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建設業社会保険未加入問題 個別相談会の現場から 第2回 年金事務所による加入指導、さらなる徹底へ

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 年金事務所から社会保険加入を促す文書や訪問があった、または他社のそのようなケースを聴いたというきっかけで、建設企業からご相談を頂くことがあります。

 年金事務所は加入指導を行う企業を把握する為、様々な方法で情報収集を行っています。例えば、整備局は平成24年11月以降、建設業許可の取得・更新を行う企業が未加入の場合、その事実を年金事務所に通報する制度を開始していますので、年金事務所はこのデータを活用しています。

 また、雇用保険加入事業所データの活用もあります。雇用保険を管轄しているハローワークは先ほどの整備局とは異なり、年金事務所とは同じ厚生労働省管轄ですから、データの共有ということになります。

 その一方で、年金事務所からの加入督促はまだ受けたことがないという未加入企業も数多くあり、特に小規模・零細企業ではその比率が高い傾向にあります。その理由としては、小規模・零細企業ほど、建設業許可業者である比率も、また雇用保険加入の比率も低い(そもそも従業員がゼロで雇用保険の加入義務がない場合もある)ため、年金事務所のデータに上がる入り口そのものが少ないということが挙げられます。

 しかし、その状況を変える取組みが既に動き始めています。それは未加入企業のさらなる把握の為、年金事務所が国税庁から「源泉徴収義務者」データの提供を受け、それを活用して加入促進を行うというものです。

 このデータは先ほど挙げた整備局や雇用保険のデータとは異なり、社会保険への加入義務がある企業であれば必ず存在するデータですから、今後は未加入を把握されない企業は存在しなくなります。よって全ての未加入企業は時期に多少のズレこそあれ、必ず加入指導の対象となってくるのです。

 よって未加入企業おいては、今後は明日にでも加入指導があってもおかしくはない、という認識を持つべきです。また自社の加入は完了している元請や一次下請業者等においても今回の厳格化は無関係ではなく、未加入である下請企業向けの指導に、より一層の迅速さと適切さが求められてくると考えるべきでしょう。

執筆者プロフィール

社会保険労務士法人エール  社会保険労務士 加藤大輔

加藤大輔
社会保険労務士法人エール  社会保険労務士
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社会保険労務士法人エール http://www.sr-yell.com/