建通新聞社

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測る、描く、守る。
第13回 生産活動の最上流にある

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 もし、皆さんが新しい家に引っ越すとしたら、まず何をするでしょうか?カーペットやカーテンを買いに行く、あるいは家具を選びに行くという人が多いのではないでしょうか?

 中には、いきなりお店に行ってしまって「どのサイズを買えば良いのか」分からずに困った、という経験をした人もいるのではないでしょうか。まずは部屋の広さや窓の大きさなどを測り、カーペットやカーテンのサイズなどを調べておかないと、たとえお気に入りの品物を買えたとしても、使えない、などということにもなりかねませんね。服や靴を買う場合でも同じことが言えます。普段あまり意識することはないかもしれませんが、私たちはさまざまな場面で「測る」という行為を行っています。

 これは私たちの日常生活だけのことではありません。さまざまな国土管理の場面にも同じことが言えます。国土を治めるには、まず国土の位置、姿、形を知る必要があります。土木工事などもまず施工する土地を計測することから始まります。不動産登記には不動産の所在地、規模などの情報が必要になります。この他、建設事業でも都市計画から防災・環境などのモニタリングに至るまで、さまざまな「国土を測る」活動が行われています。「国土を測る」活動は、全ての生産活動の最上流にあると言っても良いでしょう。そして、この最上流をいかに正確・精密に決めるかということが、私たちの生活や経済活動の安定度、信頼度を左右しているのです。

 また、「国土を測る」活動は、最上流だけでなく、その後のプロセスにおいても重要な役割を果たしています。建設現場では、施工後の検査の際にもう一度測って問題がないか確認するという工程があります。地図にしても、一度作っておしまいではなく、定期的に情報を更新していく必要があります。また、インフラの維持管理では、日常の点検や異常検知時の対応などに計測技術が応用されています。このように「国土を測る」活動は、いろいろな場面で私たちの暮らしを支えているのです。

 次回以降、こうした「国土を測る」活動についていくつかの事例をご紹介していきます。さまざまな「国土を測る」活動が、私たちの生活をどう支え、私たちの生産活動にどのように役だっているのか、ぜひ感じて頂ければと思います。(国土地理院)

執筆者プロフィール

建設産業にとっての地理空間情報は、もはや、測量分野やICT土工などに関わる人たちだけのものではない。このコラムでは国土地理院からの寄稿を連載。深化した測量の姿と進化し続ける地理空間情報の“いま”と“これから”をお伝えする。