建通新聞社

建設ニュース、入札情報の建通新聞。[建設専門紙]

■「どんぶり勘定からの脱皮を」 第2回 〜「年単位」の管理から「日単位」の現況管理へ〜

いいね ツイート
0

 右肩上がりのバブル期まで、建設業経営者層の多くには、とにかく受注すれば何とかなる(設計変更、追加工事等で竣工時には所定の利益を確保できることが多かった)といった経験的判断がありました。このことが、ここ数年の過当競争的な原価割れ受注の増加につながり、また業界が危機的状況に陥った原因の根っこにあると思われます。
 ところが近年では、「獲れば何とか」のセオリーが崩れ、気付いてみれば、代々築いてきた比較的優良だった企業財務の状況が、どうにもならないところまで毀損(きそん)しているといったケースも散見されるようになりました。
 そこで、従来型の「経験則」と「勘」で通年管理?し、決算期にその「勘」を確認するドンブリ的経営から、コンビニ、自動車販売などに見られるような「リアルタイムな現況管理への移行が建設業の利益確保にも必要な時代になった」と言う認識に基づき、経営者の意識改革、利益の現況管理方法の改革を中小建設業の経営者層にご提案します。

@財務会計と管理会計の違いの認識
まず、最高経営者(社長)が、利益確保には「管理会計」が重要との認識を持つこと。管理会計とは、予算管理、目標管理を意味し、まだ使っていない(これから使う)“お金”の管理が主で、使ってしまった“お金”の管理としての「会計処理」とは全く違うものであることを理解することから始まります。
A現場の管理会計(予算管理)の徹底
・現場ごとの実行予算制度(目標管理制度)のPDCAを廻す
・各現場の毎日の現況報告の確実な実施
・状況変化により経営層の現場管理者への支援(設計変更、追加工事、差し引き、その他)
B最高経営者による毎日の利益獲得、損失状況の確認
・利益目標(実行予算利益)に対し、現場別に、企業全体で、日単位で損益確認
・不測の事態発生状況では、企業の知恵を結集し、速やかな支援で現場だけの対応にし
ない
・確実な損益を把握することにより、タイムリーな経営判断(リスクマネージメント含む)の実施

以上、今回は、リアルタイムな利益管理を提案させて頂きました。多くの経営者は、「リアルタイムな利益管理は実施した方が良いに決まっているが、手数がかかる(経費かかる)し、現場が20箇所、50箇所と点在しているので…」と言われる方も多いと思われます。そうした方々は、是非、3回目の提言を参考にしてください!!!
(つづく)
お問合せは、藤原コンサルティング(横浜市)代表、電話045(365)1447

執筆者プロフィール

中小企業診断士中小企業診断協会 東京支部建設業経営研究会代表幹事 藤原一夫