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■中小建設業者の会社法=第2回

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会社法の施行に伴い従来の有限会社は、特例有限会社と呼ばれることになりました。もちろん、この特例有限会社は、比較的容易に株式会社に商号変更(組織変更)できるようになっています。では、すべての特例有限会社は、株式会社に商号変更すべきなのでしょうか。
 従来、株式会社には、1000万円という最低資本金制度がありましたが、今回の会社法により、最低資本金制度が撤廃され、また、取締役の最低人数の制限や監査役の設置義務もなくなったことにより、現在、300万円の資本金で、取締役1名の有限会社でも、そのまま株式会社に商号変更することができます。株式会社のメリットとしては、株式会社という名称を使用できる点、株式の譲渡制限に関する定款の定めをすることなく、公開会社となることにより、社債の発行等により資金調達がしやすくなる点、他社との合併、会社分割等により事業の再編や継承をすることができる点等があげられます。
 これに対してデメリット(といえるかどうか解りませんが、)としては、取締役の任期(公開会社でない場合は、最高10年)を設定しなくてはならない点、休眠会社の見なし解散の規定が適用され職権で解散させられる可能性がある点、計算書類の公告(インターネットのHPに掲載することでも可)をしなければいけない点、決算に際して附属明細書を作成しなければならない点等があります。また、株式会社への移行に伴う諸官庁や銀行等への変更手続きの事務負担も忘れてはなりません。
 それでは、建設業界においてはどちらが有利でしょうか。建設業許可申請及び公共工事の受注を希望する場合に申請する入札参加資格審査やそれに付随する経営事項審査については、特例有限会社だからということで、株式会社と差別されることはありませんが、民間工事の受注という点ではどうでしょうか。一般の消費者から見た場合、有限会社というのは、小規模な同族的なある意味閉鎖的なイメージを与え安く、また、株式会社の方が経営面においても信頼性が高いイメージを与えるかも知れません。しかしながら、実質面では、小会社おいては、株式会社に課せられている義務づけを実行する上で、色んな意味で負担を招く可能性が高く、現状の特例有限会社でも運営上は充分といえます。したがって、株式会社への移行については、先のメリット・デメリットを充分に理解の上で選択した方が良いといえるでしょう。

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