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(2016/06/27)

 

【愛知県】万全の備えで安心な愛知を
〜 大村秀章愛知県知事インタビュー
「地震対策の現状と今後の対応」 〜

 

4月に発生した熊本地震では、建物の倒壊や土砂崩れ、橋梁の崩落など大きな被害が発生した。災害時に司令塔となるはずの自治体の庁舎が壊れて使用できなくなるケースや、行政機能がまひして救援物資の輸送などが滞ることもあった。あらためて、地震対策の難しさやその重要性が浮き彫りとなった。建設業界は、防災対策を担うことはもちろん、災害が発生した際の道路啓開や復旧活動でも重要な役割を果たす。南海トラフ巨大地震の発生が懸念されている愛知県では、今回の熊本地震での被害の状況を検証し、今後の災害対策に生かしていく必要がある。大村秀章愛知県知事に、愛知県の地震対策の現状と今後の対応、また防災や災害復旧を担う建設業者に期待することを聞いた。

 

大村秀章

――熊本地震での被害の状況を踏まえ、今後の災害対策にどのように生かしていくか。
「「愛知県では現在、東日本大震災の教訓を踏まえて策定した第3次あいち地震対策アクションプランに基づき、住宅、建築物の耐震化の促進や家具固定の推進、ゼロメートル地帯における広域的防災体制の強化など、積極的な取り組みを進めている。今回の熊本地震における支援物資の移送や避難所の体制、車中泊への対応などの課題が浮き彫りとなった。そうした課題を検証するとともに、国の対応なども注視しながら有識者の方にもご意見を伺いながら、地域防災計画など、本県の防災対策を見直していく必要があると考えている」
「愛知県では、以前から東海地震や南海トラフ地震の発生が心配されてきた。そのため、地震に対する備え、啓蒙は他の地域より進んでいる。しかし、決して油断することなく、ハード面の対策と避難訓練や防災訓練などのソフト面での対策をしっかりやっていく必要がある。過度に恐れるのではなく、これまで積み重ねてきたことをあらためて見直し、引き続きしっかりやっていくことが大切だ。今回の熊本地震を教訓にしながら、より一層備えを万全にし、何が起こっても大丈夫な、安心な愛知をつくっていきたい」

――熊本地震では、建物の倒壊が多く発生し、自治体の庁舎が壊れて使用できなくなるケースや、避難所となる施設に入ることができないケースもあった。愛知県内の庁舎など、公共施設の耐震化の状況は。
「庁舎、公の施設などの一般県有施設については、2002年度から構造体の耐震改修を計画的に実施し、15年度末までに完了した。06年度までに、防災拠点施設と、3階以上かつ床面積1000平方b以上で耐震性が低く、緊急性の高いものから優先的に耐震改修を行い、07年度からは非木造かつ200平方b以上で多数が利用する施設まで対象を広げた。最終的に125棟を改修した。耐震改修に当たっては、防災拠点施設・避難施設などは、耐震安全性の重要度により、基準の1.25倍から1.5倍の強度を確保している」
「東日本大震災では、大空間内部の天井落下による危険性が顕著になったことから、愛知県でも15年度から非構造部材である特定天井の落下防止対策に着手している。本年度は基本調査などを実施し、今後、23年度までの完了を目指して対策を推進していく」
「県内小中学校の耐震改修は、ほぼ100%完了している。県立学校施設については、構造体の耐震改修と、吊り天井を有する体育館の非構造部材の耐震対策を本年度末に完了する予定だ。今後は、吊り天井でない体育館の照明器具やバスケットゴール、武道場の吊り天井などの非構造部材の耐震対策に取り組んでいく必要がある」

