)の16年度供用を目指し、引き続き整備を促進する。併せて地域の骨格ともいえる国道248号の美濃加茂市内では渋滞対策と15年度完成予定の国道21号坂祝バイパス完成後の交通量の増加対策として4車線化を進める。また街づくりのために美濃加茂市内の街路塚原河渡線の整備を完成させる」

「命と暮らしを守るための道路整備では、多治見白川線の御嵩町地内で亜炭廃坑による路面陥没対策事業を進めている。また、橋梁の耐震対策を国道418号の新鯉居橋などで進めている。管内のトンネル点検からは緊急対策が必要なトンネルは無かったが、補修事業は進めていく」

「このほかの道路事業では、異常気象時通行規制の解除に向けて七宗町上麻生地内の可児金山線と白川町黒川地内の白川福岡線の改良工事を継続。坂祝町黒岩地内の富加坂祝線と可児市下恵土地内の街路事業では用地買収を継続する。また舗装補修事業では善師野多治見線の可児市塩河地区、多治見八百津線の可児市兼山地区などで事業を実施する。交通安全事業では、可児金山線の可児市中恵土で歩道整備、多治見八百津線の御嵩町上恵土と野上古井線の八百津町上牧野で通学路歩道整備を進める。道路災害防除では下呂白川線の東白川村五加で落石防止対策工事を継続する」



 ――河川事業の主な計画は。

「『清流の国ぎふ』づくりでは、川辺町下飯田地内の飯田川で自然と共生した河川整備を行っていく。また10、11年の局地的集中豪雨により被災した可児川、久々利川、加茂川などにおいて流下能力拡大のため改修を継続する。加茂川については美濃加茂市深田地内で総合流域防災事業を進めるほか、可児川については広域河川改修事業で可児市広見・平貝戸と御嵩町伏見で流下能力を確保する河道掘削を進める。浸水被害の発生した久々利川では可児市久々利地内の用地買収を進めるとともに、久々利橋架け替えの下部工、護岸工に一部着手する」

「その他の河川工事として美濃加茂市下米田町の深渡川で護岸整備を継続する」






国道248号






 ――砂防・急傾斜地崩壊対策について。

「土砂災害防止対策については、土砂災害特別警戒区域に避難所など優先順位の高い保全施設のある箇所や集中豪雨により被災した箇所について砂防施設や急傾斜地対策施設を順次整備していく」

「主な事業としては東白川村神土の川向谷で砂防堰堤(えんてい)工事を継続するほか、美濃加茂市三和町の鯉下り川で用地買収を進める。急傾斜地崩壊対策事業では七宗町の神渕の古摩と八百津町杣沢、可児市兼山の盛住、白川町下佐見の成山、東白川村神土の平で継続して事業を推進する」



 ――県営公園関係は。

「花フェスタ記念公園では再整備計画に基づく整備を促進する。平成記念公園については公園施設の長寿命化計画に基づき、老朽化した施設修繕等を計画的に順次実施していく」



 ――建設業界へのメッセージを。

「少子高齢化、気象変動など多くの課題がある中で、しっかりとした社会資本が将来にわたり安定した社会を維持できると考えている。地域の建設業はこうした社会資本の整備や維持に不可欠な存在であり、たとえば突発的に起こる災害時の対応やその後の復旧、休日昼夜を問わない道路管理や除雪など、いつも地域の安全と安心を支えてもらい大変感謝している」

「公共事業への地域からのニーズは依然として多く、老朽化する社会資本のメンテナンスなどやらなければならないことは多い。土木事務所としても厳しい財政事情の中ではあるが着実に整備を進めていきたい。建設業の皆さまは今後とも高い品質の工事を目指し、地域から信頼され応援される存在として、ぜひ頑張っていただきたい」




 


