−2015年度事業についての抱負を
<石塚> 東駿河湾環状道路の開通以降、地域も活性化してきました。さらなる飛躍に向け、新東名高速道路の延伸や天城北道路の開通、東駿河湾環状道路の沼津岡宮インターチェンジ(IC)以西区間の新規事業化、下田河津道路の概略ルート検討着手など、大きな期待がかかっています。こうした効果を管内隅々まで拡充していくため、国道136号や国道414号のバイパス工事をはじめとした幹線道路のネットワーク強化を目指していきます。
また、地域の活性化は、安全・安心の基に築かれております。発生が危惧される東海地震などの大規模地震や近年頻発している局所的豪雨などの自然災害に備え、橋梁をはじめとした既存施設の耐震対策や既存の水門などを一元的に監視制御する「津波・高潮防災ステーション」などの津波対策、沼川での新放水路建設に向けた事業の推進による洪水対策、狩野川中流域、沼川・高橋川流域、大場川左岸流域における豪雨災害対策アクションプランに基づく総合的な治水対策を講じていきます。
富士山に続き、韮山反射炉の世界遺産や伊豆地域の世界ジオパークの登録も大きく前進しております。このような魅力ある管内をより良いものにしていくため、15年度も社会資本整備によるまちづくりを推進していきます。
−15年度の事業予算の概要は
<石塚> 15年度は、5月末現在、約247億円の事業費が予定されております。
事業別に見ますと、道路関係が約133億で54%、河川関係が約42億で17%、砂防・急傾斜関係が約12億で5%、港湾・漁港関係が約9億で4%、また都市計画・下水道・建築関係他が約51億で20%となっています。
−道路関係の主要事業は
<石塚> 東名、新東名といった広域交通体系からのアクセスの向上による経済面や防災面への貢献や、普段の生活に関わる身近な交通安全対策などを着実に進めていきます。
天城北道路関連では、国土交通省が整備を進めている湯ケ島ICから国道414号までの連絡路の西側、国道136号(仮称)下船原バイパスの用地買収および橋梁下部工を進めていきます。
新東名高速道路関連では、御殿場市内で、(仮称)御殿場ICへのアクセス道路となる県道仁杉柴怒田線の用地買収を引き続き進めるとともに、長泉沼津ICから国道246号へのアクセス道路となる県道大岡元長窪線に接続し、県道沼津小山線からのアクセス道路となる都市計画道路池田柊線の整備を進めていきます。
この他にも国道414号静浦バイパスや国道136号伊豆市土肥峠工区の整備も継続して進めていきます。
交通安全対策では、県道下土狩徳倉沼津港線の清水町湯川、国道136号伊豆の国市南條などで自転車歩行者道の設置、交差点改良などを進めていきます。
橋梁の耐震化、長寿命化では、橋梁耐震対策事業などにより、国道414号沼津市三園橋、国道136号新大門橋などの補修・補強を進めていきます。
その他、新規事業として、15年度からの2年間で「安全・安心緊急道路対策事業」を実施します。本事業では、暮らしに身近な道路において、通学路の確保や局地的豪雨への対応といった社会的課題に対し、歩行空間の整備や法面対策工等を主要地方道沼津土肥線(沼津市西浦古宇)他31カ所で進めていきます。
−河川・砂防関係では
<石塚> 県民の皆さまが安心して暮らすことができるよう、土砂災害、河川の氾濫、内水被害対策等を実施し、安全なまちづくりを着実に進めていきます。
沼津市沼川では、新放水路建設に向けて調査・設計及び用地買収を進めていきます。
三島市と清水町を流れる境川や伊豆の国市韮山古川などでは護岸工を実施するとともに、三島市御殿川などでは、護岸工とあわせ、流下阻害をしている橋梁の架け替えを進めていきます。
また、床上浸水が頻発している狩野川中流域、沼川(高橋川)流域、大場川左岸下流域で、ハード・ソフト対策を組み合わせたアクションプランを策定しておりますので、15年度も進捗に努めていきます。
土砂災害対策では、砂防事業により、伊豆の国市谷戸川右支川、伊豆市山田川支川東シッペイ沢で堰堤工などを実施し、急傾斜地崩壊対策事業により、沼津市重寺蛭子洞、伊豆市金山等で擁壁工などを実施していきます。
その他、新規事業として、15年度からの2年間で「豪雨対策緊急整備事業」を実施します。本事業では、局所的な箇所で時間100_を超えるような集中豪雨(ゲリラ豪雨)が頻発し、浸水被害が増加していることから、河道拡幅やネック構造物撤去などの緊急的な対策を黄瀬川他4河川で進めていきます。
