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建設業の資金調達の進め方  第4回「販売力の評価」

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 前回は、建設会社が金融機関に対し、技術力のアピールとして、(@)特許等だけではなく、担当者が日々の活動の中で知りえた企業の技術力であれば評価できること(A)短期的な企業の業績改善が確認できること(B)その技術力を活かして、長期的な収益の安定・向上が確認できること―により評価されることを確認しました。
今回は、販売力について、建設会社としてどのように金融機関にアピールできるかを考えてみたいと思います。『建設業に販売力?』と思われるかも知れませんが、販売力とは、広い意味で営業力と考えてよいでしょう。また、新商品というよりも、新技術や企業連携などと考えるとご理解頂けるのではないでしょうか。
 ここで金融機関が重視している3ポイントをまとめてみましょう(販売力を営業力としています)。
1営業力については、長年の信用力の積み重ねや、強固な販売基盤を有していることが重要です。
2その上で、今まで培ってきた販売基盤(営業基盤)を活かして、新製品(新技術・企業連携)に取り組むのであれば、収益改善効果が十分検討できます。
3その検討の際には、単に当社からの説明だけでなく、様々な情報ルートからの総合判断や、今後の需要供給を見込んだ経営改善計画等により検討されます。
 この3ポイントについて、具体的に建設会社が対応すべきことは、以下3点になります。
@営業力については、まず当社の信用力や販売基盤(営業基盤)があることを十分にアピールすることが重要です。民間工事を受注している場合には、営業マンが足で回っている以外に、情報収集ノウハウ、情報活用ノウハウ、情報活用するための組織、地場での信用力を向上するための活動(例えば無料の案内会)等があるはずです。また大手ゼネコンの下請けの場合、取引状態やどういった付き合いをしているのか、トップと工事担当者に分けて、密接度を説明することが重要です。公共工事の場合には、価格勝負になっており説明が難しいかもしれません。過去の入札実績をもとに、自社の入札金額と他社の入札金額(わかれば)の差について説明できればOKです。
A強固な販売基盤(営業基盤)があれば、新分野の取り組み、新技術開発、企業連携による業績改善効果が高いのはご理解いただけるでしょう。まず、上記@についてじっくり説明した上で、『だから当社の新しい取り組みによる受注確率がこんなに高いのだ』と自信を持って説明しましょう。
B販売力や営業力などについては、金融機関の担当者は他社と比較を含めて検討したいと考えています。担当者に分かってもらうためには、自社の顧客(エンドユーザーや元請け)に会ってもらうことが一番でしょう。アピールの上手な会社は、常にこれを行っています。そのため日頃から、元請けにお願いしておくことも重要です(なかなかやりにくいと思いますが)。また、経営改善計画書や、中・長期経営計画を作成することが重要であることは言うまでもありません。
 次回は、経営者の資質についてお話しする予定です。

執筆者プロフィール

鰍ンどり合同経営 中小企業診断士・取締役 藤井一郎