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多治見土木事務所




野原克浩所長



 県東南部の多治見市、瑞浪市、土岐市の東濃西部3市を管轄している岐阜県多治見土木事務所。管内の総面積は382平方`で県全体の3・6%だが、人口は約20万人と県全体の10・2%を占め、人口が集中している。道路交通では名古屋市のベッドタウンとして大規模開発、大型商業施設の開業などによる交通量の増大と管内の幹線道路が市街地内を通過していることなどから慢性的な交通渋滞が発生している。また地域の地質が脆弱(ぜいじゃく)で、土砂災害警戒区域が多く、豪雨による土砂の流出、地滑り、洪水なども懸念される。4月に着任した野原克浩所長に道路事業など課題解決に向けた2015年度の事業計画を聞いた。



――15年度基本方針は。

「ぎふの未来を支え、命と暮らしを守る強靭(きょうじん)な県土整備、を目標に掲げた15年度県土整備部基本方針の政策の4本柱に沿っている」

「一つ目は、成長・雇用戦略を推進するため、国道248号、県道土岐可児線、東濃西部都市間連絡道路などのネットワーク・インフラを整備し、産業振興や観光交流など地域の活性化を図る」

「二つ目は確かな安全・安心に向けた強靭な県土づくりのため、広域災害に備えた緊急輸送道路の法面落石・崩壊対策と土岐川、肥田川、日吉川などの河川改修ハード対策、警戒避難に関する積極的な情報提供などを心掛ける。そのほか総合的な土砂災害対策として、早期の避難行動につなげるための情報提供などのソフト対策と南山の急傾斜事業、月見谷の砂防事業などの推進、道路や河川、砂防施設の長寿命化計画等に基づき点検・補修も実施していく」

「三つ目は、『清流の国ぎふ』づくりのため、土岐川の魚道の修繕、川を題材とした総合学習を支援する」

「四つ目は社会資本を支えるパートナーの育成・支援するために、地域の安全・安心を支える地元建設業の人材確保や、社会基盤メンテナンスエキスパート(ME)を活用した維時管理体制の推進、管内各市の社会資本メンテナンスの技術的な支援を推進する」



――15年度の予算規模、編成について。

「当初予算の総額は約26億5000万円。内訳は道路建設事業が約9億7000万円、道路維持事業が約8億9000万円、河川砂防事業が約7億9000万円となっている。補正を含めた14年度末事業費は30億5000万円余りとなった」



――各事業について伺いたい。まず道路事業から。

「管内の慢性的な交通渋滞の対策を図る。国道248号では4車線化や、多治見インターチェンジ前交差点改良に取り組んでいる。15年度に大針南交差点(多治見側)の工事を進め、16年度の供用開始を目指す。東濃西部都市間連絡道路(一般県道肥田下石線)は、多治見市内の主要地方道多治見恵那線から土岐市内の一般県道土岐南多治見インター線間2・2`が15年2月に供用開始した。この区間より東の一般県道土岐南多治見インター線から主要地方道土岐足助線間について、調査設計を進め事業の推進を図る。東海環状自動車道五斗蒔スマートインターに接続する主要地方道土岐可児線では、土岐市五斗蒔で登坂車線の切土工事を中心とした交差点改良を行う」



――街路事業は。

「13年度に新規事業着手した新土岐津線(一般県道河合多治見線)は、土岐市泉町で15年度も引き続き用地買収を行う」



――道路維持事業は。

「歩行者の安全確保を図るため、主要地方道多治見犬山線の多治見市小泉町で交差点改良工事を行うほか、主要地方道土岐可児線の土岐市久尻の交差点改良の用地買収を進める。また一般県道上山田寺河戸線の瑞浪市寺河戸町ではJR東海に一部委託し、踏切改良と歩道設置工事を行う。維持管理については14年度に引き続きMEを活用した小規模橋梁の点検と修繕を実施する」



