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建設業の資金調達の進め方  第5回「経営者の資質とは」

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今回は、技術力と販売力に加え、金融検査マニュアル「別冊」で企業の成長性の要因として追加された「経営者の資質」について、建設会社がどのように金融機関にアピールできるかを考えてみたいと思います。
ここで金融機関が建設会社の「経営者の資質」を査定する、重要な2ポイントをまとめてみましょう。
1、代表者等の個人の信用力、後継者の存在、及び経営資質を十分に検討し、あらゆる情報(面談や地元の評判)により実態を把握する必要があります。
2、その上で、このような信用力を背景として、具体的な経営改善計画等により財務内容の改善、収益性向上の動向を把握する必要があります。
この2ポイントについて、具体的に建設会社が対応すべきことは、以下の2点になります。
@代表者個人の信用力は、「別冊」にはっきり明記されています。過去の約定返済履歴等、経営改善に対する取り組み姿勢、財務諸表等の質の向上への取り組み状況、ISO等の資格取得状況…。つまり、ここで金融機関が知りたいことは『嘘をつかない、約束を守る代表者かどうか』『やる気のある代表者かどうか』という2点に集約できます。後者については、代表者が自社の「人(人材育成)」「物(経営改善)」「金(財務諸表)」「情報(計算書表、ISO)」等の資源を最大限活用しているかを確認していると考えてもよいでしょう。次に後継者については、従来はそもそも後継者が存在するかどうかに注目していましたが、今後は後継者
の存在は必要条件で、その後継者の資質を厳しくチェックしようとしています。後継者がいない、もしくは後継者について真剣に考えたことがない経営者に対しては、今後どのような方策をとっていくか、金融機関から強く説明を求められるかもしれません。また、このような情報源を代表者個人だけではなく、従来以上に細かく同業他社、下請先、元請まで含めてヒアリングするようになっています。
金融機関等の支払いは約定通りしていても、仕入先、同業者から悪い情報を得ると、金融機関の目は厳しくなるでしょう。
A「信用力」に関しても、具体的な計画等による財務内容の改善、収益性向上を示す必要があります。代表者や、後継者のやる気が高く、自社の「人」「物」「金」「情報」の資源を最大限活用していると判断された場合、金融機関は当社の経営改善計画等の信憑性を高く評価するということです。
今回まで企業の成長性の要因である「技術力」「販売力」「経営者の資質」の金融機関への対応についてお話しました。次回は、会計の重要性についてお話しする予定です。

執筆者プロフィール

鰍ンどり合同経営 中小企業診断士・取締役 藤井一郎