今切川に架かる新しい加賀須野橋(一般県道川内大代線)が完成し8月8日に供用を開始した。新橋ではこれまでの跳ね上げ式を変更し、開閉部がエレベーターのように上がる昇開式を採用。可動橋部の航路幅を37bまで広げており、課題だった安全・安心かつ円滑な交通の確保と、いっそうの物流の効率化が図られるものと期待されている。車道昇開橋としては国内最大の可動部を有する橋梁となる。
橋長は237m(幅員14.5m)。P4とP5の間が可動部で、この区間だけ昇開式鋼床版箱桁を採用(このほかは高強度PCT桁を採用)。可動橋の桁架設は当初1週間から10日程度の航路閉鎖を必要としたため、航路利用者の事情もあり盆休み期間でしかできず、そのため橋梁の完成自体はもっと先になるはずだったが、施工者の横河ブリッジ・神例造船JVは、桁の送り出しやワイヤクランプと呼ばれるジャッキによるつり上げを行うよう架設方法を変更。送り出しから桁の吊り上げ固定までをわずか3日の航路閉鎖で行える工法の提案により、5カ月架設作業を前倒しし早期完成を実現した。
可動橋の重さは約450t。これをタワーの上部に設置した巻き上げ装置により、13mの高さを1分40秒で上下させる。効率よく巻き上げられるよう4本あるタワーに沿って約100tずつ計4基約400tのカウンターウエイト(重り)を吊るし、この重りと橋の重量をバランスさせながら上下する仕組み。
巻き上げ装置は電子制御され、エレベーターのようにスムーズに動き、橋の傾きを補正できるほか、昇降の途中で停電となった場合には非常用発電機が作動するようになっている。また、こうした機能面だけではなく、県の新しいランドマークとなり得るよう景観面でも配慮。橋桁やタワーの色は重厚なイメージと徳島特産の阿波藍をイメージした「濃い藍色」としたほか、タワーの上部の機械室は重量感を抑えるため、窓の形状を「水平連続窓」とし、色は周辺の景観に調和しやすい「シルバーブラック」とした。