建通新聞社

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測る、描く、守る。
第14回 インフラ整備後も不可欠

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 私たちは、これまで整備され、日々管理されている社会インフラに支えられ、豊かで安心な暮らしを営んでいます。そのインフラ整備の際には、計画や設計の段階から施工・検査など、いろいろな場面で測量が行われます。測量で得られる結果は、インフラ整備そのものに利用されるとともに、整備後にも重要な役割を果たします。

 例えば、現場に設置される基準点は、インフラ整備の際の各種測量で位置の基準として繰り返し利用されますが、整備後も維持管理やその周辺の開発などにも利用され続けます。測量で作成する地図や図面は、インフラ整備の終了後も維持管理に欠かすことのできない情報になります。

 特に国や地方公共団体などが主体となって行われる「公共測量」と呼ばれる測量は、その実施に市民の税金が使われています。可能な限り測量データを再利用することが経済的であるとともに、情報共有にもなります。

 では、ムダを減らし、効率的に公共測量を行うために何をすればよいのでしょうか。

 まず、同じ地域で同じ目的の公共測量が重複して行われることを回避するための調整を行うとともに、既存の公共測量の結果の再利用を進めることが必要になります。また、そのためには、公共測量の結果が、定められた精度を確保していることが極めて重要です。

 国土地理院では、全国で行われている公共測量の状況を一元的に管理し、情報提供を行うなど、公共測量をムダなく円滑に実施するための取り組みを進めています。

 例えば、公共測量を実施している近くで同様の公共測量が行われている場合は、その測量結果を利用するよう実施者にアドバイスしていますし、公共測量の結果について、一定の精度が得られているかどうか審査も行っています。

 私たちの日々の暮らしの周りでは今日も多くの公共測量が行われ、インフラの整備と管理に役立てられています。もし街中で測量をしているのを見かけたら「日々の暮らしや経済活動を支える大切な仕事をしている、それが測量だ」ということを思い出してみてください。(国土地理院)

執筆者プロフィール

建設産業にとっての地理空間情報は、もはや、測量分野やICT土工などに関わる人たちだけのものではない。このコラムでは国土地理院からの寄稿を連載。深化した測量の姿と進化し続ける地理空間情報の“いま”と“これから”をお伝えする。