2013年5月15日に四万十市長(当選1回)になり3年7カ月が経過した。四万十市と西土佐村が合併してからも11周年になる。その間に四国横断自動車道、佐賀〜四万十間の延伸への陳情などに奔走、国道441号線の網代バイパス開通、学校給食センターの整備、小・中学校の体育館改築、南海トラフ巨大地震への備えとして、津波避難タワー6基と津波避難路104カ所の建設などさまざまな取り組みを進めてきた。今後は中央公民館を含む複合施設の建設、八束地区防災活動拠点基地内への八束保育所の高台移転計画(建屋は防災拠点施設との合築予定)などのプロジェクトも控えている。「高速道路が四万十市まで開通するまでに人が来てくれるまちづくりを進めて、活気のある市にすることが私の使命」と熱く語る中平市長に現在の心境などについて聞いた。
■今後のまちづくりへの展開、戦略は・・・
現在、四万十市の都市計画マスタープランを作成している。四国横断自動車動の佐賀〜四万十間も都市計画決定に向けて高知県が進めている。今から、高速道路が開通したときにこのまちをどうするのかを考えていく必要がある。できればコンパクトシティを作ろうと思っている。まちの中心部に活気がなくなっている。どのようにすれば多くの人に来てもらい、活気あふれるにぎわいのあるまちにするかが今後の課題となる。
懸案の複合施設については、中央公民館、文化センター、働く婦人の家、郷土資料館の施設があるが、それらの耐震化が出来ていない。かなり老朽化もしており、建て替え時期にきている。また、JAもはた本所の耐震化ができていないので、これも耐震補強か建て替えをするかの検討中である。JAも1つのJAにする構想があり、既に3回検討会を行い、その中では具体的に共同で進めていくことを確認している。建設場所も 中央公民館の場所にするかJAの方にするかになると考える。スケジュールは、策定委員会を来年の6月に民間も参加してもらい開催し、具体的にとりまとめていく。方向性としてはおもしろい計画になると思う。ただ、文化センターなどの跡地の有効活用も並行して考えていく必要がある。
■南海トラフ巨大地震への取り組みと対策は・・・
南海地震対策としては、津波避難タワーが6基と津波避難路104カ所を設置した。一定数の津波対策のメドはできたと考える。今後は、八束地区防災活動拠点基地内へ八束保育所は高台移転する予定で、建屋は防災拠点施設との合築を計画しており、津波の想定される箇所については完了する見込み。あと、中山間地域については、当面、消防の分団単位でヘリポートを建設していく。まち中には、地震時に火災の心配もあり、感震ブレーカを配布した。地震時にはとにかく逃げてもらうため、自主防災組織も含めたソフト面の強化を行い、全体的にレベルを上げていく必要がある。 文化センター、中央公民館も熊本地震を見て、建て替える方針に変わった。少しお金がかかっても50〜60年安全な施設を建設する方が市民にとってもよい選択だと思う。
■四国横断自動車道佐賀〜四万十を含む道路整備について・・・
佐賀〜四万十間については、市長に就任した時点でまったく白紙だった。多くの人たちの努力により、やっと都市計画決定の段階まできた。早期の事業化に向けて鋭意進めていきたい。佐賀〜四万十間の開通までにはもう少し時間がかかるので、それまでに、しっかりとハード、ソフト面を整備し、人に来てもらえるまちづくりをする必要がある。高速道路から四万十市ICで降りてもらい、多くの人が来てくれる魅力あるまちにすることが前提だ。
■市長が思う理想のまちとは・・・
理想のまちとは、そこで生活している人が笑顔で過ごせるまちだと思う。それには、雇用の場があり、産業がしっかりして、若い人達が戻ってきてくれるまちにしなければならない。産業としては、第一次産業と公共事業、観光事業が中心だが、その中でも公共事業がなければ成り立たない。本来ならば、四万十市の基幹産業はまち中心部のサービス業だと思う。まちの中心部で金が循環していく環境づくりや仕組みを作る必要もある。しかし、現状では若者の雇用の受け皿になるのは公共事業(建設産業)だと思う。
■これまでの任期(約3年半)を振り返って・・・
任期を振り返ってまず、足らなかったと思うことは市民病院だ。全国的な医師不足もあり、自分自身で思い描いていたことが出来なかったという思いがある。西土佐の診療所も同様だ。それ以外については、インフラ整備関係は思っていた以上に進んだという自負がある。特に高速道路や国道441号(網代バイパス開通など)、学校の体育館も改築事業がほとんど完了した。学校給食センターもでき、あとは、大川筋中学校の体育館を改築すればすべて完了する。それからは、学校の老朽化している校舎の整備に着手する。耐震か建て替えかをこれから検討に入る。
■業界、建設業団体、行政に向けてのお願いは・・・
間違いなく何年か先には、南海トラフ巨大地震は来る。それから昨今の異常気象(台風、異常気象など)もある。その時には、どうしても道路啓開などを真っ先にやらなければならない。建設業協会や建設産業の人たちに協力してもらわなければ何ひとつ進まない。地域に建設業者の廃業などがあれば、一番困るのは市と市民。それらの建設業をどのような形で守っていくかを検討し、取り組んでいく必要がある。また、重機をリースで調達している業者もいる。会社で重機を保有してもらうことが絶対に必要だから、市としてもできるだけの応援をしていく。県と国にも、ある程度、地元でやれる仕事は地元の建設業者に発注してもらいたいと思う。
■その他・・・
四万十市は、高知西南の核になる市であり、しっかりとしたまちづくりをすることが必要だ。人に来てもらうためには、一日も早く高速道路を開通させて、国道441号、439号を改良して、移動時間の短縮をすることで人と車の流れが良くなる。そして、人が行きたくなる魅力あるまちにするよう市民みんなで作っていかなければならない。
国策として、国に積極的なインフラ投資をしっかりやってもらい、10年先までの計画をきちんと立てて、インフラ整備関連を予算化してもらいたい。それによって、地域の建設業者に人の雇用や重機保有など、将来を見こした投資ができる。地域には、絶対に建設業は必要だと思う。