市政運営2期目に当たり「共に拓く未来創り」を施政方針に掲げ、その実現に向け八つの地域拠点と五つの生活資源を生かす、まちづくりの方針を示す将来ビジョン「焼津ダイヤモンド構想」を取りまとめた中野弘道市長。約14万1000人が暮らす焼津市で今後どのようなまちづくりを目指していくのか、2017年度予算を中心に話を聞いた。
―改めてまちづくりに対する抱負を伺いたい
2期目となる今後4年間については、新たな市政運営方針として「共に拓く未来創り」を掲げ、四つの大きな施策として「安心して暮らせる」「豊かな心を育てる」「活気ある産業とにぎわい」「市民と行政が共につくる」まちづくりを実施していく。
また、急速に進む少子高齢化と人口減少問題に正面から立ち向かい、地域資源を磨き上げて「稼ぐ力」を創出し、活力ある持続可能なまちとしていくため、まちづくりの方針を示す将来ビジョン『焼津ダイヤモンド構想』を取りまとめた。
この構想は、人口が減少するこの先20年を考え、老朽化した公共施設の機能をコンパクトにまとめていく、子育てや働き方の環境を制度面から作っていくことを根幹に置き、暮らしに必要な「にぎわい・あんしん・くらし・いきいき」などの八つの地域拠点と、「海・山・水・情報・生活」の五つの軸を形成して、地域資源の磨き上げ、イチオシのまちづくり、夢が膨らむ都市デザインの考え方をまとめたものだ。これらを第6次総合計画などに反映することで、より実効性の高いまちづくり計画とし、積極的に事業展開を図っていきたい。
初心を忘れることなく、現場主義、市民目線で皆さまと寄り添い、共にまちづくりに取り組んでいきたい。
―次に17年度の主要事業だが、新庁舎、新病院が具体化してくる
まちづくりのゾーニングの中で、新庁舎は「にぎわい拠点」、新病院は「あんしん拠点」の、それぞれ核となる施設だ。
新庁舎建設事業は、現在は数カ所に分散する庁舎を1カ所にまとめるだけでなく、本市以外の各種行政機関の機能も集め、商業・業務機能や行政・交流機能の形成を図り、焼津駅周辺を市民や観光客らが集うにぎわいの場としていきたい。17年度事業としては地質調査と測量を行うとともに、18年度までの2カ年で基本設計と実施設計を行う。
一方、病院周辺に関する事業のあんしん拠点において、新病院建設事業は市民の生命・財産を守るため医療・防災機能の核となる。施設の老朽化に加え、医療環境の変化への対応を図るために新病院整備基本構想に基づき、17年度までに基本計画策定を進め、23年の開院を目指す。17年度は建設場所の土質調査などを実施する。
―市民にとって身近な施設の「くらしの拠点」事業はどうか
「くらしの拠点」については、市民交流の促進を図るスポーツ・文化機能を形成するための西焼津駅周辺に関する事業になる。総合体育館では、県内体育館では初めてとなる地下水の熱源を併用した放射式冷暖房設備の新設と老朽化に伴う照明設備更新・床改修を行い、快適な競技空間づくりを進める。
また、地域交流拠点施設整備では、和田地域を第1号として、公民館機能に加え、子育て支援、文化活動、スポーツ活動に幅を広げて地域交流ができるセンターの整備を進めていく。より高齢者の方の活動が以前に比べ活発になっている。例えば総合体育館に行かなくても地域でスポーツ大会が開けたり、100人程度が集まる発表会を開いたりすることができる地域交流センターを市内各地域に整備していきたい。
17年度は、豊田地域で、豊田公民館の耐震対策、老朽化対策を踏まえ、新たな交流拠点施設の整備に向けた基本構想の策定を行う。
―大井川焼津藤枝SIC周辺の土地利用の計画は
インターチェンジ(IC)周辺は、商業集積地域にすることを検討している。民間の大型商業施設を見ても、大規模店舗をつくるより、別棟の建物を建て、子育て支援施設やアパレル店舗を配置しているが、そういう商業集積をイメージしている。若者が働きたいと思う企業を誘致し、そして雇用してもらうことを想定している。3月には地権者に説明会をしており、ある程度まとまった土地を確保できるところから積極的に進めていきたい。関心を示している企業もあり3年後程度を目指して進めていければと考えている。
―最重要事項として挙げている防災対策はどうか
全国に先駆けて策定した「津波防災地域づくり推進計画」と「焼津市地震・津波対策アクションプログラム2014」に基づき、市民が安心して生活できるまちづくりを推進していく。海岸の津波対策については、国・県と連携して、粘り強い構造となる防潮堤の改良事業を進めており、市では栃山川から大井川港にかけて「潮風グリーンウォーク」整備に着手した。(仮称)大井川防災広場の施設整備や、河川の護岸整備、治水対策や土砂災害対策など安心・安全なまちづくりをさらに進めていく。
現在、年3回の避難訓練を行い約5万人が参加しているが、災害対策に関しては過剰という概念はない。万が一の災害が起きた際も人的被害ゼロを目指し、今後もあらゆる想定を行い、減災できる対策を遂行していく。
―ふるさと納税が全国トップクラスの秘訣(ひけつ)を伺いたい
全国から寄付をしていただき深く感謝している。初年度は1年間で30万円の寄付で始まったふるさと納税だが、1億、3億、10億と目標を立て、魅力ある返礼品の開拓を職員に命じ、地元商店の皆さんにも積極的な参加を呼び掛けてきた。広報戦略も練り、役所の発想ではなく自由に活動させたことが結果に表れたと思う。現在は20人体制だがもう少し拡充して年間100億円を目指し、寄付金を返礼品として産業振興に、事業費として活用事業や積み立てなどに生かしていきたい。
今後も魅力ある焼津市を発信し続け、私の任期である20年度までに100億円を目標に積み立て、ふるさと納税の活用事業として「子育て支援」に50億円、「交流」に25億円、「健康」に25億円を活用したいと考えている。
16年は1年間で約22万件51億円の寄付を頂き、17年度予算では55億円の寄付を見込んでいる。17年度の活用事業としては、ターントクルこども館基本構想策定事業やターントクルとまとぴあ整備事業などの「子育て支援」事業に約5億円を充てるなど、各分野の新規事業や拡充事業に約6億6000万円を活用する。