――防災工事は。

「落石事故の防止と異常気象時の通行規制区間の解除を目指して、一般県道下石笠原市之倉線などで落石対策工事を実施する。緊急輸送道路上の危険箇所を優先し、災害時の緊急輸送路の確保を目指す」



――河川事業は。

「東日本大震災や最近の社会資本の老朽化による事故を踏まえた河川構造物の長寿命化・耐震化、清流の国ぎふづくりに向けた川づくりなど、新たに取り組むべき課題への対応を盛り込んだ『岐阜県新五流域総合対策プラン』が13年度に改定された。当管内では15年度に土岐川流域に含まれる多治見市の笠原川・市之倉川、土岐市の肥田川、瑞浪市では土岐川・日吉川で、自然環境に配慮した河川改修を実施する。また清流の国ぎふづくりのため、土岐川の魚道の修繕、川を題材とした総合学習の支援をしていく」



――地滑り対策は。

「当地域は、屏風山断層が北東から南西方向に延び、地質が粘土層や亜炭層などと脆弱なため、地滑り防止区域が多い。今後も地滑り対策や観測を強化する。瑞浪市白倉では調査設計、用地買収を行い、対策工が概成した瑞浪市南垣外では経過観測を継続していく」



――砂防事業は。

「多治見市月見町の月見2−1谷と瑞浪市釜戸町の洞田川で工事を行い、瑞浪市釜戸町の不動川、瑞浪市小田町の上ノ平洞で用地買収と工事を行う。また、県単独事業では瑞浪市土岐町の滝沢川で用地買収と工事を行う」






土岐可児線五斗蒔工区






――急傾斜地事業は。

「新規事業として多治見市小泉町小泉2の調査設計を行うほか、多治見市小泉町小泉で用地買収、瑞浪市土岐町南山と瑞浪市陶町細久手で工事を行う」



――建設業に向けて要望など。

「社会資本の老朽化が進む中、従来の対症療法的な維持管理から予防保全的な維持管理に転換している。地域の社会資本は地域で守るために、われわれとともに技術力を上げ、社会資本の長寿命化に取り組んでいただきたい。また災害発生時は建設業のかたがたに昼夜を問わず復旧作業をしていただき、心より感謝している。今後も有事の際は迅速に活動し地域の安全・安心を担える建設業として持続できるようお願いしたい」




 


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恵那土木事務所




今井久朗



 岐阜県恵那土木事務所は、県東南端の恵那市と中津川市を管轄する。管内面積は約1180平方`で県土の約11・1%を占める。地形の条件から過去に多くの災害が発生しており、地域からも砂防設備や河川の改修が望まれている。また2027年のリニア中央新幹線開通に向けて沿線周辺の整備が必要となる。今井久朗所長に15年度の主要事業について聞いた。



 ―15年度の予算規模、編成について。

「当初予算の総額は約26億7000万円。事業別では道路建設事業が約7億円、道路維持事業が約11億8000万円、河川事業が約3億1000万円、砂防事業が約4億8000万円となった(災害復旧費を除く)」



 ―15年度の基本方針は。

「当事務所では『清流の国ぎふ』づくりや『県土整備部ビジョン』を念頭に中津川市と恵那市の未来を支え、命と暮らしを守る強靭(きょうじん)な県土整備を進めるため、『活力を生む道路整備』『安心・安全な県土づくり』『社会資本を支えるパートナーとしての協働』を3本柱として主要事業を推進する。また27年に東京〜名古屋間開通を目指すリニア中央新幹線については、13年9月にJR美乃坂本駅付近に中間駅と車両基地の位置が決定した。これに伴い、岐阜県の新しい東の玄関口として周辺社会基盤の再構築、アクセス道路の整備が今後の課題となるため、県は南北の幹線道路として『濃飛横断自動車道』のルートを14年3月に発表した。15年度は都市計画決定を目指し準備を行う」



