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建設業法の基礎知識 〜行政書士業務より〜 第9回 行政書士の探し方その1

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――建設業許可、経営規模等評価と入札登録の手続を行政書士に依頼しようと思います。どのような判断基準で行政書士を選べばよいですか。
 「行政書士を選ぶときは、個々の行政書士の得意分野を確認することが最も大切です。例えば私の事務所の場合、運送事業許可や医療法人設立、外国人の在留資格関係の業務等は基本的に手掛けておらず、それぞれの業務を専門とする行政書士をご紹介するようにしております。逆に別の分野を専門とする行政書士の方から建設業許可関係業務をご紹介いただくこともございます。法律上行政書士は依頼に応ずる義務(行政書士法第11条)がありますので、もし専門分野外の依頼があったとしてもお受けせざるを得ません。申請者である皆様がしっかりした行政書士を選ぶ必要がございます」

――一般的に各行政書士の専門分野を確認する方法はありますか。
 「その行政書士の前年度の売上高に占める依頼したい手続報酬の割合を尋ねてみるのも1つの方法だと思いますが、一番手軽なのは依頼したい業務の行政庁における標準処理期間と現在の一般的なその業務の申請受理から許可まで要する日数を尋ねることです。これらを把握していない行政書士はその業務の取り扱い実績がないか極端に少ない可能性が高いです」

――建設業許可、経審、入札の手続ごとに行政書士の選び方についてアドバイスをください。
 「建設業許可は、都道府県ごとに窓口の運用がかなり異なります。神奈川県では代表取締役は常勤確認資料が不要なのですが東京都では他の従業員同様に必要です。神奈川県や東京都では非常勤取締役であった期間についても経営業務の管理責任者としての経験期間として認めているのですが埼玉県ではこれを認めていません。例外はありますが基本的に同一都道府県内の行政書士を探したほうがよいでしょう。そして、今後の許可制度の変更等に機敏に対応できる情報収集力のある行政書士を選ぶことをお勧めします。建設業許可には、過去の経験年数を要件として求める制度が複数ありますので、現在許可を取得できるかのみならず、将来許可の維持が可能かどうかについてしっかりとした説明ができる行政書士を選ぶとよいでしょう。情報収集力という点では、一般社団法人全国建行協(旧称・全国建設関係行政書士協議会)の会員である行政書士をお勧めします」

 「経営状況分析と経営規模等評価申請(いわゆる経審)については、まず申請書を手書きで作成している行政書士を避けることをお勧めします。これは書類の見た目の問題ではありません。経営規模等評価申請では、一部の指標において直近決算日と2年間のその平均のどちらを採用するかを選択することが可能です。また一社が複数の業種の評点を申請する場合に、各技術者をそのうちの2つまでの業種に割り振って点数に反映させなければなりません。これらについて申請者にとって最も有利な選択を行うには、コンピュータ上で書類を作成し得られるであろう点数をシミュレーションすることが不可欠です。手書きで書類を作成している場合も決してシミュレーションが不可能なわけではありませんが、敢えてそのような行政書士を選ぶ必要はないでしょう」

執筆者プロフィール

石田行政法務事務所 行政書士 所長 石田知行

石田知行
石田行政法務事務所 行政書士 所長
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