−その他の主要事業は
<石塚> 都市計画事業では、沼津三島線、西間門新谷線などの街路の整備を進め、三島駅北口周辺では、池田柊線ほか市町事業と連携し年度内の部分供用開始を目指します。また、沼津駅付近鉄道高架事業につきましては、事業実施に向けた市民や関係者との調整を進めていきます。
下水道事業では、狩野川流域下水道東部処理区及び西部処理区で、長寿命化計画に基づいた、老朽化した施設の更新工事を進めていきます。
港湾・漁港関係では、沼津港や戸田漁港などにおいて胸壁工事などの津波対策や施設の延命化工事を進めていきます。また、想定される東海地震による津波などに的確・迅速に対応するため、水門や陸閘などの海岸保全施設を一元的に監視制御する「津波・高潮防災ステーション」の整備を進め、全面供用を目指します。
住宅・営繕関係では、12年度から全面的改善、いわゆるリモデル工事を行っており、15年度は14年度に引き続き県営原団地を実施していきます。その他、学校関係施設では、韮山高校の体育館の屋根改修工事などを実施していきます。
−建設業界に対して
<石塚> 最近、建設業界でも担い手不足の問題をよく耳にしますが、特に技術力の継承は大きな問題であると感じています。県民の豊かな生活は、地元をはじめとした建設業の方々の技術力によるインフラ整備や自然災害への対応により成り立っておりますが、それを未来につないでいくことが大事であると考えます。
未来を担う若者や女性が活躍できるような、また地域を守り、育むというプライドを持って働けるような職場づくりをお願いします。
<事業展望>
■道路事業(箇所付けはすべて5月末時点)
・5月末時点で、約133億円が予定されている。内訳は、補助事業が104億円、県単事業が29億円。
〔天城北道路関連〕
・国土交通省が進めている伊豆縦貫自動車道天城北道路と、(仮称)天城湯ケ島ICから国道414号(月ケ瀬)までの連絡路の整備に併せ、県では連絡路と国道136号(下船原)を結ぶ(仮称)下船原バイパスの整備を進めている。本年度は用地買収、橋梁工およびトンネル工を進める。
〔新東名アクセス道路関連〕
・県では御殿場市仁杉地内で、新東名の(仮称)御殿場ICのアクセス道路となる一般県道仁杉柴怒田線の整備を進めており、15年度は14年度に引き続き用地買収を進めるとともに、橋梁下部工を進める。
〔道路改築〕
・国道では、国道414号静浦バイパスの下香貫地区及び大平地区で道路工並びに、両地区を結ぶトンネル工事を進める。また、国道136号土肥峠工区で、鋼製工などの工事を進める。
・県道では、主要地方道三島裾野線(都市計画道路池田柊線)(長泉町中土狩)、一般県道韮山伊豆長岡修善寺線(伊豆の国市小阪)などで、用地買収や道路工などを進める。
〔交通安全施設事業(自転車歩行車道、交差点改良など)〕
・国道136号(伊豆の国市南條)、(国)414号(伊豆市下船原)で用地補償を進める。
・一般県道下土狩徳倉沼津港線(清水町湯川)、一般県道御園伊豆仁田停車場線(函南町塚本、間宮)、一般県道函南停車場反射炉線(伊豆の国市韮山土手和田)などで、用地買収、歩道工などを進める。
〔橋梁の耐震対策事業、長寿命化事業〕
・国道414号三園橋、国道136号新大門橋などで耐震補強工事などを進める。
・主要地方道三島裾野線徳倉橋で長寿命化のための補修工事などを進める。
〔その他事業〕
・15年度から2年間で実施する「安全・安心緊急道路対策事業」では、暮らしに身近な道路において「通学路の安全確保」や「局地的豪雨への対応」といった社会的課題に対応することを目的に、緊急性が高く短期間で事業効果が見込める箇所において対策工事を実施する。今年度は国道136号(伊豆の国市吉田)、主要地方道沼津土肥線(沼津市西浦古宇)他31カ所で整備を進める。
・無電柱化事業として、国道136号(伊豆の国市南条)、主要地方道三島停車場線(三島市文教町)で電線共同溝工事を進める。
■河川・海岸事業○約41億円が予定されている。内訳は、補助事業が26億円、県単事業が15億円。
・沼津市を流れる沼川では、12年5月に河川整備計画が策定され、新放水路建設に向け整備を進めている。15年度は14年度に引き続き調査・設計および用地買収を進める。