 ―主要事業について。

「道路建設事業は、恵那蛭川東白川線の恵那市大井町丸池〜笠置町毛呂窪の約1・4`を区間とする東雲バイパスの主要施設である新東雲橋(仮称)橋長349bの工事を上半期に完了し、15年度内の供用開始を目指す。恵那白川線恵那市中野方工区は幅員が狭く線形が悪いことから道路拡幅工事を進めており、15年度内の完成を目指す。これにより当該路線の2車線改良が完了する。国道256号の中津川市上野地区は2車線の道路改良工事を進めており、坂下本郷工区約300bを4月に完成供用した。引き続き上野寺尾洞工区の早期完成に向けて事業推進を図る」

「道路維持事業は、優先的に耐震対策が必要な緊急輸送道路の瑞浪大野瀬線、出合大橋(恵那市串原地内)、福岡坂下線、新田瀬橋(中津川市田瀬地内)の耐震補強工事や、国道257号城山大橋(中津川市駒場)の耐震設計を行う。また、国道256号、付知南大橋の補修工事を行う。トンネル補修は国道257号小沢山(恵那市岩村町)や国道256号塞之神(中津川市加子母)の照明LED化を行う。舗装補修は国道256号、257号、363号など管内各所で行う。そのほか、道路パトロールに加えてMS(メンテナンスサポーター)制度など地域の住民と連携した道路維持活動も進めて安全快適な道路環境を確保する。交通安全事業は、通学路の歩道整備を優先的に進めており、恵那峡公園線(恵那市大井町学頭)は工事を、中野方苗木線(中津川市高山)は用地買収を進める。中津川田立線(中津川市北野)、瑞浪上矢作線(恵那市山岡町下手向)は用地買収に着手する。また15年度より多治見恵那線(恵那市三郷町佐々良木)の歩道整備に着手する。落石・崩壊事故を防ぐ防災事業は、国道256号(中津川市田瀬)、国道257号(恵那市上矢作町)、豊田明智線(恵那市明智町)などで設計と工事を行い、県土強靭化ネットワークや緊急輸送道路の雨量規制区間内の要対策箇所の解消を進める」

「河川事業は、濁川(恵那市大井町)で1991年度から進めていた公共河川改修事業区間に引き続き上流側の河川改修工事に着手する。また、リニア中央新幹線駅に隣接する千旦林川(中津川市千旦林)では14年度に引き続き護岸工を行うほか、小里川(恵那市山岡町上手向)では市道橋の架け替えに引き続き、上流側の治水安全度向上を図るため、護岸工の設計と用地測量に着手する」

「砂防事業は、谷下川(恵那市上矢作町)で砂防堰堤工と林道の付け替え工事を行う。また、避難所の保全のために宮洞谷(中津川市加子母)では堰堤工の工事に着手、福崎谷(中津川市加子母)では用地測量に着手、黒田川(中津川市阿木)において設計、地質調査を行う」

「急傾斜地崩壊対策事業は、災害時要援護者施設がある上久呂瀬工区(恵那市上矢作町)、渡合・番田工区(中津川市加子母)で14年度に続き工事を進める。また、指定避難場所となっている上矢作振興事務所などの保全のため横吹2工区(恵那市上矢作町)の用地測量と用地買収を行う」






新東雲橋






 ―地元建設業に対してメッセージを。

「地域建設業者は社会資本の整備や維持管理に不可欠なパートナーで、地域の安全・安心、雇用の確保、産業の維持発展にも必要な存在だ。道路、河川、砂防の維持補修業務では昼夜を問わず迅速な維持作業などを実施していただき、道路事故減少や適正な維持管理につながっている。冬季には早朝の除雪や凍結防止剤の散布作業などの取り組みに対応していただき大変感謝している。昨年2月の豪雪では、積雪や倒木による通行止めや停電など地域住民の不安は大変大きなものであったが、迅速な対応で交通を回復していただいたので、住民のかたがたも頼もしく感じていたと思う。依然として建設業を取り巻く経営環境は厳しい状況だが、管内ではリニア中央新幹線中間駅の位置が決まり駅へのアクセス整備など関連事業もあるため将来に期待が持てる。公共事業への地域需要は高く、社会基盤の整備や高齢化する社会資本の維持管理など、やるべきことは多い。今後も県が進める事業への協力をお願いするとともに、特に若者や女性の従事者が誇りを持って働ける業界になるよう互いに力を合わせていきたいと思っている」




