空き家再生への道 第4回 「相続は空き家の入口」
いいね | ツイート |
0 |
前回に、空き家発生のマクロ的な原因について述べましたが、それでは、おのおのの空き家所有者が空き家を所有するに至った原因は何でしょうか、この空き家を所有するに至った経緯を調べた国土交通省の調査結果があります。
それによると空き家の56.4%が相続により取得したとしています。すなわち、空き家発生の入り口は、相続にあるといっても過言ではありません。
現在、少子化が進み、子供を産む数は1人か2人がほとんどです。このような状況で、もし一人っ子同士が結婚し、親の財産を引き継いだ場合には、自分の家の他に2軒の家を所有することになります。
ただ、2軒あろうと、1人の人間が相続した場合には、まだ問題が少ないと考えるべきです。なぜかというと、両親と自分たち幼い頃の思い出の詰まった家とはいえ、自分が利用できない以上、いずれは売却することを決断せざるを得ない時期がくるからです。
問題は、兄弟、姉妹の多人数で相続したときです。うまく遺産分割の話し合いがついて、その実家を相続人のだれか1人が相続すれば良いのですが、その家を共同所有にした場合は最悪となります。
1人の判断では、壊れた箇所を修理することも、適切に管理することもままなりません。ましてや賃貸することや、売却処分することもできません。これらの行為については、関係する全員の同意が必要となるからです。兄弟といえども離れていれば、話し合いを持つことすら大変です。そして、そのまま放置し、世代が代わることにでもなれば、相続人の所在すら分からなくなり、手がつけられなくなり、近所が迷惑する、周囲に危険を及ぼす「特定空家等」となってしまいます。
執筆者プロフィール
宮村 勝男
一般社団法人全国空き家相談士協会 事務局長
一般社団法人全国空き家相談士協会
http://www.akiyasoudan.jp