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■「社労士からみた建設業経営」=第3回=

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2007年は、団塊世代の定年年齢にあたりますが、その一方で、昨年4月より高年齢者雇用安定法が改正し、60歳からの雇用確保措置が義務化され、今後、段階的にこの年齢は引き上げられていきます。
現在、建設業では、高齢者の経験や技能の必要性を感じている経営者は、製造業などに比べて多く、高齢者に対する雇用機会の場の提供は企業の責任であるという認識も比較的多くおりますが、その一方で、高齢者を雇い続けることでコストの増加を招き割に合わないと考えている経営者も多く、経験や技術の必要性は認識しつつも、会社経営にとっては、負担になるという矛盾を抱えています。
しかし、建設業の場合、製造業などと違い機械化を進めるには限界があり、やはり最後には、人の経験や長年の勘が重要性を持ちこういった認識は今後も変わらないでしょう。
では、どうやったらこういった高齢者の雇用を確保しつつ、企業にとっても負担を減らすことができるかですが、雇用保険の高年齢者雇用継続給付と厚生年金保険の在職老齢年金をうまく組み合わせることで、60歳を機に給与をダウンさせても雇用を継続させ、労働者側にとっても給与の減少が家計の負担にならないという対策を打つことも可能となっています。
但し、これらの支給要件にはそれぞれ厳密に決まっており、また複雑な計算をしなければいけないので出来るだけ専門家によるアドバイスを受けることをお勧めいたします。
 今後の高齢化社会の中で、高齢者を活用し戦力化しつつ、企業としてのノウハウを若手社員に伝承をしていく企業が、厳しい競争の中で打ち勝つことが出来るのではないでしょうか? ぜひ、これを機会に高齢者対策を考えてみてはいかがでしょうか?

執筆者プロフィール

冨田社会保険労務士事務所 冨田 正幸