 


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高山土木事務所




宮島雅広所長



 岐阜県高山土木事務所の管内は県北部に位置し、高山市(国府町、上宝町と奥飛騨温泉郷の区域を除く)と白川村の1市1村からなり、面積は県土の18・5%を占める山岳地域。人口は約8万人(県全体の約4%)で、人口密度は1平方`当たり約37人と低く、最近3カ年の人口動態は減少傾向にある。管内の建設関係者は昨年地域を襲った豪雨災害の早期復旧に全力を尽くしている。赴任し2年目の宮島雅広所長に2015年度の事業計画などを聞いた。



 ――14年8月豪雨災害の被害状況や現在の復旧状況について。

「管内では、14年8月14日から18日にかけて本州付近に停滞した前線により、南海上から県内に湿った空気が流れ込み非常に激しい雨となった。特に旧高山市から旧清見村中心に豪雨となり、甚大な被害をもたらした。住家被害は全壊が1棟、床上浸水が27棟、床下浸水が152棟あり、公共土木施設の被害状況は152カ所、被害額が約45億円(査定決定)となった。被災直後から測量や設計を行い、災害査定も14年10月から11月まで3回の災害査定を受け、工事も15年3月までに152カ所のうち143カ所発注し、現在鋭意復旧工事を進めており、残り9カ所については15年度に発注し、16年度の完成を目指している」



 ――15年度の予算規模などについて。

「15年度当初予算は公共・県単合わせて約31億円。全体としては昨年を34%上回っている状況だが、14年度の災害復旧の債務分の予算が約4億円あり、県単事業が大きく(66%)伸びている。当初予算は設計費や用地・補償費などにも重点的に配分し、工事ストックの確保も進め、効率的な予算執行を進めていきたい」



 ――基本方針について。

「県土整備部が定める『ぎふの未来を支え命と暮らしを守る』という基本目標に従い、『成長・雇用戦略を推進するための社会資本の整備』『確かな安全・安心の県土づくりの推進』『清流の国ぎふづくりの推進』『社会資本を支えるパートナーの育成・支援』を政策の4本柱として、『地域住民の安全と安心』『地域の活力』を支える社会基盤の整備とその適切な維持・管理・点検を行い、施設の長寿命化を図るとともに、土木事務所に社会資本メンテナンス窓口を設置し、同様の課題を抱える市村の支援も行っていく」



 ――主な道路整備事業について伺いたい。

「東海北陸自動車道が08年7月に全線開通し、中部縦貫自動車道は07年9月に高山インターチェンジから東海北陸自動車道までつながり、高速道路ネットワークの整備が着実に進展する中、県が担う幹線道路ネットワークの整備が重要だ。主要事業は国道361号上ケ洞バイパスと中之宿工区。特に上ケ洞トンネルは13年度から2期工事に着手し、15年度からトンネル排水工事や舗装工事に入り、17年度の完成を目指す」

「観光客目線、通学などの住民生活目線で整備を進めることが重要。管内には雨量規制区間が11路線13区間113`、雪崩規制区間が1路線14・9`あり、通年交通確保のためには防災・防雪対策が必要となっている。また、トンネルは40カ所、15b以上の橋梁が203橋あり、計画的なメンテナンスが必要となっている。交通安全事業としては、14年度に道路管理者などにより策定した『通学路交通安全プログラム』に基づき通学路の歩道整備などを進める必要がある。主要事業としては国道156号の白川村の荻町橋耐震補強工事、岩井高山停車場線高山市岩井町内の歩道整備、国道156号では白川村尾神地内の災害防除、国道156号の白川村『飯島トンネル』、国道158号の高山市丹生川町の『平湯トンネル』の補修工事を推進する」



