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Catch-up <2022年2月〜3月号>

建設業に関わるトピックスを分かりやすく解説するコラム『Catch-up』のバックナンバーです。
 

労務単価 10年連続増加? 賃金上昇の原動力となるか 2022/2/4

労務単価の上昇と建設業の賃上げは、「新しい資本主義」の先進事例としても注目されている。 公共工事設計労務単価の改定の2022年の時期が近づいている。労務単価は、13年から21年まで9年連続で上昇。12年に1万3072円だった全国全職種平均は21年には2万0409円となり、この間で53・5%伸びている。それまで下落を続けてきた労務単価が2万円台まで上昇した現在の姿は、どのようにつくられたのだろうか。
 労務単価を算出するため、国土交通省と農林水産省は全国の公共工事に従事する技能者の賃金を毎年調査する。無作為に抽出される調査対象は、毎年10万人以上に上る。労務単価が賃金の実態を反映しているとされているのは、この大規模な調査をベースに職種別の単価を設定するためだ。
 1997年に初めて公表されて以降、公共投資額の減少とダンピングの横行、それに伴う賃金の低下は労務単価に直接反映され、11年まで一貫して下落。全国全職種平均の単価は1万3047円と公表後最低を記録した。
 転機となったのは13年3月の改定だ。すでに前年の12年3月の改定時には、公表後初の単価上昇を記録していたが、13年3月には15・1%増と記録的に上昇した。
 当時は、国交省が建設業の社会保険加入対策に着手した直後で、これまで単価に盛り込まれていなかった法定福利費の個人負担分を上乗せした。さらに、技能者不足によって全国に広がっていた入札不調の発生状況に応じた補正も適用した。
 こうした政策的な措置が公共投資の増額や労働需給の逼迫(ひっぱく)感とも重なり、労務単価は長期間にわたり上昇。単価の上昇によって予定価格が増額され、それが企業の請負価格の増額、技能者の賃金上昇につながり、翌年の労務単価も上昇する、というプラスの流れが出来上がった。
 「労務単価の上昇に技能者の賃金上昇が追いついていない」という指摘は根強くあるものの、労務単価が技能者の賃金上昇の原動力の一つになっていたのは間違いない。
 ただ、昨年公表された労務単価はそれまでと異なっていた。2000以上ある単価の42%が前年度を下回り、国交省はこの傾向が新型コロナウイルス感染症の影響による一過性のものだとして、マイナスの単価を前年度と同額に据え置く特別措置を適用。ただ、全国全職種の平均単価は1・2%増と特別措置を適用してもなお13年以降で最低だ。
 単価上昇の停滞に危機感を持った国交省は、建設業団体と建設技能者の賃金上昇を目指すことで合意。単価の下落につながるダンピング受注の防止対策も強化した。
 昨年9月に発足した岸田内閣は、経済政策の柱として「新しい資本主義」を打ち出した。建設業と国交省がこの10年で作り上げてきた労務単価上昇の流れには、成長と分配の好循環を実現した好事例として、政府内の関心も高い。近く公表される労務単価が前年を上回れば、単価の上昇は13年以降で10年連続になる。
 
 

就業者ピークから200万人減 建設産業が持続するために 2022/2/18

「新3K」や「DX」をスイープ≠オ、担い手確保に近づけたい 総務省が発表した労働力調査によると、建設業の就業者数は2021年平均(速報値)で前年よりも10万人減少し、482万人となった。1997年のピーク時に685万人だった就業者数は、この24年の間に200万人以上減少したことになる。
 21年の建設業の就業者数は、46年前の1975年(479万人)とほぼ同じ水準だ。ただ、当時の全産業の就業者数は5223万人で、2021年の就業者数(6667万人)よりも27・6%少ない。全産業に占める建設業就業者のウエートは確実に下がっている。
 国内総生産に対する建設投資額の割合も1975年度の20・8%から、21年度は11・2%とほぼ半減した。就業者数の増減は、市場規模に比例する。建設投資の減少が進んだ2000年代、建設業から他産業への労働移動も加速した。
 建設業では、就業者数の減少だけでなく、高齢化も進んでいる。過去20年の間に、20代が55万人(55万人減)とちょうど半数に減少。その反面、65歳以上の高齢層は47万人から82万人へと大幅に増加した。
 高齢者が就業者全体の2割いる状況は、産業全体としても、企業としても、常に大量離職のリスクを抱え続けている状況にあるということだ。高齢層の技術・技能を継承しつつ、他産業よりも遅れている働き方改革や、給与水準の引き上げによって、若年層を担い手として招き入れるための労働環境を整える必要がある。
 国土交通省や自治体、業界団体なども問題意識を共有し、若手の確保・育成に向けた働き方改革、担い手確保策を進めてきた。徐々に建設業の労働環境も向上しているとはいえ、依然として多くの課題は残されたままだ。2024年4月の時間外労働の上限規制に備え、現場の長時間労働の是正や週休2日の定着に残された時間は2年しかない。
 社会に欠かすことのできないインフラを維持するためには、建設業も老朽化対策や防災・減災対策を進めるための施工力を維持しなくてはならない。デジタル技術の活用などにより、現場の生産性を高める取り組みを継続していくことも必要だ。建設現場のDXをさらに進めることは、建設産業に若手を呼び込み、担い手不足の解消にもつながっていく。
 
