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■「品確法」の正しい理解と企業戦略 〜「品確法」は総合評価方式のためのものではない〜@

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平成17年度に施行された「公共工事の品質確保の促進に関する法律」。いわゆる「品確法」が今年度は本格的に導入されます。国土交通省が先陣を切りながら、地方自治体にまで浸透し始めることでしょう。すでに県レベルの発注者からは、入札形態を「総合評価方式」で行うという発表がホームページなどにも公表され始めています。
しかしながら、それを受けて受注者側の建設業者が何をすべきかは、一切ありません。自分たちで解釈し、勝手に取り組めと言わんばかりです。
実際のところ、発注者は自分たちの「品確法」対応に精一杯で、手が回らないのが実情のようです。施工中の「技術検査」を行うにも技術者がいない。技術者がいても監督業務・検査業務に対する要領も無い。段階検査や、出来形検査は行ってきたが、施工中の安全・品質・工程管理・施工体制のチェックなどは今までほとんど行っていない。そうした体制をどうしていくのか、監督員教育に手一杯な状況にあります。
実際には、各都県レベルで試行が行われ、かなりの件数の実績が上がってきました。しかし、発注者によってはお粗末極まりなく、これで本当に「品確法」対応の入札形態なのかと疑いたくなるものが見られます。確かに、受注者側が正規の(国土交通省が推進する)形態にいきなり切り替えても、対応しきれないことは理解できます。とはいえ、「総合評価方式」といいながら、 指名競争入札であったり、最低制限価格が設定され、そこに多くの企業が張り付き、同点で相変わらず、くじ引きを行っていたりします。発注者が「品確法」、「総合評価方式」の意味や、理念をほんとうに理解し執行していれば、あり得ないことが行われているのです。
現状では、あまりにも制度にばかり目が向いているのではないでしょうか。それとも、官民の協議により、このような形態での試行となったのでしょうか?
 では受注者側は、「総合評価方式」の入札形態をどのようにとらえ、どのように対処したらいいのでしょうか。一時逃れの方式に走っている自治体も、このままの方式が良いとは思っていないはずです。将来の有るべき姿を、まず経営者が理解するとともに、各々の会社がどうしていかなければいけないかを認識し、早急に準備することを期待します。
 
 建通新聞社では、8月4日に東京・中央区の浜離宮建設プラザで「中小・中堅建設業のための『総合評価方式』対策セミナー」を開きます。本コラムの執筆を担当した吉田信雄氏らが講師を務め、建設業経営者などが総合評価方式にどう対応すべきかを解説します。多くの皆様のご参加をお待ちしております。
詳細は、http://homepage3.nifty.com/kentsu-weekly/seminer2.pdf


執筆者プロフィール

有限責任中間法人建設情報化協議会理事 建設マネージメントフォーラム幹事 吉田信雄