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建設業法の基礎知識 〜行政書士業務より〜 第1回 完成工事高って?

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―当社は、建設業許可を有し、事業を展開しています。建設業決算変更届の提出時期を迎えましたので、建設業決算変更届の財務諸表の作成方法と注意点について教えてください。

 「損益計算書、中でも売上高関係の記載方法からお話ししましょう。建設業では毎年決算終了後4か月以内に決算変更届の提出が必要です。これら建設業の届出書類は、県庁の建設業課で閲覧に供されます。最初に建設業ではない業務を売上高から除外することから始めましょう。建設業に混入しがちな売上の例として、樹木剪定、プラントメンテナンス、建売住宅の販売、ビルメンテナンス、建物設計、電球交換、機械器具の定期修理、水道メーター交換、材料売上等が挙げられます」

―当社は今期、建設業売上に樹木剪定業務を含めて把握していました。どのようにしたらよろしいでしょうか。

 「樹木剪定はあくまでも維持管理業務の一つであり、建築物の完成を請け負う業務ではありません。確かに建設業の業種分類の例示として『植栽工事』という用語があり、工事として樹木の剪定業務の発注がなされるケースも見受けられます。しかしこれらの業務が売上に混入したままですと、建設業決算変更届の工事経歴書として工事でない項目を記入したままで閲覧に供されてしまいます。経営状況分析申請においては申請された完成工事高の内容の確認を行わないため、そのまま結果通知書が送られてきてしまいます。結果として分析申請のやり直しになってしまうでしょう。これは経営規模等評価申請の場面において工事経歴書の金額上位5件の契約書等の写しを提出する場面で指摘を受けることになります」

―当社には、プラントメンテナンスを行う部門があります。この部門の売上はどのように把握すればよろしいでしょうか。

 「プラントメンテナンス業務と一般に言われる業務の中には、日常保全、定期修理、設備新設が含まれていると思います。このうちの日常保全と機能追加を伴わない定期修理は、工事売上とはなりません。契約書等に外形上『〜定期修理工事』と記載されているかどうかによらず、具体的な業務内容をみて工事かどうかを判断することになります」

石田行政法務事務所 行政書士 所長 石田知行
http://www.isida-tomoyuki.com