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■「3分でわかる改正経審」 第1回

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国土交通省は、昨年11月の中央建設業審議会の了承を得て、本年5月1日から改正経営事項審査を施行することとなりました。主な改正点は以下の4つになります。
@X1評点(工事種類別完成工事高)の評点テーブルの修正
AW評点(社会性等)における「防災活動への貢献の状況」の追加
B加点対象となる技術資格の新設
C加点対象となる資格の位置づけの明確化
現行の]1評点テーブルは、平成6年6月の改正時に各審査項目の評点の平均点がそれぞれ700点になるように制度設計されていました。平成14年7月に建設投資の急激な減少による平均点数の下方乖離が大きくなり、評点テーブルを嵩上げする改正が行なわれました。
その後、平成15年10月に評点テーブルを従来の階段式一律評価方式から線形式化への改正なども行なわれ、これによって全体的に評点アップが図られていました。しかしながら、この間にも建設投資の減少が更に進展し、個々の建設企業の完成工事高も大幅な減少が続いたことから、経営事項審査の制度設計時に想定していた平均700点の維持が困難になりました。このため平成14年に続いて今回2回目(評点アップのための修正は3回目)の評点テーブルの嵩上げが行なわれることになりました。
具体的には、平成16年度の完成工事高実績の予想平均点を算出し、制度設計で設定されている平均点の700点と比較した上で、補正係数を割り出し、その係数を]1評点テーブルの指標に掛けて、数値を嵩上げすることで完成工事高の減少分を補正しました。
それでは具体的な完成工事高をもとに、どの程度]1評点および総合評定値Pが変動したか検証してみたいと思います。
例えば、年間完成工事高50億円の会社を例にとってみますと、旧]1テーブルでは1,262点だった評点が新]1テーブルでは1,287点へ25点評点がアップすることになります。同様に10億円では970点から989点へ19点、同5億円では885点から902点へ17点、同1億円では714点から728点へ14点それぞれ評点がアップし、全ての階層において平均すると約2%前後の評点アップとなっております
経審全体の総合評定値であるPでは、]1テーブルで算出した評点にウエイトである0.35を乗じることになるので、事例にあげた完成工事高50億円の企業では、8.75点の評点アップ、同様に10億円では6.65点、5億円では5.95点、同1億円では4.9点のそれぞれ評点アップになります。
以上のとおり、制度設計時に想定した平均点の700点を大幅に下回る状況は解消され、他の審査項目との整合性もひとまず保たれたといえます。
今回は4つの改正点のうち@]1評点(工事種類別完成工事高)テーブルの修正にスポットを当てて説明しました。次回は、残り3点の改正について引き続き概要を説明したいと思います。

(つづく)