――地震などの大規模な災害が発生した際、行政の機能を継続することが重要だ。
「大規模災害が発生すると、行政自身も被災して被災者支援業務や応急復旧業務が中断し、県民生活や経済活動などに大きな影響を及ぼす恐れがある。愛知県では、こうした影響を最小限に抑え、県の機能を維持し、必要不可欠な業務を継続して行うため、09年度に愛知県庁業務継続計画(愛知県庁BCP)を策定した。15年度には東日本大震災の教訓や、南海トラフ地震の被害想定を踏まえた見直しを行っている。このBCPに基づき、安全かつ速やかな参集方法の確認や、限られた人員での的確な初動対応の検証など、業務継続能力を向上させるため、職員参集訓練を毎年実施し、迅速な初動体制の確保にも努めている」
「愛知県庁本庁舎などは、非常用電源を72時間化しており、災害対応業務を担う拠点施設においても現在、非常用電源の72時間化を進めている。また、職員用の水、食料などについては、3日分の備蓄を行っている。災害対策本部を置く自治センターが使用不能となった場合には、本庁舎2階の講堂と3階の特別会議室を代替場所とすることとしている」
「さらに、県内で南海トラフ地震をはじめとする大規模災害が発生した場合、広域的支援を迅速かつ円滑に受け入れるため、中部圏知事会を構成する9県と名古屋市との間で、物資や職員の派遣など災害時等の応援に関する協定を締結し、広域応援体制の構築を進めている。また、南海トラフ地震の災害応急対策については、15年に国が定めた応急対策活動に関する計画を踏まえ、16年3月に南海トラフ地震における愛知県広域受援計画を策定し、国からの人的・物的支援を円滑に受け入れ、被災市町村へ滞りなく展開するための体制整備を進めている」
「災害時に市町村役場の業務が長期間中断すると、日常生活や経済活動に大きな支障が生じるため、市町村の業務継続能力の向上も不可欠だ。そのため愛知県では、市町村に対し、業務継続計画の策定の研修や補助金の交付などにより、積極的に支援している」


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耐震化率は85.8% 43万戸が耐震性不足


――熊本地震では、特に1981年5月以前に建てられた旧耐震基準の住宅で犠牲者が多くでたという。
「愛知県の住宅の耐震化率は、13年に総務省が行った住宅・土地統計調査によると85.8%である。国が公表している全国の住宅の耐震化率は約82%であり、全国と比較すると耐震化は進んでいる。しかしながら、愛知県の住宅戸数は約300万戸であるから、耐震性が不足している住宅がまだ43万戸ほどあるので、引き続き耐震化を促進していく必要がある」
「木造住宅に対しては、02年度から所有者の方の負担のない無料耐震診断を実施しており、15年度までに約121000戸に対して補助を行った。また、耐震改修費についても、03年度から補助を行っている。補助額の上限は当初60万円であったが、13年度から90万円に拡充した。15年度までに約13700戸に対して補助を行っている。補助件数は、耐震診断については全国1位、耐震改修についても全国2位となっている。鉄筋コンクリート造のような非木造の住宅に対しても07年度から耐震診断、耐震改修の補助制度を設けている」
「さらに13年度から、費用面などにより十分な耐震改修が実施できない方に対して、地震の際に住宅の倒壊から命だけは守るという観点から、二つの制度を創設した。一つは、2段階で耐震改修を行う制度で、まずは地震の際に住宅が倒壊しない程度まで耐震性を上げる工事をして、命を守る。さらに、費用が工面できた時点で2段階目として十分な耐震性を確保する工事をしていただくという段階的耐震改修費補助だ。1段階目で60万円、2段階目で30万円を補助する。もう一つは、耐震シェルター整備費補助で、高齢者や体の不自由な方など、地震の際に速やかに屋外に逃げることが困難な方がいる住宅の中に頑強なシェルターを設置し、その中に避難することで住宅が倒壊しても命だけは守ろうというものだ。このシェルター設置に対しても30万円の補助を行っている」

