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知財ってなんだ? 第10回
どうする、外国での知的財産保護…国際出願と優先権活用がおすすめ

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 昨今、大企業のみならず、中小・ベンチャー企業の中にも海外進出をビジネスチャンスと捉える企業が増えています。そうした企業が、外国でも知的財産の保護を受けようとする場合は、それぞれの国で権利を取得しなければなりません。

 複数の国で特許による保護を受けるためには、国ごとに出願する必要がありますが、外国への出願を一本化することができる条約があります。特許の場合、特許協力条約(PCT)による国際出願をすることにより、条約加盟国のすべてに出願したものとみなされます。しかもこの国際出願は、日本国特許庁を受理官庁として日本語で出願することができるので、出願時の手間と費用を最小限にすることができます。このような条約による国際出願制度を利用すれば、権利を取得したい国が決まっていない場合でも出願日を確保することができますので、初期費用を抑えられるというメリットが生まれます。商標と意匠についても同様の条約と国際出願制度があります。

 特許などの出願は、いわゆる先願主義により、先に出願した者に優先的に権利が付与されます。これは外国出願の場合も同様です。しかし、国内出願と外国出願を同時にするのでは、出願時の費用や手続の負担が大きくなります。そこで、このような不利益を生じないようにする手段として、最初の国に出願してから1年以内に他の国に出願すれば、他の国の出願が、最初の国の出願日にしたものとして取り扱われる条約があります。これをパリ条約による優先権主張といいます。特許および実用新案の優先期間は1年間、意匠と商標は6カ月間です。

 つまり、国内出願をする際に外国出願をするかどうか未定の場合でも、取りあえず国内出願をしておき、1年以内に国内出願に基づく優先権を主張して国際出願(PCT出願)をすることで、国内出願の日にPCTのすべての加盟国に出願したものとみなされる、ということです。特許を取得したい国(指定国)が決まったら、30カ月以内に指定国に出願を移行する手続きをとればよいのです。このように、国際出願制度と優先権制度を活用すれば、時間的、経済的に効率のよい海外特許戦略が可能となります。

 また、著作権にもベルヌ条約、万国著作権条約といった国際条約があり、ある条約加盟国で創作された著作物は、他のすべての条約加盟国でも保護されます。

執筆者プロフィール

特許業務法人アテンダ国際特許事務所 代表 角田 成夫

角田 成夫
特許業務法人アテンダ国際特許事務所 代表
東京電機大学機械工学科卒。旧防衛施設庁建設部で自衛隊や在日米軍の機械設備設計、積算、現場監督などに携わった。その後、都内の特許事務所で知的財産関連業務に従事し、弁理士登録。2014年にアテンダ国際特許事務所を開設。