 ――河川事業について。

「管内の河川は太平洋に注ぐ木曽川水系の飛騨川流域、日本海に注ぐ神通川水系の宮川流域および庄川水系の庄川流域がある。1級河川は宮川、飛騨川など69河川あり、河川管理延長は472`、改修済み延長は78・5`となっている。特に04年と昨年の8月豪雨では市街地を中心に浸水被害が発生しており、災害復旧事業関連事業の早期復旧対策を推進していく。主要事業としては宮川の河道掘削工事、苔川の河道拡幅と護岸整備を進める。また、江名子川については浸水被害の解消を目指し、中流域において事業計画の説明を実施する」



 ――砂防事業、急傾斜地崩壊対策事業について。

「災害時要配慮者関連施設や避難所を守る箇所から重点的に事業を進めている。砂防事業では、高山市越後町の越後洞1砂防堰堤(えんてい)工事や高山市清見町の堂ケ洞上砂防堰堤の事業を進め、新規に高山市久々野町地内の小畑谷と高山市荘川町地内の新田洞谷に着手する」

「急傾斜地崩壊対策事業としては、高山市清見町の山黒の事業を進め、新規に高山市江名子町の荏名、高山市八幡町の久金や高山市三福寺町の川原に着手する。また、ソフト対策も重要であり、土砂災害警戒区域や土砂災害特別警戒区域の指定は01年度までに完了し、これを活用して高山市や白川村ではハザードマップを作成している。土砂災害を想定した防災訓練を実施するなど市や村とも連携して緊急時の体制を構築する」



 ――建設業界へのメッセージをお願いしたい。

「建設業は社会資本整備の担い手であるとともに地域の安全・安心を支える、重要なパートナーだ。14年の豪雨時に最前線での応急復旧などに尽力されるなど、地域の安全を担っている。今後とも関係を維持し、より強固なものにしていきたい。将来にわたって希望や誇りが持てる業界として、人材育成などについてはこれまで以上の努力を期待する。また、安心して働ける職場とするためには現場事故を無くすことが重要。受発注者が連携して取り組んでいきたい」






上ケ洞トンネル




 


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古川土木事務所




坂口達也



 岐阜県古川土木事務所は、岐阜県の最北部にある飛騨市と高山市国府町、上宝町、奥飛騨温泉郷を管轄。管理総面積は1356平方`(県土の12・8%)と非常に広く、面積の94%が山地林野のため、落石・法面崩壊などの危険性が高い。加えて管内全域が積雪寒冷地に指定されているなど、自然環境の大変厳しい地域だ。そのため降雨や雪崩などによる交通規制も多く、2014年度は県管理路線で12回通行止め規制が行われた。08年7月には東海北陸自動車道が全線開通し、15年3月に北陸新幹線富山駅が開業したことにより、観光ばかりでなく物流も含めた交流人口が増加しており、幹線道路(直轄国道41号、国道158号、360号、471号、主要地方道古川清見線、主要地方道神岡河合線、主要地方道国府見座線)を中心とした道路整備は急務だ。河川・砂防事業では、ハード対策とソフト対策を組み合わせた総合的な水害対策が進められている。4月に着任した坂口達也所長に15年度事業計画を聞いた。



 ―15年度の予算規模、工事発注について伺いたい。

「当初予算の総事業費は約19・1億円で、前年度比(当初比)で108%となっている。事業別では、道路建設事業が約8・4億円、道路維持事業が約7・5億円、河川事業が約1・9億円、砂防事業が約1・3億円となっている。工事の発注については、14年度は30件を一般競争入札方式により実施。価格競争が3件、総合評価方式が27件(1件は委託)となっており、15年度も総合評価落札方式による発注を進めていきたいと考えている」