 

官民協働で好循環を築く 賃上げ目標「おおむね3%」で合意 2022/3/4

建設業が賃上げを実現するためには、官民が一つ一つのピースを確実に組み続ける必要がある。 国土交通省と建設業4団体は2月28日の会合で、2022年の賃金上昇率を「おおむね3%」とする新しい目標を申し合わせた。岸田内閣が「新しい資本主義」の実現に向けて経済界に求めている賃上げ目標(3%以上)との整合をとり、「おおむね2%以上」としていたこの1年間の目標よりも高い数値を目指すとした。
 3月1日に適用された公共工事設計労務単価は全国全職種平均で前年度と比べ2・5%上昇した。昨年3月に国土交通省と建設業団体が目標と定めた「おおむね2%以上の賃金上昇」を技能者の賃金実態を反映する労務単価の上昇率で上回り、目標をクリアした格好だ。
 ただ、建設業の賃金の動向は必ずしも上昇基調にあるわけではない。厚生労働省の毎月勤労統計調査で、2021年の現金給与総額は前年と比べ0・3%減と9年ぶりに減少した。調査対象が事業所規模5人以上だったり、技術者や本社・本店社員の給与も含まれるなど、技能者の賃金が対象の労務単価とは指標が異なるとは言え、この先の賃金上昇を楽観視できる状況にあるとは言い難い。
 今回の労務単価は、新型コロナウイルス感染症の影響下であることを踏まえた特別措置を2年連続で適用した他、現場の時間外労働の短縮に必要な経費も新たに上乗せされている。担い手を確保・育成しようという経営者の努力に行政側の政策的な判断が加わった「官民協働」の単価上昇であることは間違いない。
 さらに、建設業が賃金上昇を持続できる環境を整えるため、品確法で発注者に求められている「適正な利潤」を受注者が確実に確保できるよう、土木工事積算基準の一般管理費等率も4月から引き上げる。直轄工事の低入札価格調査基準の計算式も見直し、一般管理費等の算入率を55%から68%に引き上げている。
 2月28日の意見交換で、全国建設業協会の奥村太加典会長は、おおむね3%の賃上げ目標について「単価引き上げ分(2・5%)を上回る目標設定。中小企業には相当厳しい」との考えを示しつつ、「さらなる賃上げにつながる好循環を堅持することは絶対に必要だ」と、賃上げの実現への強い意欲を語った。
 斉藤鉄夫国交相も、目標達成に向けて「全ての関係者が可能な取り組みを進める。建設業の発展に向け、業界と連携して取り組む」などと応じた。
 
 

実務経験年数を短縮 技術検定の受験要件見直しへ 2022/3/18

技術検定の受験要件にある学歴の差がなくなれば、若手技術者は同じスタートラインから資格取得を目指すことができる。 建設業の就職後3年以内の離職率は大卒が29・5%、高卒が45・8%(2017年3月卒)で、製造業を大きく上回っている。少子高齢化で建設業への入職者が減り続ける一方、離職率は高い水準で推移している。技術検定については、受験要件である実務経験年数によって若手の資格取得が遅れ、建設業への定着を妨げているとの指摘がある。
 施工管理技士の資格を取得するためには、受験要件として求められる現場の実務経験を満たした上で、技術検定試験に合格し、経験と知識があることを証明しなければならない。
 実務経験年数の要件は、受験者の学歴に応じて大きく異なる。土木工学科や建築学科などの「指定学科」と、その他の「指定学科以外」でも求められる経験年数に差がある。
 指定学科の大卒者が1級技術検定を受験するためには、卒業後3年以上の実務経験年数が必要だが、指定学科以外の大卒者には4・5年が必要だ。高卒者らにはさらに長い経験が求められる。例えば、指定学科の大卒者と指定学科以外の高卒者の実務経験の要件には実に8・5年の差がある。
 施工管理技士の資格取得は、資格手当などで待遇がアップするため、若手技術者の定着に直結する。資格取得を昇格・昇進の条件にしている企業もある。今、指定学科以外の大学や高校の卒業者が建設業に就職したり、他業種から指定学科以外の卒業生が転職してくるケースも増えている。指定学科以外の卒業者の資格取得の遅れは、こうした入職者の定着を妨げる一因になっている。
 こうした課題を踏まえ、国土交通省は、技術検定の受験要件である実務経験年数の短縮を検討している。学歴で差を付けている実務経験年数を見直し、一定の年齢以上の全ての受験者に1級第1次検定の受験資格を与える。指定学科以外の卒業者が早期に資格を取得できるようにする考えだ。一方で、指定学科と指定学科以外の卒業者の検定内容に差を設け、受験者の知識を厳格にチェックすることも、合わせて検討する。
 21年度の制度改正で技士補の資格が創設され、1級第1次検定に合格した1級技士補を監理技術者補佐として現場に配置できるようになった。今後は、技術検定で問われる受験者の知識と経験の水準を保ちつつ、資格の早期取得を後押しする必要がある。国交省は今春をめどに制度改正の内容を固める方針だ。

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