―2015年度から町の第5期長期総合計画がスタートした。今後10年間のインフラ整備では、何に重点を置くのか。
第4期長期総合計画では、将来の財政基盤確立を目指した都営水道一元化や広域処理施設の西秋川衛生組合への加入、ひので斎場を運営する秋川流域斎場組合への加入などを実現してきた。下水道整備も本年度中に完了する。これからは一定の財源を確保した上で、道路の整備に力を入れていく。生活道路や林道の開設、町道の舗装打ち換え、橋梁の耐震化など、やらなければいけないことがたくさんある。
また、都が事業を進める多摩川南岸道路のうち、城山工区2・8`が5月に開通した。残る丹三郎工区1・9`が供用すれば、大雨で国道411号が通行止めになった場合でも代替ルートが確保され、地域の孤立化が防げる。観光客の増加など、経済効果も見込めるため早期の全線供用を要望していく。治山も重要テーマで、防災強化に向け治山事業を推し進めてもらえるよう、国や都に積極的に働き掛ける。
―町内の少子高齢化も大きなテーマだ。
町の高齢化率は47・6%となっている。若い人たちが住み続け、高齢の方が安心して暮らせるよう、少子化対策と定住化対策を同時に進める。小丹波で建設中の町営若者住宅の入居者を募集しているが、毎月の家賃が3万円ということもあり反響がある。今後も毎年、若者住宅の建設、若者用分譲地の整備を計画的に進め、同時に保育所の無料化や給食費の全額助成など15項目にわたる町独自の子育て支援策を講じて、「住みたい・住み続けたい町」を実現する。
空き家対策にも本腰を入れる。町内には約400戸の空き家があり、JRの五つの駅周辺にも多いことから、例えば町が土地と建物を買い取って建て替えたり、新たな補助制度を制定して所有者に活用を促すなど対応を図る。若者の定住化と併せ、建築の需要が増えるため、地域の活性化につながるはずだ。
―新たな観光需要にどのように対応するのか。
近年増加するハイカーや登山者の宿泊施設として1960年に建設した「はとのす荘」を5月にリニューアルオープンした。他にも、釣り場やキャンプ場など多くの観光施設が更新時期を迎えているため、計画的に補修・更新を進めていく。
2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックに訪れる外国人観光客にも対応できるよう、公衆トイレの改修を今後4年間で行い、日本一きれいな公衆トイレにしたいと考えている。観光客を増やすとともに、維持管理で新たな雇用を創出するのが狙いだ。ただし、行政ができるのはそこまでで、観光客をたくさん呼び込めるかどうかは民間の知恵と努力に懸かっている。
―インフラ整備、維持管理に貢献する地元の建設会社にメッセージを。
昨年2月の大雪のときには、当時の建設業組合の皆さんが献身的に対応してくれて大きな被害が出なかった。道路をはじめ、まだまだ町内には工事を施さなくてはいけない箇所があるので、一定の仕事量を継続的に確保してもらい、いざというときには協力していただきたい。社会貢献事業にも引き続き注力し、地域に対する信頼度をさらに高めてほしい。