・三島市と清水町を流れる境川、伊豆の国市韮山古川等で護岸工などを進める。
・建設後、50年が経過した沼川第2放水路では長寿命化対策を実施する。今年度は、適切な維持管理をするための函体のライニングなどを進める。
・畑毛温泉に代表される観光地へのアクセス道路などの浸水被害を防止するために、来光川では、山梨静岡広域連携事業により、観音橋の架け替えや堤防整備による河道拡幅を進める。
・床上浸水が頻発している狩野川中流域、沼川(高橋川)流域、大場川左岸下流域で、ハード・ソフト対策を組み合わせたアクションプランを策定しており、関係機関と調整を進めながら進捗管理を行う。
・15年度から2年間で実施する「豪雨対策緊急整備事業」では、緊急的な治水対策により生活環境を改善し、地域防災力を強化する。15年度は、黄瀬川、御殿川、高橋川、鮎沢川の4河川で護岸工などを進める。
■砂防事業○約12億円が予定されている。内訳は、補助事業が10億円、県単事業が2億円。
・砂防事業により、谷戸川右支川(伊豆の国市田京)、山田川支川東シッペイ沢(伊豆市熊坂)などで堰堤工などを進める。
・急傾斜地崩壊対策事業により、沼津市重寺蛭子洞、伊豆市青羽岩下、伊豆市湯ケ島金山などで擁壁工などを進める。
・15年度から2年間で実施する「局地豪雨緊急対策事業」では、土砂災害防止施設の整備により、土砂災害が発生しやすく、避難に時間を要する地区の安全・安心の向上を図る。15年度は、砂防事業では小野畑沢(小山町)で除石工を進め、急傾斜事業では牧之郷アラク(伊豆市)他で擁壁工などを進める。
■都市計画事業○約17億円が予定されている。内訳は、補助事業が14億円、県単事業が3億円。
・(都)池田柊線の長泉町下長窪地内では、黄瀬川を跨ぐ橋梁の下部工工事を進める。
・(都)沼津三島線の長泉町下土狩地内では、JR御殿場線との立体交差部の擁壁工事と用地買収などを進める。
・(都)西間門新谷線の清水町柿田地内および(都)谷田幸原線三島市幸原町地内では、用地買収を進める。
・沼津駅付近鉄道高架事業では、原地区の用地買収を進めるとともに、事業実施に向け、市民や関係者との調整を進める。
■流域下水道事業○約23億円が予定されている。内訳は、補助事業が22億円、県単事業が1億円。
・狩野川流域下水道東部処理区及び西部地区では、12年度に策定した長寿命化計画に基づき、老朽化した施設の更新工事を進める。
■漁港・港湾事業○約9億円が予定されている。内訳は、補助事業が7億円、県単事業が2億円。
・沼津港では、東海地震等の津波等による背後地の被害軽減のため、防潮堤の整備を進める。
・土肥港では、地域住民と合意形成を図りながら津波対策の堤防改良・胸壁整備計画を検討する。
・戸田漁港では、近年の異常潮位等による高潮対策として胸壁工事などを進める。
・河川、港湾、漁港の各管理者が連携して、津波や高潮の発生時に水門・陸閘等の操作を遠隔かつ一元的に行う『津波・高潮防災ステーション』の整備を進め、15年度の完成を目指す。
■建築関係事業○約8億円が予定されている。内訳は、補助事業が7億円、県単事業が1億円。(この他、他部局施設の営繕工事として県単事業費が約3億円)
[県営住宅関係事業]
・県営原団地で全面的改善(リモデル)工事を昨年度から引き続き実施する。
・県営茶畑団地、県営原団地で外装改修工事を実施する。
[営繕関係事業]
・学校関係施設では、韮山高校体育館屋根改修、沼津商業高校グラウンドトイレ新設工事、伊豆総合高校職員住宅解体工事を実施する。
・交通基盤部関係施設では、沼津土木事務所修善寺支所外壁工事及び狩野川東部浄化センター内装改修工事を実施する。
・警察関係施設では、御殿場警察署公社外壁改修工事及び沼津警察署宿舎外壁改修工事を実施する。
東部農林事務所は、県東部地域の農業振興、農地整備、森林整備のほかに東富士演習場周辺の障害防止対策事業など幅広い事業を実施している。白井満所長に、2015年度の農地整備、森林整備に係る工事関係事業の概要について聞いた。
−15年度事業予算の概要は
<白井> 農業農村整備事業は、県営事業7事業、新規採択地区7地区を含む27地区で、約16億円の予算で実施します。
また、東富士演習場の障害防止対策事業関係では、4事業で約25億円の予算で実施します。