――熊本地震では、土砂崩れの発生や阿蘇大橋の崩落など、土木インフラにも甚大な被害が発生し、道路が寸断されたことで救援物資が届かない場所が多くあった。道路の寸断は救援活動や緊急搬送にも支障をきたす。
「道路ネットワークは、大規模災害時の救急活動や物資輸送を支え、その後の社会機能を維持する上で不可欠な基幹インフラだ。愛知県としても、『事前防災対策』と『啓開・復旧対策』に取り組んでいる」
「まず、事前防災対策については、第3次あいち地震対策アクションプランに基づき、緊急輸送道路の整備、橋梁の耐震対策、落石防止対策など、ネットワークの強化を推進している。特に橋梁については、従来は落橋などの致命的な被害を防止することを目的に対策を進めてきたが、今後は被災後、速やかに通行が可能となるよう橋脚などの耐震性を一層強化していく。また、今回の熊本地震を受け、中山間地域での孤立を回避するため、特に防災拠点となる市町村役場などに至るルートを中心に、落石など危険箇所の対策を推進する」
「道路沿道の建築物が倒壊して道路をふさぐことも、救急活動や緊急搬送の支障になる。愛知県では14年3月に、第1次緊急輸送道路を基本に指定した道路(50路線、約873`)沿道の建築物に耐震診断の実施を義務付けた。対象となるのは、81年5月以前に建てられた古い耐震基準のもので、倒壊した場合に道路を閉塞する高さの建築物である。これら建築物の耐震診断費用については、所有者負担がない補助制度を整備し、診断の結果耐震性が不足している建築物について耐震改修をする場合には、工事費の約73%を補助する制度を設けている。耐震診断は18年度末までに実施し、結果を報告していただくことにしているが、早期に診断を実施し、その結果に応じて耐震改修などを行っていただくことで、沿道建築物の耐震化を進め、道路機能の確保につなげたい」
「災害が発生した場合の啓開・復旧対策については、国や高速道路会社などと連携して早期に復旧支援ルートを確保する中部版くしの歯作戦や、県内全体を網羅する愛知県広域受援計画の輸送ルートについて、道路の啓開や応急復旧体制の整備に取り組んでいる」
「愛知県では、県管理道路約4600`を対象として、防災安全協定を締結した地元建設業者約370者が、発災直後に担当工区の巡視と応急復旧に当たるとともに、広域的な被害に対しては、包括協定に基づき建設業団体に啓開・復旧活動への協力をいただくこととしている。さらに、災害対策基本法の改正を受け、新たにレッカー関連3団体と協定を締結し、道路啓開における放置車両対策の強化を図りたいと考えている」

 

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業界に周知・習熟、体制づくりを期待

 

――これらの協定に基づく活動が円滑に行われるためには、日ごろからの訓練が重要だ。
「災害の発生に備え、各建設事務所と防災安全協定締結業者とで、激甚災害発生時を想定し、ロールプレイング方式による図上訓練や情報伝達訓練を実施している。また、広域的な災害に備え、県庁建設部と建設業団体とで、包括協定締結以後、毎年度継続して激甚災害発生時の情報伝達訓練を実施している。災害が起きた場合に道路などのインフラを守ること、復旧することに最も頼れるのは、公共施設をつくり、メンテナンスしていただいている地元の建設業者だ。日常的に訓練を行い、いざ災害が起きた場合は直ちに行動できる体制が整っており、頼もしく思っている。いざという時に存分に力を発揮していただけるように、常日ごろから意思疎通をしっかりしていきたい。建設業界の皆さんには大いに期待している」
「今後は、南海トラフ地震で起こりうる事象を想定した、より現実の災害時に即した防災訓練を行う必要があると考えている。具体的には、東日本大震災で現実に起きた、地震・津波により建設業者自体が被災して身動きが取れなくなった事例や、熊本地震でも起きた、災害による道路の通行止めによる現地到達が困難な事例などをシナリオとして想定し、建設事務所を含め、建設業団体との包括協定の手順を確認する訓練を行っていく必要があると考えている」  「災害時により確実に実効性が得られるように、建設業界には、業界内での協定の周知・習熟などに一層取り組んでいただくことや、激甚災害時に対応可能な建設業者を速やかに把握できる体制づくりなどを期待したい」

 

20年度をめどに全施設類型で策定

 

