ブロック塀の安全施工に統一基準を
2018/8/20
6月18日の大阪北部地震から約2カ月、ブロック塀の安全性を適切に診断・評価するブロック塀診断士へのニーズが高まりを見せている。同資格を認定する日本エクステリア建設業協会(JPEX)の後藤幸男関西支部長にブロック塀対策の現状や課題を聞いた。(聞き手は地方建設専門紙の会・建通新聞社大阪支社報道部=増田茂樹)
―大阪でのブロック塀診断士講習・試験では参加の申し込みが急増した。
「地震の影響は明らかにあるだろう。2017年度は大阪での開催がなかった上、本年度は当初1回だけの開催だったのを8月4〜6日の3回に増やすことになった」
―ブロック塀診断士への期待感が増している。
「資格を取ったからいいではない。試験に合格した後でも、実際に施工するときに、どう施工したらいいのか教えてほしい、道具は何がいるのかと当協会に尋ねてくる人も多い。合格した人にはまず、自分の家や会社にあるブロック塀で試すなど現場に触れてほしい。継続的に勉強したり、技術面の情報交換をしたりして資格を生かせるようにしてもらいたい」
―国交省が避難路にあるブロック塀の耐震診断の義務化を検討しているという話もある。
「避難路や通学路での診断の必要性は高いだろう。自治体が決めた補助金の対象でも通学路に限定しているケースが多いが、実はそれ以外の一般の住宅地でも危険だと感じるブロック塀はたくさんある」
―なぜ危険なブロック塀が多いのか。
「ブロック塀に対する考え方があいまいだ。発注者によっても設計担当者によってもいろいろな解釈ができてしまう。事故が起きた高槻市の小学校のブロック塀も、建築基準法に違反していないという意見もある。現場調査をすると、どうにもならないブロック塀があり、そのほとんどが“土留め”と解釈されている。土をかぶっているから崩すのは難しい。とにかく安全な高さまで落とすという提案しかできない」
―一般の人にはさらに分かりにくい。
「自宅にブロック塀をつくる場合、施工業者には『基礎をどうするか』を聞いてほしい。それだけでも安全に施工する業者かどうかの比較材料になる。値段を聞いて二の足を踏むお客さんも多いが、倒壊してからでは遅い。自治体からの補助金が出ている今はいい機会だと思う」
―協会の役割も大きい。
「公共工事と同じように民間の外構工事にも基礎の検査、ブロックの検査などが必要。安全に施工するための統一的な基準を、私たち専門家の団体が率先して示さないといけない。建築基準法も変えないといけない部分があるだろう。全国組織の公益社団法人としての役割だと認識している」
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