治山事業は、公共治山で11カ所、約3億4000万円、県単治山で7カ所、約8000万円、林道事業は、県営林道3路線で5カ所、約2億円の工事を実施します。
−農業農村整備事業については
<白井> ほ場整備事業、中山間地域総合整備事業、畑地帯総合整備事業、農村地域防災減災事業、農道整備事業、ストックマネジメント事業などを計画的に進めます。
継続地区のほ場整備事業では、水稲栽培の生産性と品質の向上を目指し、御殿場市で2地区、小山町で1地区、三島市で1地区、水田の整備を実施しています。ほ場整備事業に関連して、北駿地域では、優良な水田ほ場の整備を進めながら、春の田植えから秋の稲刈りシーズンを通じて、歩いて楽しむ「あぜみちウオーキング」を行い、ブランド米「ごてんばこしひかり」をPRします。
中山間地域総合整備事業では、中山間地域の振興と活性化を図るため、沼津市、裾野市、伊豆市で各1地区、小山町で2地区、水田のほ場整備や用水路、農道などの生産基盤整備を一体的に実施しています。
畑地帯総合整備事業では、みかん園の園地作業の省力化や品質向上のため、農道や畑地かんがい施設の整備を沼津市西浦・内浦の4地区で実施しています。また、三島市三ツ谷では、畑地の生産性向上につながる支線農道の整備を実施しています。
防災減災事業では、湛水被害を軽減するための排水施設の改修などを、伊豆の国市の2地区で実施しています。農道整備事業では、生産の効率化を図るため、三島市三ツ谷・元山中・川原ケ谷を結ぶ幹線農道を実施しています。
ストックマネジメント事業では、用水機場や用水路の補修工事、排水路の補修工事を伊豆の国市の2地区で実施しています。さらに、耕作放棄地解消対策事業を沼津市原石川地区で実施しています。
15年度の新規地区としては、畑地帯総合整備事業の「西浦みかん立保古宇地区」の採択により、実施中の4地区と併せ、西浦みかんの産地である沼津市内浦重須から西浦江梨の10集落を結ぶ農道、農業基盤整備を実施します。
農村地域防災減災事業では、ため池の耐震対策工事を行う小山町「中島貯水池地区」、伊豆の国市「城池地区」「すかほ溜池地区」、排水機場の非常用発電装置の整備を行う函南町「畑毛排水機場地区」、農道整備事業では、農道機能の保全対策を行う函南町「函南韮山地区」、ストックマネジメント事業では、排水機場の電気設備の更新や建屋の補修を行う函南町「畑毛地区」の採択をします。
−東富士演習場周辺障害防止対策事業については <白井> 東富士演習場周辺地域2市1町を対象に、演習場外の中小河川の改修を行っている洪水対策事業、演習場内の渓流整備や洪水調節池の設置を行う治山治水対策事業、1959年度から71年度に整備された農業水利施設などの補修整備を行う農業整備施設補修事業、農業用水不足の対策としての用水対策事業などを着実に進めてまいります。
治山治水対策事業では、演習場内の金沢川、搗の木川流路工などの整備を引き続き実施し、12年度に工事契約を行った「抜川調節池」では、本格的な盛立工事に着手して16年度完成を目指します。また、新規の調節池計画として、「境沢川調節池」の実施設計に着手します。
さらに、農業整備施設補修事業では、老朽化した農業用水管や揚水機場などの改修、農業用調整池の改修を計画的に進めていきます。
−治山事業については <白井> これまで県が復旧工事を進めてきた小山町北郷・須走地域の民有林については、10年9月の台風9号災を契機に大規模な崩壊が進み、集中的な対策を講じる必要があることから、15年度から24年度までの10年間で70億円という事業規模で、国による直轄治山事業が始まり、小山町のそれ以外の地域については、県が引き続き実施していきます。
13年度に新規着手した伊豆市修善寺の生活環境保全林整備事業については、「修禅寺」の北側森林を”安全で楽しい山”にするための整備を進めて行くほか、新規地区として小山町で3地区、伊豆市で1地区に着手し、復旧治山事業、農山漁村地域整備交付金事業などにより11か所で公共治山を実施します。
県単事業では、県単県営治山事業を伊豆市や熱海市など7カ所の工事を実施します。
森林の整備については、公共および県単治山事業により3カ所、面積で約60fの本数調整伐(間伐)や植栽工などを行い、森の力再生事業とともに、下草がない人工林など緊急に整備が必要な森林の整備を行っていきます。
