「一人でも多くの人を笑顔に。全国に誇れる、わがまち松山」をキャッチフレーズに野志市政がスタートしてもうすぐ丸2年を迎える。市町が理想とする街づくりに向けての今後の取り組みについて野志克仁市長に聞いた。
―災害への備え、防災体制の強化について。
安全・安心確保の観点から、各公共施設等の耐震化に取り組むとともに、地域防災計画の被害想定に基づき、上下水道施設等の耐震化およびマンホールトイレの整備などに計画的に取り組んでいます。また、すでに実施している民間木造住宅の耐震診断補助に加え、2011年9月からは耐震改修工事についても経費の一部を補助するなど、木造住宅の耐震化を図ることにしました。さらに、災害時の迅速かつ正確な情報伝達や情報収集のため、デジタル防災行政無線の整備を昨年度から3カ年で行っています。
―遅れていると感じている部分と必要な社会資本整備について。
松山都市圏域では道路整備が遅れており、特に松山空港は拠点的な空港であるため高速ICからのアクセス環境改善が緊急の課題です。また、JR松山駅は主要都市の中でも陸の玄関口としての拠点整備が遅れている数少ない駅です。松山市は四国初の50万人都市として愛媛県のみならず四国の中枢としての都市機能の拡充が求められており、広域行政を支える社会資本整備は今後さらに重要性を増すものと考えています。
―中心市街地の活性化について具体策は。
平成20年11月に基本計画の認定を受け、街のにぎわい向上を図るため様々な事業を展開しています。商店街の空き店舗を活用した保育・託児事業を2012年3月に開始したほか、ラフォーレ原宿松山跡地などの民間再開発を支援しています。さらに、市道花園町線で豊かな歩行空間の創出を計画しているほか、松山駅周辺土地区画整理等も推進しています。
―公共下水道および上水道整備について。
下水道については「第3次松山市下水道整備基本構想」及び「第10次松山市下水道整備五箇年計画」に基づき、公共下水道普及率の向上、浸水対策事業の強化、より環境に配慮した汚水処理の推進及び経営の健全化の4つの重点目標を設定し、事業を推進しています。上水道については「水道ビジョンまつやま2009」に基づき、水道水の安定供給を維持するため、老朽施設を計画的に更新するとともに地震等の災害に強い上水道の構築を目指し事業を推進しています。
―今後、特に注力していく施策は。
道路・河川・公営住宅等の社会資本ストックは築後40〜50年を経過したものが多く、これらの長寿命化を図る必要があるほか、震災に備えた橋梁や公共施設等の耐震対策も急務です。今後は、超高齢・人口減少社会を見据えたコンパクトで秩序あるまちづくりを目指し、道路空間改変や土地区画整理、市街地再開発事業等により、魅力ある市街地を形成し、にぎわいを取り戻したいと考えています。
―地元建設業界に向けてメッセージを。
東日本大震災を機に、建設業界が持つ専門的技術や機動力への期待が高まっており、地元建設業界の特性を生かした防災力は「誇れるまちの安全・安心」に不可欠です。本市では、地元事業者の皆様への優先的な発注等、受注機会の拡大に努めてまいりますので、厳しい経済環境下ではありますが地域産業の中核として持続的かつ健全な発展を期待しています。