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建設業と個人情報保護法 =第7回=「企業の情報漏洩責任について

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そこで、個人情報保護法の登場となるわけですが、これも、消費者側のアクションを待つ仕組みとなっているため、民事的な責任は問いづらくなっています。逆に言えば、企業側にとっては、個人情報保護法の施行により、国民の意識は高まっているのに、責任をとる形がよくわからなくなっています。そこで、初めのころは、金券やカードを配ることで誠意を示していました。しかし、原因究明や再発防止策を打ち出さないと社会的責任を果たしたことにならないことが、経験的に分かってきたため、現在は、漏洩の予防と漏洩したあとの対処に重点を置いてきてい
ます。
特に漏洩後は、まず、対象の方に謝罪する。二次被害の防止をするため、漏洩の事実を公表する。原因究明し、再発防止策を発表する。というのが一般的になります。原因究明のときに、何も予防策をとっていなかったとなると、民事上の責任が大きくなります。予防策はとっていたが、運用が合っていないときも同様です。
そこで、企業が個人情報漏洩の対策をとるときには、@個人情報の範囲を特定するA漏洩防止の仕組みを作るB 責任体制を明確にするC第三者の認証を取得するD仕組みを点検するE漏洩したときの迅速な対応を定めるーと言うのが一般的です。
次回は、従業者の情報漏洩責任について、ご説明いたします。

執筆者プロフィール

個人情報保護研究会 行政書士法人パピルス 行政書士 田中秀樹