また、治山事業においても工事の実施を通じ、県産材の利用・搬出への取り組みを推進していきます。
−林道事業については <白井> 林道事業については、土肥戸田線の開設および舗装工事を引き続き実施するほか、裾野市において幅員4b、全体計画延長18・3`bの森林基幹道裾野愛鷹線の開設工事に新規に着手します。また、新規に小山町の金時線の舗装改良を全線にわたり実施する予定で、15年度はまず一部区間の改良工事に取り組みます。 補助営林道事業では、国庫補助による林道舗装1路線、県単独林道事業による管内5路線の林道整備と、効率的な木材搬出に直接結びつく3路線の森林作業道の整備を実施します。
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−15年度の事業予算の概要について
安達 15年度は、5月末現在、14年度からの繰越を含む、約53億円の事業費が予定されております。事業別にみると、道路関係が約37億円(70%)、河川関係が約9億円(17%)、砂防関係が約3億円(5%)、災害関係が約2億円(4%)、また街路・公園等関係が約2億(3%)であり、特に道路の比率が高くなっています。
−主要事業の概要については
<安達> 最も主要な事業は、新々富士川橋整備事業です。県道富士由比線の富士川橋周辺の交通量は、2万台/日以上と、交通容量である9千台/日を大きく超えており、朝夕の通勤時間帯を中心に著しい交通渋滞が発生しています。この交通渋滞緩和を目的として、富士川を渡る交通の分散を図るため、その上流約1・5`の地点に計画し、02年度から事業を進めているところです。しかし、事業着手以降、環境問題への懸念などから地元の方々の事業に対する理解が得られない状況が続いていました。そのため、全体説明会や個別説明を継続して実施し、事業への理解を得るために積極的な働きかけを行ってきました。その結果、09年度に地元自治会、県および富士市の三者の間で住民の方々が不安を抱いている、生活道路の分断などの解決すべき課題を確認しあい、課題解決のための検討を行うため、路線測量等に着手しました。12年度に課題解決のための対応方針について地元との合意を得ることができ、その後事業用地の確保と詳細設計を進めています。本年度は、引き続き事業用地の確保を進めるとともに橋梁下部工事の着工を目指します。
また、他の主要事業として、国道469号(通称・富士南麓道路)の整備があります。この路線は、国道138号と国道52号を富士山の南麓で東西に結ぶ基幹道路ですが、地域の活性化を促進し、観光道路や災害時の物資などを運ぶ緊急輸送路としても期待されています。これまでに、幅員が狭く大型車のすれ違いに支障がある、富士市勢子辻から富士宮市山宮間の約12・3`を優先整備区間として整備しています。市境に約0・3`あった未改良区間は、今年4月末に工事が完了し、供用開始しました。
また局地改良として、富士宮市下稲子で進めていた約0・6`のバイパスについても14年12月に供用しております。本年度は、引き続き富士宮市山宮の事業用地の確保に努めるとともに、富士宮市北山の歩道整備を進めていきます。続いて、富士宮市芝川地区から新東名新清水ICへのアクセスとして重要な路線でもある県道清水富士宮線で、富士宮市内房尾崎地内で進められている尾崎バイパスの整備です。道路狭隘区間をバイパスする円滑な交通の確保を目的に1期工区0・6`のバイパス整備に1996年度から事業着手し、12年12月に供用しております。13年度に2期工区約0・5`の整備に着手し、本年度は用地調査などを実施する予定です。また、道路ネットワークの信頼性の向上のため、橋梁の耐震対策と長寿命化対策に取り組んでいます。今年は耐震対策では緊急輸送路に指定されているダイナ橋(県道清水富士宮線)など、長寿命化対策では緊急輸送路に指定されている北山大橋(国道469号)などの工事を実施していきます。
−そのほかには <安達> 道路事業では、大規模な改良ばかりではなく、小額の予算で短期間の整備により高い効果を発揮できるような事業、例えば、安全・安心緊急道路対策事業などにより、皆さんの生活に密着した道路の整備や交通安全対策を進めています。また、効果的・効率的な”みちづくり”を進めるため、地域の方々との意見交換を行うなど、県民とともに進める”みちづくり”に取り組んでいます。
