桑名市、いなべ市、木曽岬町、東員町の2市2町を管轄する三重県桑名建設事務所は、東海環状自動車道の整備に伴う道路改良、南海トラフを震源域とした地震に対する海岸部の耐震化や液状化対策、いなべ市内の山間部で整備を進める土石流対策を主要事業とし、バイパス整備や橋梁耐震補強、員弁川の河川改修などを継続して進めている。2015年度の主要事業を4月に就任した真弓明光所長に聞いた。
――道路関係の重点事業について。
「主な道路事業としては、桑名大安線道路改良事業、多度長島線(中須橋)、都市計画道路桑部播磨線事業、主要地方道四日市員弁線バイパス(BP)道路整備などを進める」
「桑名大安線道路改良は国土交通省が整備を進めている東海環状自動車道東員インターチェンジ(IC)へのアクセス向上と四日市東員線との交差点部の渋滞緩和を目的に、クランクの解消と念仏大橋拡幅(右折車線設置)を行う計画で、現在、東員橋の架設を進めている。東員ICから四日市北ジャンクションの開通が15年度末に予定されており、この供用開始に合わせて、東員橋前後の取り付け道路と舗装を行う。全体の完成時期は16年度の予定」
「多度長島線(中須橋)は、国道258号へのアクセス道路となるが幅員狭小区間の解消と老朽橋の架け替えが目的。すでに中須橋の新橋の架設が完了しており、旧橋の下部工撤去と護岸工、左岸側取り付け道路の整備を予定している」
「桑部播磨線は桑名市西南部と伊勢湾岸道路朝日ICの供用で市街地化が進む朝日町、四日市市臨海地域とを結ぶ路線として計画され、計画当初は桑名市事業として整備を進めていたが、県が桑名市から事業を引き継いだ。この区間の整備については、桑名大安線道路事業、員弁川河川改修事業、桑部播磨線街路事業、桑名大安線交通安全対策事業の4事業を一体的に進めることから、桑部播磨線整備事業と総称し、整備を進めている。桑部橋周辺について、15年度は引き続き用地買収を進めるとともに、交通安全対策として歩道整備に一部着手する」
「四日市員弁線BPは、非常に狭隘(きょうあい)である区間のBPとして、いなべ市大安町大井田(国道365号)を起点とし、いなべ市員弁町大泉新田(国道421号)を終点とする延長約2100bの区間を整備する。BP区間は、国道365号から員弁川を渡り、いなべ総合学園付近を経て、三岐鉄道を跨線、国道421号を結ぶもので、国道365号から市道西方上笠田線(いなべ総合学園付近)までの延長約900b(橋梁部192b)を第1工区、同市道から国道421号までの延長約1200bを第2工区として整備する。15年度は、第1工区と市道取り付け道路の整備を継続する」
――橋梁の耐震補強は。
「15年度は東福永橋(橋長168b)、鎌田大橋(橋長121b)、新嘉例川橋(橋長59b)の下部工を補強するほか、福吉橋(橋長150b)の耐震設計と下部工の補強を計画している」
――砂防・河川事業について。
「砂防事業は、いなべ市藤原町の西之貝戸川と小滝川で、土石流が近年多発しており、国補通常砂防事業、災害関連緊急砂防事業、特定緊急砂防事業、激甚災害特別緊急事業により砂防堰(えん)堤の設置などに取り組んでいる。15年度は西之貝戸川で尾根掘削を継続し、小滝川で管理用道路を進める予定。このほか、青川砂防では新設した堰堤に土砂が堆積しており、継続して撤去を行う」
「河川事業では、延長3万6700bの員弁川が主要事業となる。近年、ゲリラ豪雨が頻発する中で、甚大な被害の発生が予想されており、対策として、下流の日の出橋から大安町宇賀川合流点までの延長1万6400bで築堤、樋門、河床掘削などに着手している。15年度は、桑部橋周辺の用地買収などを道路事業と連携して進める」
――海岸事業については。
「長島地区海岸(桑名市長島町浦安)は、北側は木曽川、南側は揖斐川・長良川に挟まれた典型的な輪中地帯であり、延長約1400bの海岸保全施設となっている。背後にはゼロメートル地帯が広がり、人家密集地区や大型レジャー施設、主要な幹線道路の国道1号、23号がある。耐震調査の結果、地震時に堤防下の地盤が液状化することが判明したので、07年度から海岸高潮対策事業として堤防補強を継続している。15年度は堤防の堤内(陸)側の耐震対策を行う」
「城南第一地区海岸(桑名市福岡町)は、揖斐川と員弁川に囲まれた輪中地帯。背後にはゼロメートル地帯の干拓地平野が広がっている。耐震調査の結果、地震時の液状化に伴う堤体沈下により、津波や高潮に対しての防護機能が果たせていないことが分かった。15年度は、堤防延長790bのうち、堤外(海)側と堤内(陸)側の地盤改良工を進める」