徳島県の吉野川下流部左岸、面積5200fにおける農業の生産性向上と農業経営の安定化を目指して整備中の国営吉野川下流域農地防災事業。2016年度は前年度の57億円を上回る65億円余りを投じて、引き続き幹線水路工事等の主要なかんがい施設の整備などを推進する。18年度の事業完了を目指し、事業が佳境を迎え、弾みを付けようというところだったが、4月11日早朝の火災で事務所が焼失し、緊急事態に…。
「とにかく関係者の皆さんにはお詫びと感謝を申し上げたい」と、赴任早々に火災による事務所焼失に見舞われながらも、遅延ない業務推進に努める大澤祐一所長に、16年度事業の内容や今後の展望などを聞いた。
――赴任早々の火災だったが。
「建設業関係者の皆さんには、まず入札等の延期などでご迷惑、ご心配をお掛けしたことを心よりお詫びします。また、建設業をはじめ、県、市町村自治体、土地改良区の皆さんには、励まされ、さまざまな支援の手を差し伸べていただき、とても感謝しています。徳島は初めての赴任で、どんなところだろうと不安もありましたが、今回の火災で皆さんの温かい気持ちに触れ、徳島の心づかいを感じました。この気持ちに少しでも報いるため、事業が遅延なく進捗できるよう、職員一丸となって努力してまいりたいと考えています」
――吉野川下流域農地防災事業の目的について、あらためてお聞かせ下さい。
「本事業は、吉野川の下流部左岸(徳島市、阿波市、鳴門市、上板町、藍住町、板野町、松茂町、北島町の3市5町)に広がる徳島県最大の農業地帯を対象とし、水田3486f、畑1732fの合計5218f(受益者数8969人)を受益面積としています。地区内に分散する農業用取水口を吉野川の柿原堰、第十堰および旧吉野川揚水機場の3カ所に統合するとともに、幹線水路等の整備を行い、併せて関連事業(国営付帯県事業など)で末端用水路を整備します。これらにより、農業用水の水質を改善し、営農上のこれまでの制約を解消するとともに、機能が低下していた用排水施設の機能を回復し、農作物被害を未然に防止することにより、農業生産性の向上と農業経営の安定化を図ることを目的としています」
――これまでの経緯について。
「これまでの進捗状況ですが、14年度から通水し16年度現在、柿原取水口掛かり1031fに通水しています。また、北部幹線掛かりの末端エリアでは、暫定取水施設や国営幹線などの施設を一部利用した通水を496fの範囲で行っています。15年度末の事業進捗率(事業費ベース)は、前年度より2ポイント上昇し、約89.3%の進捗率となっています」
――2016年度の事業計画について。
「今年度については、65億円超の予算を確保しています。15年度に引き続き幹線水路、接続水路の工事を推進するほか、大きな工事として旧吉野川揚水機場の土木工事に取り掛かる予定です。第2四半期には工事発注できるよう、準備を進めます。幹線水路は、今後板東工区を中心に発注し、鋭意進めていきます。北部幹線では、17年度には同幹線水路掛かりの最末端まで通水したいと思っています」
――今後の抱負などをお聞かせください。
「事業工期は18年度目標です。今後とも県営事業を進める県などと綿密に協議しながら事業を円滑に進めていくつもりです。少しでも早くきれいな水を受益者に届くようにしていくつもりです」
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