積極的な企業誘致による雇用環境整備、区画整理による住環境整備、市民の安心と安全確保に向けた地域環境整備を進め「三世代同居の町づくり」を目指す東温市。今後、求められる防災対策、基盤整備などについての取り組みを聞いた。
−防災対策について−
@災害発生時の避難場所や防災拠点などの重要な役割を担う学校施設については、これまで最重要課題として重点的に整備を行っています。2014年度においても、北吉井小学校、南吉井小学校の耐震補強改修工事を行います。残る南吉井小学校3棟と北吉井幼稚園2棟についても耐震補強工事を予定しており、15年度末の耐震化率100%を目指しています。
A大規模地震災害に備えて、市内にある受益面積2f以上のため池65カ所について耐震性などの調査点検を行い、危険度の高いため池を把握し、計画的に耐震対策を行います。
B災害時の情報伝達手段として有効な防災行政無線の周波数統合については、アナログ2波からデジタル1波に統合し、緊急時に一斉放送ができるよう整備を行います。また、災害現場の情報などの収集に有効な車載型・携帯型の移動系防災行政無線についても、早期の統合に向けて整備を進めてまいります。
−施設の老朽化対策について−
@公共施設については、建築後10年以上経過した建物などについて、今後、施設の改修が必要となってきます。17年の「えひめ国体」の会場となる「ツインドーム重信」については、外構を含めた大規模な改修を14年度中に行い、快適な空間でスポーツに打ち込める施設に整備します。
A老朽化している図書館のエレベーターについては、11人乗りのエレベーターへの更新と併せて一部バリアフリー化を行い、利用者の利便性の向上に努めるほか、議場の音響設備や庁舎の自家発電設備、川内支所の外壁についても改修を進めます。
B市庁舎および川内公民館については空調設備、ふるさと交流館については熱源設備の更新に当たって、民間の資金や技術を活用し、省エネルギー改修にかかる費用を光熱水費の削減でまかなうエスコ事業の導入可能性調査を行います。
−人が活力を生む産業振興のまちづくりについて−
@企業誘致と中小零細企業振興について
私は市長就任以来、雇用と税収の確保のため、「企業誘致」に特に力を注いでまいりました。昨今の厳しい経済情勢の中、「企業誘致」の実現は、一朝一夕には難しいと思っておりますが、地域の活性化を図るためには、市民が住み続けることができる環境を築かなければなりません。このためには、働く場所を確保するため「企業誘致」と「既存企業の振興」に、なお一層取り組んでまいります。
A農業振興に伴う「牛渕地区ほ場整備」は、14年度から牛渕東地区の面整備に着手し、地元の要望を踏まえながら、16年度までに西地区、東地区を合わせて約13.1fのほ場整備を実施します。
B上水道の整備について
上水道の基幹管路の耐震化率は、全国平均で33.5%、県内で21%のところ、東温市では県内で唯一100%耐震化されており、他の団体よりも整備が進んでいる状況です。重信地区については、09年度に整備が完了し、現在は川内地区の山間部で統合簡易水道事業を実施しています。重要なライフラインである上水道については、安定した供給を行う必要があるため、16年度の事業完了に向けて整備を進めて行きます。
C公共下水道の整備について
13年度末の全体計画に対する整備状況は、重信処理区で約58%、川内処理区で約74%となり、市全体では約62%となっています。なお、06年に策定した「公共下水道全体計画」については、少子高齢化の進行によって人口減少が予測される中、適正規模の効率的な運営が求められており、費用対効果の観点を踏まえ、市街化調整区域での公共下水道整備の縮小を含め、検討してまいります。
−「人が集い、快適に定住できるまちづくり」について−
@志津川地区土地区画整理事業について
現在、上下水道事業をはじめ、道路・水路などの基本的な「インフラ整備」と併せて、東温市の一大事業として、愛大医学部周辺整備事業を行っています。その中でも、志津川地区の土地区画整理事業は、総事業費約33億円、計画区域面積23.1f、計画戸数は800区画。14年度は最終工区の6.4fに着手し、全ての面整備が完成します。
併せて、伊予鉄道横河原駅のアクセス環境の改善と公共交通の利便性向上のため、駅周辺の整備に向けた事業も進めて行きます。
A重信川周辺の整備について
横河原橋から見奈良大橋までの重信川右岸には遊歩道を整備し、左岸の自転車道と合わせた1周約3.7`の桜並木周遊コースを形成。訪れた方がジョギングやサイクリングコースとして利用し、健康で充実した時間を過ごせるよう整備します。併せて、柳原野外活動広場には、自転車道利用者の利便性向上のため、環境に配慮した循環式のトイレを整備し、サイクリングロードの充実を図ります。
B道路・交通網の整備について
道路・交通網整備では、愛媛県警察機動隊が立地する「森の交流センター」へのアクセス道路となる市道「前川堤防線」については、14年度の完成を目指し整備を推進。愛媛医療センター前の市道「横河原10号線」については、拡幅整備と通学路の安全確保のため、14年度より用地買収に着手し18年度の完成を目指して整備を進めます。
C南吉井地区児童館の建設について
南吉井地区に建設する児童館については、14年度に工事発注し15年度の開館を目指して整備を進めたいと考えています。
最近では、社会資本整備や公共事業の重要性など、建設業に対する認識が少しずつ変わってきておりますが、地方の建設業界は、アベノミクス効果が未だ見えず、建設資材の高騰や人手不足等とも相俟って、引き続き厳しい経営環境に置かれていると考えています。
しかしながら、地方の建設業界は、基幹産業として良質なインフラ整備や地域経済の活性化、雇用の確保はもとより、災害時における救援・復旧活動など、市民の安全・安心のためにも、必要不可欠な産業であり、建設業界が担う役割は大変重要です。このため、市では、歳入の増加が見込めない厳しい状況下においても、必要不可欠であるインフラ整備として、志津川土地区画整理事業を始め、道路・橋梁施設の長寿命化、上下水道事業などの公共事業を積極的に展開することにより、建設業界の下支えになればと思っております。