河川事業では、富士市街地を流れる和田川・小潤井川・伝法沢川の流域において、近年の局地的豪雨や市街化の進展により浸水被害が頻発しており、その対策が急務となっています。そこで、07年度に従来の河川整備を中心に取り組んできた治水対策に加え、下水道整備や調整地の設置など、流域全体における保水能力の維持から防災体制の強化まで、関係者が連携し行動するための計画『豪雨災害対策アクションプラン』を策定しました。
この計画は、河川を中心に考えられてきた従来の治水対策の対象範囲を、流域全体に拡大し、官民の枠を越えて一丸となって取り組んでいくことが大きな特徴です。今年度は継続箇所の進捗管理を行うとともに、事業完了箇所における対策効果の検証や次期対策内容の再検討等を行う予定です。小潤井川や伝法沢川流域で頻発する浸水被害の軽減を目的とした大規模な調整地が14年度に完成しましたので、今後はその効果の検証を行ってまいります。また、同様に浸水被害が発生している田子江川では、13年度に河川整備計画を策定し、河川改修に着手することができました。今年度は引き続き河川改修を実施する予定です。
このほか、都市計画事業では、富士市内の中心部と新東名インターを結ぶ主要な路線である(都)本市場大渕線の街路整備を進めています。99年度に事業化され、09年度から道路新設工事に着手し、12年度には現道取付部の大型補償物件を契約することができました。今年度は、その用地先行返しを行うとともに、引き続き残る事業用地の確保に努めていきます。
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−本年度の事業費について
<竹林> 本年度は、農業農村整備事業と治山・林道事業関係で約9億8400万円の事業を予定しています。その内訳として、農業農村整備事業は県営で5億6000万円、補助事業で1億3000万円、治山・林道事業では県営事業で2億1500万円、補助事業で7900万円となっています。
−農村・農地整備関係事業の概要について
<竹林> 農業農村整備については、美しく品格のある農山村の創造に向けて「”ふじのくに”の農山村づくり」を推進するため、各種の農業農村整備事業を計画的かつ効率的に施行していきます。また、農業用水を安定的に確保するために計画的な点検整備を行い、農業水利施設の機能を維持していくための適切な保全管理に努め、予防保全対策を推進し長寿命化を図ると共に、ライフサイクルコストの低減と更新時期の平準化を重点的に進めて行きます。
さらに農村地域の過疎化・高齢化が進む中、農業の持続的発展と多面的機能の健全な発揮を図るために、ハード事業だけでなく効率的・安定的な農業構造の確立と併せて、その基礎となる農地・水およびそれらを取り巻く環境の適切な保全管理と質的な向上を図る必要があります。当事務所では富士山の豊かな生態系を育む環境を守るため、農業者と地域住民が一体となって地域で取り組む「ふじのくに美農里(みのり)プロジェクト」や「一社一村しずおか運動」などにより、魅力ある農山村づくりを推進して行きます。
「ふじのくに美農里プロジェクト」では、管内の9組織が847fの農地において、農道・水路の草刈りや補修、水路の泥上げなどを通じ、環境美化や生態系保全、子供たちへの環境教育などの活動を行っています。
県内には、美しい風景や脈々と受け継がれた伝統など、個性豊かな地域資源を有する農山漁村がたくさんあります。「ふじのくに美しく品格のある邑づくり」は、こうした地域資源の保全・継承を住民が主体となって行う魅力ある地域を登録するとともに、活動を支援しています。県内では84地区、管内では現在4地区が本運動の認定を受けております。15年3月には、そのうちの1つである「白糸の里」地区が、県知事顕彰を受賞しました。今後も、県知事顕彰を受けられるよう、これらの取り組みを支援し、地域の活性化を図って行きます。
−農業農村整備事業の本年度計画について−
<竹林> 本年度は継続3地区と新規7地区を実施します。まず、富士市においては、中里他の「富士東部地区」で、老朽化した312fの用水管などの更新整備を行うため、経営体育成基盤整備事業に本年度新規事業着手する予定です。また、「沼田新田地区」において、昭和放水路の保全対策工事を行うため、河川応急対策事業に新規事業着手します。浮島、大渕、富士川の3地区では、基幹農道の舗装工事を行うため、農道保全事業に本年度新規事業着手します。継続地区である「沼川地区」では引き続き基幹水利施設ストックマネジメント事業により樋門や樋管などの補修を行います。
