【東海地域】女性が活躍できる建設業へ|建通新聞社

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女性が活躍

 

 建設業の担い手確保・育成に向け、女性の入職促進が大きなテーマになっている。どうすれば一人でも多くの女性に建設業の世界に入ってもらえるか。愛知建設業協会が主催した座談会で、建設業の現場で働く5人の女性が経験や意見を話し合った。

 

目で見える成果にやりがい

 

司会 仕事のやりがいや、印象に残っている仕事からお話しください。

山口 やりがいは、仕事が地図に残り、お客さんに喜んでもらえることです。昨年、初めて一人で現場を担当し、苦労しましたが印象に残っています。

村田 思い出に残っているのは、愛知万博の会場の道路の仕事です。初めて主任として担当しました。工程が厳しく大変でしたが、万博で自分の造った道路を見て、よかったと感じました。

渡邊 左官ですから、塗っている時が一番楽しく、やりがいを感じますね。

柴田 マンションの大規模修繕で、住民の主婦のみなさんと仲良くなり、かわいがってもらったことが印象に残っています。

伊藤 入社して3年間、藤前干潟で堤防を造る仕事をしました。自分が死んでもその造った構造物は残ります。今でも見に行きます。自分が造ったものを見られるのもいいことです。

 

先輩の存在が入職を後押し

 

【ものづくりに魅かれて】

司会 皆さんはどういったきっかけで建設業を選んだのでしょうか。

伊藤 大学進学の時点で土木に絞っていました。実家はクレーン業で、父と兄二人がオペレーターです。姉も橋梁メーカーの事務員で、家族全員が建設関係です。私も建設業に進もうと自然に思いました。外に出る方が向いていると考え、現場監督を選びました。

柴田 小さいころからものをつくることが好きだったので、大学は建築学科でした。最初は設計を考えていましたが、授業を受けるうちに向いていないと思い、施工を選びました。

村田 外で働きたい気持ちが大きく、土木の現場に出してもらえる会社を選びました。私が就職したころは、ゼネコンでも、女性を採用する会社はわずかでした。

山口 ものづくりが好きだったので、建築学科に進みました。設計を考えていましたが、就職活動時に、建てることに直接携わりたいと思い、現場監督を選びました。

渡邊 工業高校で先生に勧められました。自分の高校から今の会社に女性の先輩が何人か入っていたことが何よりも後押しでした。


司会 建設業への女性の就職のきっかけづくりという面で、どのようなPRが有効だと考えますか。

渡邊 現場監督か技能者かによってアプローチが変わってきます。技能者の場合、高校を卒業するタイミングでPRするべきです。建設業の仕事を具体的に分かりやすく伝えることが大事です。




女性に見せたい女性の活躍


山口 高校生や大学生が、女性が監督をしている現場を見る機会があるといいです。私自身は学生時代にそういう現場を見ることはありませんでしたが、女性の監督さんと話す機会がありました。その影響は大きかった。

村田 私がいま人事採用を担当しているのは、現場を経験した私が話をすることで、学生に伝わるものがあると会社が考えたからだと思います。大学で学生に話をする機会がありますが、女性は少なく、90人のうち2〜3人程度です。女性の参加者に「現場ってどうですか」と聞かれることがあります。そういった時に体験を話すことがいまの仕事です。

柴田 うちの会社も女性を採用する動きがあります。会社のパンフレットに載ってほしいと言われ、引き受けました。いま一人で現場を担当しているので、女性でも一人でできることをアピールしたいようです。実際に何人か採用試験を受けた女性がいるようです。

伊藤 人事担当者と一緒に出身大学に行き、話をする機会がありました。写真を見せながら学生に仕事を話すのはとても大事です。また大学に行く機会があります。心をわしづかみにしてきます。

司会 女性専用のトイレや更衣室などの施設整備も課題です。

渡邊 トイレで仕事を選ぶ人はいないでしょう。しかし、動線を区切って専用トイレを設けるなど、以前とは変わってきました。トイレや洗面台を備えた女性専用の休憩所を配置した現場もあります。

伊藤 簡単な着替えぐらい見えても平気な覚悟がないと現場の仕事はできないと思います。雨に濡れた時など、所長を事務所から追い出して着替えることもあります。小さな現場だとトイレが一つです。みんな気を遣っているようです。汚したら自分できれいにするのは当たり前です。

