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建設業法の基礎知識 〜行政書士業務より〜 第10回 行政書士の探し方その2

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――行政書士を選ぶときに年齢や開業歴等はどの程度参考にすればよいですか。
 「確かに各行政書士の行政書士登録年月日は、日本行政書士会連合会の会員・法人検索システムhttp://www.gyosei.or.jp/search/search.cgiで検索可能です。またこのシステムでは、各会員の主な取扱業務も表示されるようになってはいますが、それほど重要視する必要はないと思います。登録年数よりもその間の業務処理件数を意識されるとよいでしょう。主な取扱業務欄は完全に自己申告ですので、完全に参考程度でもよろしいかと思います。」

――ホームページはどの程度参考にすればよいでしょうか。
 「ウェブサイトを全く開設していないような行政書士の場合、業務拡大をそもそも望んでいなかったり、新しい依頼者に対応する体制が整っていなかったり、普段は行政書士業務に従事していない可能性があります。そのため、ウェブサイトがない行政書士に新たに頼むのはあまりお勧めしませんが、かといってあまりに華美なウェブサイトを開設している事務所の場合、実際の依頼者さんの書類作成よりウェブコンテンツの作成ばかりに注力してしまっている可能性もあります。事務所の実態に見合った程々のウェブサイトがあるところが理想的かとは思いますが、ここはあまり重視しなくてよいかと思います」

――行政書士ごとに手続報酬額が違うようなのですが。
 「行政書士は平成12年4月1日に報酬額に関する行政書士法の規定が廃止されて以来、行政書士事務所ごとに報酬額を決定することができるようになりました。そのため現在は事務所ごとに報酬額は異なります。各行政書士の報酬額を確認したい場合、行政書士は自らの事務所に報酬の額を掲示する義務(行政書士法第10条の2第1項)がありますので、その行政書士の事務所に出向かれるとよいでしょう」

――最後に、今後建設業界はどうなっていくと思われるか、お教えください。
 「中央建設業審議会の動きを見ますに、建設業許可会社は将来的には全ての公的保険制度への加入が必須になると考えてよいと思います。川崎市は前回の定期入札登録から、事実上社会保険制度加入を入札登録要件としましたが、この動きは各自治体に波及するものと思います。そもそも法人の場合は従業員1名以上から社会保険雇用保険とも加入義務あり、個人事業でも雇用保険は従業員1名以上から加入義務ありとされているにもかかわらず、経審で1社1社の公的保険加入の有無を確認し、加点減点の対象にしていることがおかしな話でした」
 「また、今後は施工管理技士等の資格保有者の確保に苦労するようになるかもしれません。平成15年頃までは講習受講により施工管理技士資格を取得する手段がありましたが、今は試験に合格しなくてはなりません。その試験の出願自体の要件も運用の厳格化が図られているようですし、かといって実務経験により技術者になろうにも過去の経験の証明のための必要書類が増加しています。今後は社内に資格保有者をどれだけ育成・確保できるかが勝負の分かれ目になるような気がします」

執筆者プロフィール

石田行政法務事務所 行政書士 所長 石田知行

石田知行
石田行政法務事務所 行政書士 所長
ホームページアドレス http://www.ishida-tomoyuki.com