富士宮市においては、「村山3期地区」で農地保全整備事業により、農道等の整備を進めます。 集落基盤整備事業「朝霧高原地区」では、富士宮フードバレー構想の実現に向け、猪之頭・麓・根原・人穴・上井出の広域で、ほ場整備・農道・農業用用排水施設などの基盤整備を行います。杉田の「富士根南地区」では、農道および畑地かんがい施設の整備を畑地帯総合整備事業により進めます。
また、杉田、西山の2地区では基幹農道の舗装工事を行うため、農道保全事業に本年度新規事業着手します。
−森林関係事業の概要について− <竹林> 森林づくり県民税を活用した森の力再生事業による森林整備、林道事業による基盤整備、治山事業による防災工事のほか、鳥獣保護管理、狩猟指導、県民参加の森づくりの推進、育種事業など、森林に関連した幅広い事業を実施しています。また、管内では株式会社ノダが富士川事業所内(富士市中之郷)に合板工場を新設し、4月から本格的に稼働しました。このように県内唯一となる合板工場が新設されたことで、県産材の新たな需要先が創出され、森林整備と木材利用の一層の推進が期待されているところです。
−治山・林道関係事業の本年度計画について <竹林> 治山事業では14年度に引き続き潮害により枯損した富士市の海岸保安林の再生を図っていきます。また、富士宮市猪之頭地内では、渓岸浸食の防止、拡大崩壊の防止を図るため、継続して谷止工を施工していきます。そのほか、県単独治山事業により、施設修繕、治山調査などの県営事業を実施し、山地に起因する災害の未然防止、早期復旧を図っていきます。
林道関係では、森林管理道天子ケ岳線の開設工事を行います。本路線は旧芝川町と富士宮市白糸地区の間に横たわる天子山系を越え、広大な森林地帯を巡る線形となっています。この路線の開通により、旧芝川町奥地の豊富な森林資源の活用が期待されるほか、山村地域の集落をつなぐアクセス道、災害時の迂回路としての役割を担うことが期待されます。
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−2015年度の取り組みについて
<桜井> 田子の浦港は、古くは「吉原湊」と呼ばれ、世界文化遺産に登録された「富士山」の玄関口でした。今の田子の浦港は、高度経済成長期に建設され、駿河湾臨海工業地帯の拠点として発展してきましたが、これまでの「工業港」一辺倒から市民参加による「安全で使いやすく親しみのある」みなとづくりへ変化しています。具体的には、マスタープランである「港湾計画」に基づき、耐震強化を施し船舶の大型化にも対応した岸壁整備や航路・泊地の増深、底質ダイオキシン類に関する環境対策、そして地域の皆さんとの協働による緑地整備などを中心に、「みなとづくり」を進めています。また、港湾機能の維持も重要で、台風などによる港口部の埋塞対策や河川からの流入土砂などの浚渫も継続して対応していく必要があります。さらに、港湾利用促進のためのポートセールスや「富士山しらす街道プロジェクト」との連携など、港の振興を積極的に図っていきたいと考えております。
−「みなとづくり」の中心事業は
<桜井> 県では、「駿河湾港アクションプラン」で定めた駿河湾港3港(田子の浦港、清水港、御前崎港)の連携を踏まえ、「物流・産業」、「防災・危機管理」、「交流・生活・環境」の3つの視点から、概ね30年先を見通した必要な施策を「駿河湾港整備基本計画」として取りまとめました。「物流・産業」としては、中央地区多目的国際ターミナルの整備です。水深12b岸壁2バース(480b)、泊地・航路(水深12b)も供用され、輸送コストの大幅な縮減が期待されます。「防災・危機管理」としては、「第4次地震被害想定」に基づき、「みなと機能継続計画」を策定し、産業活動維持や緊急物資輸送などに対応した港湾機能を確保します。「交流・生活・環境」としては、交流拠点となる港口両側で整備中の緑地やプレジャーボート収容施設の整備、そして底質ダイオキシン類の浄化対策を進めてまいります。以上のようなハード整備を推進する一方で、ソフト事業にも力を入れています。