――耐震対策とともに、公共施設の老朽化対策も進めていかなくてはならない。
「本県の公共施設は、固定資産台帳の再調達価額ベースで約12.3兆円、このうち老朽化対策が必要となる主なものは、庁舎や公の施設などの事業用資産に係る建物が約1.5兆円、道路や河川などのインフラ資産に係る工作物や建物が約7.3兆円の約8.8兆円であるが、その半数近くは築30年を経過している」
「こうした状況を踏まえ、愛知県では、15年3月に愛知県公共施設等総合管理計画を策定した。この計画では、『施設の老朽化に起因する重大事故ゼロ』を継続することを目標とし、その達成に向け庁舎、学校、道路、河川といった16の施設類型ごとに、個々の施設の長寿命化対策を盛り込んだ個別施設計画を策定し、順次、具体的な対策を実施していくこととしている」
「このうち、道路、公園、下水道など、すでに『個別施設計画』を策定済みの施設類型については、計画的に補修工事を行うなど、メンテナンスサイクルの構築に取り組んでいる」
「個別施設計画が未策定の庁舎や公の施設などについては、まずは、建物の状態を把握することが重要であることから、老朽化により危険が見込まれる施設や災害拠点に位置付けられた施設など、緊急性や優先度が高い施設から、技術職員による巡回点検を進めている。また15年度は、長寿命化の可能性を確認するためのモデル調査として、築50年を超える庁舎などを対象に、コンクリート強度の試験や改修内容の検討を行った。その結果、古い施設であっても長寿命化が可能であることが確認できたことから、本年度からは対象施設を拡大して、長寿命化に向けた調査を実施していく」
「県有施設の老朽化対策の取り組みは、まさに長期戦となるが、今後とも危険箇所への速やかな対応など、安全・安心の確保を最優先にしつつ、まずは20年度をめどに全ての施設類型について個別施設計画を策定し、長期的視点をもって着実に対策を進めていきたい」

 

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週休2日制工事など県内全域に拡充

 

――防災や復旧を担う建設業者は担い手不足が課題となっている。
「愛知県ではかねてから、物価変動や現場の施工条件を適切に反映した予定価格の設定や、低入札価格調査制度の運用による低入札の排除、総合評価落札方式において企業の技術的能力や地域貢献度を評価するなど、入札契約制度の改善に努めてきた。また、担い手の育成・確保についても、設計労務単価の引き上げや社会保険未加入対策の実施に加え、15年度には、建設現場の労働環境改善に向けた二つのモデル工事を実施し、若者や女性が入職しやすい環境づくりを推進してきた」
「このうち、週休2日制モデル工事は、建設現場の就業者が計画的に休める環境づくりを目指したもので、比較的円滑な施工が望め、工程調整がしやすい三つの現場で実施した。実施後のアンケート調査結果によると、『土・日に子供と遊ぶ時間ができた』『体調管理がしやすい』といった好意的な声がある一方、『平日が雨天中止の場合に工期順守への影響が大きい』『日給制のため土曜が休暇になると収入が減る』などの意見も寄せられた」
「女性も働きやすい現場環境整備モデル工事は、建設現場で働く全ての女性が働きやすい環境を整備するべく女性専用仮設トイレを設置する取り組みで、取り組みを広くPRするため、地元での関心が高い三つの現場で実施した。アンケート調査結果によると、『異性を気にせず利用できる』『今後も積極的に配置したい』といった好意的な意見が多かったほか、『トイレ以外にも更衣室や休憩所を設置してほしい』などの意見も寄せられた」
「今後は、一般的な工事における課題を把握するとともに、企業や労働者の労働環境改善に向けた意識の向上のためにも、より広く取り組みをPRすることが重要であり、本年度は、『完全週休2日制工事』『誰もが働きやすい現場環境整備工事』として県内全域に拡充することとした」
「そのほかにも本年度から、低入札対策の強化として、価格据置型総合評価落札方式を導入するとともに、入職した技術者などに対するスキルアップ研修の実施など、さらなる展開を図る」
「これらの施策を着実に推進することにより、公共工事の品質確保に努めるとともに、社会資本の整備や維持管理、災害時の復旧・復興を担う建設産業の維持・発展に取り組んでいく」
(2016/06/27)

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