柴田 男性と兼用の作業服が体に合わず、入社当初、妊婦さんと間違えられました。女性用は体にフィットしますし、そういった面もみてもらえるとうれしいです。

村田 入社当初、遠隔地の現場で、私一人だけアパートを借りてもらいました。女性を現場で生かすための会社のコストも実際にあります。「現場代理人になって予算を組めば」と言われてきたので、最後は自分で女性用トイレを設置しました。

山口 施設のことは、入社する時から覚悟していました。でも、所長の気遣いで、女性用トイレや、事務所の一部にカーテンを設けてもらった時はうれしかったです。専用の施設は、女性に入職をアピールするきっかけになると思います。


【子育てとの両立に課題】

司会 入職者の拡大には、週休2日の定着など就業環境の改善や、仕事と家庭の両立といった課題もありますね。

渡邊 いま休みは日曜だけです。連休はゴールデンウイークやお盆、正月のみ。毎日の仕事が8時から5時までの定時なのはいいのですが、丸一日の休みの有無はだいぶ違います。

山口 大きな現場なら交代で休めますが、ほとんど休みは日曜だけです。一人の現場だと交代もできません。結婚して子供ができるとつらいのではないかと思います。




自らの経験を女性に伝える


村田 自分の経験から、実家の親など身近な支援がなければ、現場と子育ての両立は無理だと思います。私の場合、支援はなく、夫も単身赴任です。育児休業を終えた時、現場に復帰する選択肢もありました。会社と話し合い、現場は難しいと判断。内勤で働ける現在の環境をつくってもらいました。

伊藤 私も独身で実家です。会社は女性技術者の産休とか育休を経験していません。私がそうなれば、初のケースになります。社長は、結婚して子供ができても、どうしょうもない時は会社に連れてきていいと言っています。会社の協力も得やすいのではないかと思います。近くに親が住んでいて、助けを得ることも考えられます。現場にもベッドを置いて、1〜2日なら何とかなるのではないかと思います。

司会 この先、ずっと仕事を続けていく覚悟ですね。

伊藤 仕事を辞める気はありません。自分から仕事をとったら、ほかに何もできません。家で料理や洗濯をしろと言われてもできません。仕事を絶対続けます。

柴田 私も仕事を辞めません。工期が厳しく、つらいと思ったこともあります。しかし、自分も仕事をとったら何も残りません。ずっと建設にかかわる考えです。

山口 子育てを考えると、いまの職種だと難しいかもしれませんが、経験を生かし、現場事務や積算などの職種で働く選択もあると思います。会社には実際、子育てから復帰し、積算の仕事をしている人もいます。

渡辺 できるなら仕事を続けたいですが、結婚はできても、子育てとなると難しいでしょう。別の会社で、出産して内勤になった人が「子供が自分で鍵を持つようになるまで現場には戻れない」と話していました。技能工として体力を使うので、7〜8年のブランクがあって戻れるか不安です。

村田 私がこれまでやってこられたのも、会社に理解があったからです。しかし会社の対応にも限界があります。現在は時短勤務ですが、法律で認められるのは、子供が3歳になる前日までです。どうすべきか手探りが続きます。




現場に生まれるなごやかさ


【女性で変わる現場】

司会 細やかなものの見方など、女性だからこそ発揮できる能力もあると思います。

渡邊 「さすが女性だ」と評価されることはあります。一方、女性には壁があるとも感じます。男性の同僚と一緒にいて、作業のことで話し掛けられるのは男性の方です。

山口 クロスの選択など、女性から見てどちらがいいか聞かれることがあります。お客さんにとっては、相手が女性だと話しやすいようです。また、職人さんにお願いする時も、私が頼む方が、快く応じてもらえるようです。

村田 現場では、地元の方に良くしてもらいました。しかし、職人さんが言うことを聞いてくれないこともありました。

柴田 特に女性のお客さんにとっては接しやすいのではないかと思います。しかし、厳しいことが言いにくいから私を外してと求められることがありました。職人さんには、いろいろお願いを聞いてもらっています。女性だと、現場がなごやかになることもあるかと思います。

伊藤 作業員さんとも、友達に近い感じでいます。男同士だと、例えば所長と下請けの世話役さんが話していて、けんか腰の言葉になることもあります。そっと近寄って、「自分が代わりにお願いする」と所長に耳打ちします。女性が現場にいると、けんかが減るでしょう。

司会 皆さんのコミュニケーション能力が、現場をずいぶん変えているようです。また、建設業が生むものは男も女も使います。造る側にも両方いることがプラスになるでしょう。本日はありがとうございました。

 

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