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空き家再生への道 第3回 「空き家発生の構造的な原因」

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空き家とは、人の居住していない建物ですが、それでは人の住んでいる建物も含めて、そもそも日本には、どの程度の住宅の数があるのでしょうか。総務省の住宅統計調査では、現在、住宅ストックとして、全国に約6,063万戸の住宅があります。日本における全世帯数が、おおよそ5,243万所帯ですので、空き家の数は820万戸となります。

ただ、人が住んでいない空き家といっても、別荘などの二次的住宅といわれるもの、賃貸用の建物で、空き家、空き室となっており、借り手の現れるのを待っているもの、同様にいまだ買い手がついていない建売住宅等の建物があります。

これらを除いた「その他空き家」といわれるものが、最近問題となっている空き家です。
この「その他空き家」が、全国で約318万戸あり、この中には、適切な管理がなされないため、近所迷惑となっているものも少なくないという状況です。

なぜ、このような空き家が増えてきたかというと、その原因としては、都市化現象といわれる人口の都市集中、これによる地方部の過疎化の問題、さらには人口減少等があげられます。
構造的な面から空き家発生のメカニズムを見てみると、戦後から長年にわたり、持ち家施策が採られ、新規住宅が建設され続けてきたからであり、現在も新築優遇施策が続けられていて、絶え間なく新規供給がなされているからです。

日本では、海外のように中古住宅の流通市場が整備されていないため、中古建物の取引が行われてこなかった。最近は、エコな生活を重視したり、資源の無駄を無くそうと中古住宅の流通を図ろうという施策も行われておりますが、いまだ世間にじゅうぶんに浸透したとはいえない状況です。

別表に、住宅ストックの収支を示した表がありますが、この新築と撤去の収支差が毎年の空き家の増加となっており、今後、ますます増えて行くものと思われます。

執筆者プロフィール

一般社団法人全国空き家相談士協会 事務局長 宮村 勝男

宮村 勝男
一般社団法人全国空き家相談士協会 事務局長
一般社団法人全国空き家相談士協会  http://www.akiyasoudan.jp