 ―15年度の主要事業を伺いたい。道路建設事業はどうか。

「国道360号種蔵・打保バイパス(飛騨市宮川町巣之内)では、宮川3号トンネル(仮称)の工事の促進(覆工および舗装など)や道路改良工事を継続する予定だ。主要地方道古川清見線平岩バイパス工区(飛騨市古川町平岩)では、平岩1号橋(仮称)の上部工を進める。主要地方道神岡河合線杉崎・太江バイパス第2工区(飛騨市古川町細江)では、用地買収に向けた用地調査を進める。主要地方道国府見座線八日町工区(高山市国府町八日町)では、引き続き道路改良工事を継続する」



 ―道路維持事業はどうか。

「公共防災・安全交付金事業(交通安全)では、一般県道鼠餅古川線(飛騨市古川町東町)で歩行者の安全確保のため歩道整備工事を行う。公共防災・安全交付金事業(雪寒)では、冬期の積雪時に道路幅員が狭くなり車両の擦れ違いが困難であることから主要地方道国府見座線(高山市上宝町蔵柱2工区)で堆雪幅確保事業として用地調査と設計に着手する。加えて一般県道古川国府線(飛騨市古川町本町)と国道360号(飛騨市宮川町打保)で冬期の交通を確保するため消雪設備の補修工事を行う予定だ。公共防災・安全交付金事業(トンネル補修)では、国道360号(飛騨市宮川町・岸奥トンネルほか)で補修工事を実施する予定でいる。公共防災・安全交付金事業(橋梁補修)では、国道360号の西忍橋などで耐震工事や補修工事を行う。崩落決壊防止事業では、風化した岩盤斜面からの剥離や斜面上の浮石による危険性を解消するため、国道360号と471号で14年度に引き続き落石防止工事を実施する予定だ」



 ―河川事業については。

「公共社会資本整備総合交付金事業では、宮川(飛騨市古川町谷)で16年度以降の工事に向け調査と設計を行う」



 ―砂防事業については。

「公共防災・安全交付金事業(通常砂防)では、15年度は岡前谷(飛騨市古川町袈裟丸)で堰堤工事を実施する予定。公共防災・安全交付金事業(通常砂防)では、七郎谷(飛騨市古川町中野)で14年度補正予算により堰堤工を実施中。当該工事にて事業完了の予定だ。公共防災・安全交付金事業(通常砂防)(新規)では、15年度より出しケ谷(飛騨市河合町稲越)で工事用道路・堰堤工に着手する。公共防災・安全交付金事業(通常砂防)では、一本栃洞(飛騨市古川町上気多)で測量・調査・設計に着手する予定だ」



 ―建設業界にメッセージを。

「14年度は04年度の台風23号による豪雨災害以来の大きな災害が発生した。また、12月から3月にかけての積雪により、一部の県道における通行止めが発生している。その際には建設業者の皆さまには、ご協力をいただき大変感謝している。本地域は山間地域であり、また積雪が多く寒冷な地域であることもあり、安全で円滑な冬期の通行確保のための除雪など、建設業界の機動力は不可欠。強靭(きょうじん)な県土整備を進めるためにも、引き続き迅速な対応とご協力をお願いしたい。また、建設工事における事故防止対策については、危険予知(KY)活動の実施、安全教育、訓練、研修会などに取り組んでいただいている。しかし、いまだに工事関係者の事故や公衆損害事故が発生していることから、県内の事故発生事例の水平展開を図ることにより、事故撲滅を目指していきたいと考えている。建設業界には社会資本の整備・維持管理を通して、地元に密着した住民の安全・安心を守る信頼される業界として、災害時の応援協力や除雪、そしてボランティア活動などへのご協力をお願いしたい」






平岩1号橋




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