整備が進む「ふじのくに田子の浦みなと公園」については、地域の方々と定期的に意見交換を行いながら、計画から工事、管理運営に至るまで「協働」作業を行っています。鈴川海岸の緑地公園計画も、地元の方々とワークショップにより積上げてきました。また、港の景観づくりにも取り組んでおり、「田子の浦港色彩計画」は、富士山や松林などの景観特性を活かし、人々に親しまれる港づくりを目指すもので、荷役機械や上屋、民間企業の事業所など、緑や青を基調とした統一感のある景観が形成されてまいりました。
−15年度の実施事業は
<桜井> 国土交通省(直轄事業)は、航路の保全対策として港口部のポケット、トレンチ浚渫の実施と効果の検証を行います。県事業としては、補助事業による泊地埋没対策の浚渫工事、依田橋水面処分場整備の公害防止工事、環境整備として「ふじのくに田子の浦みなと公園」の施設整備、鈴川海岸の緑地整備工事などを行います。県単独事業としては、泊地の維持浚渫工事、港口の浚渫工事などを実施します。
−事業の進め方は
<桜井> 公共事業の効率的な執行の観点から、直轄事業の泊地・航路増深工事と県事業の公害防止対策事業(ダイオキシン類浄化対策)の浚渫工事を連携して行っています。
具体的には、浚渫区域が重複するため、浚渫・中間処理までを直轄工事で、その後の運搬・埋立を県で実施するという役割分担を設定し、相互の受委託により円滑な事業執行を図っています。田子の浦港の浚渫土砂の処理については、埋立処理場の延命化とともに、土砂の有効利用を図るため、分級・脱水による中間処理を採用しています。分級した砂利・砂は海岸養浜材として活用する一方、シルト質土は脱水により減容化し、セメント系固化材による改良などを行い、埋立処理をしています。海岸堤防の拡幅・補強のために浚渫土による埋立(盛土)が完了した鈴川海岸においては、地元との協定に基づき、環境モニタリングを継続して実施しております。こうして造成された幅広の堤防には、市民が利用できる緑地公園とするため、昨年度から緑地整備に着手しました。上屋の耐震補強工事を計画的に進めており、昨年度に吉原2号の耐震補強工事が完了したことにより、港内の上屋全ての耐震補強が完了しました。「ふじのくに田子の浦みなと公園」(面積7・6f)は、浚渫土砂を利用した造成地に整備しているもので、「山部赤人万葉歌碑」なども好評です。なお、本公園は、数少ない沿岸部の高台(標高17b)として、防災ヘリポートとしての活用も期待されております。
−本年度の目玉工事は
<桜井> 環境基準を上回る港内底質土砂を処分するために、依田橋水面処分場の地盤改良工事が主要な工事になります。
「ふじのくに田子の浦みなと公園」では、富士市にゆかりのあるロシア軍艦「ディアナ号」にちなんだ施設整備に本格的に着手し、鈴川海岸では引き続き緑地整備を進めていきます。また、泊地・航路の維持水深を確保するため、河川などから流入する土砂の維持浚渫工事や港口から流入する土砂の浚渫工事も引き続き実施していきます。
−今後の課題は
<桜井> 田子の浦港は掘込港湾であり、毎年およそ数万立方bの浚渫を行っています。浚渫土砂のうち、砂礫は海岸養浜材として利用していますが、シルト分については陸上埋立処理をしており、引き続き処理場の確保が不可欠です。富士市を中心に県東部地域の産業を支える「重要港湾」の機能維持のため、関係各位のご協力をいただきながら、新たな処理場の確保や浚渫土砂の利活用を進めていきたいと考えております。沼川水面処分場の埋立て工事では、溶出抑制の原位置固化や流出防止の2重締切矢板護岸など、高度な技術を要する工事であるため、環境に十分配慮し着実に進めてまいります。港口部埋塞については、国土交通省と連携し恒久的な対応策を検討してまいります。また、「富士山しらす街道」と連携して、漁港区や「みなと公園」を新たな交流拠点に育てていきたいと思います。一方では、減少傾向にある取扱貨物量の回復を目指し、「田子の浦港ポートセールス実行委員会」を中心に、県東部地域や山梨県などの企業に働きかけ、本港の利用促進を図ってまいります。 こうした取り組みにより、「安全で使いやすく親しみのある」みなとづくりに努めてまいります。
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