建通新聞社

建設ニュース、入札情報の建通新聞。[建設専門紙]

■「どんぶり勘定からの脱皮を」 第1回 〜建設業の体質改善と利益管理レベルに一言〜

いいね ツイート
0

日本の建設業は、戦後の復興期から平成バブルが終わった平成4年ごろまで、日本の高度経済成長を支えるインフラ整備の担い手として、「他の産業が羨むような万年成長産業」としての道を歩んできました。景気の良い時は民需、景気の悪い時にも景気対策としての公共事業に支えられてきたのです。
 そのような恵まれた経営環境の中で、産業特性もあるとはいえ、建設業は受注(営業)の仕方、利益管理(原価管理)の手法・レベルで、他産業(製造業、小売業等)よりも遅れた状況に陥りました。それほど努力しなくても利益を確保できる時代が、建設業には長く続いてきたのです。そうした弊害は、「市場競争」が当然のこととして要求されるようになった今日、建設投資(建設業界のパイ)の急激な減少も重なり、明日の経営(採算)を考えない「過当競争」的状況を引き起こす要因になっています。
 そこで一言、3回シリーズで建設業の利益管理レベル向上について提言を申し上げます。第1回の今回は、『「1割、2割」の粗利管理から⇒「1%、2%」の粗利管理へ』といった原価管理の取り組みを提案します(無論、既にその管理レベルで原価管理している企業も多く存在すると推測しますが)。
 上記のような原価管理レベル改善のためには次のことが不可欠と考えらます。
@積算能力の向上
 ・正確で迅速な数量の把握・・・・基本中の基本(外注化も考えられます)
 ・自社の今現在、将来の原価の把握・・・・・職人も含めた労働生産性数値の把握
   調達資材の現在・将来の市況動向の把握
A受注時利益、受注時リスクマネージメントの重要性の認識(割から%への意識改革)
 ・過去の「受注すれば、後は何とか…」といった発想の払拭
 ・申請用の設計図書での見積もりも含め、受注時のリスクマネージメントを企業組織として対応
B経営者層の意識改革
 ・この業界で10年以上前から経営に携わってきた経営者層には、成功体験を否定するような意識改革が必要

 上記のようなことは、すでに理解していると言われる中小建設業の経営者層の方々も多いとは思いますが、では実際に「どのようにしたら良いのか…」「経営資源も限られる中で…」と悩んでいる方々には、シリーズ3回目のコラムを参考にしてください。

(つづく)
お問合せは、藤原コンサルティング(横浜市)代表、電話045(365)1447

執筆者プロフィール

中小企業診断士中小企業診断協会 東京支部建設業経営研究会代表幹事 藤原一夫