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測る、描く、守る。
第15回 建設業の足跡が地図になる

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 皆さんにとって、国土地理院が発行している地図のイメージとはどのようなものでしょうか。登山に利用される2万5千分1地形図、学生時代に目にした地図帳、行政手続きに添付する5万分1地形図など、シンプルな色使いの印刷された地図を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。「正確ではあるけれど情報が古い」という声も届きました。確かに、以前は印刷工程などの制約があったために、地図の表示内容を頻繁に更新することができませんでした。しかし、デジタル化に伴って地図を適宜更新し、インターネットなどから公開・提供することができるようになっています。

 国土地理院が整備・提供するこのデジタル化された「電子国土基本図」は、わが国の領土を適切に表示するとともに、日々変貌する国土の現況を表す最も基本的な情報です。また、ほかの地図などの基になる地理空間情報でもあります。国土地理院では、この電子国土基本図を更新するため、次の二つの取り組みを行っています。

 一つ目は個々の道路情報などの速やかな更新です。

 地方公共団体や施設整備管理者と連携し、あらかじめ提供しておいてもらった工事平面図などの情報を基に地図の更新を行っています。高速道路や国道の新設など特に重要なインフラについては、供用開始日に合わせて地図を公開・提供するようにしています。

 二つ目は一定の広がりを持った地域をまとめて更新する取り組みです。区画整理内の道路や建物などのように規模が小さな施設の場合、平面図などを個別に入手し、地図の内容を更新するというやり方は効率的ではありません。そこで、地方公共団体が整備した都市計画基図や国土地理院が撮影した空中写真を基に地図の変化部分を面的に更新するようにしています。

 国土地理院では、これらの手法を効果的に組み合わせることによって、迅速かつ効率的に地図を更新しています。

 このように、建設業に携わるみなさんの仕事の成果は、電子国土基本図に速やかに反映され、公開されています。また、電子国土基本図を基にして民間の地図などにも順次反映されていきますので、整備したインフラは広く国民に認知されることになります。もちろん、災害の発生時には人や物資の円滑な輸送などに活用されますし、何よりも新しく整備された道路・鉄道・建築物などが地図に迅速に描かれることによって、日常の暮らしや社会経済活動を支えている建設業の皆さんの足跡が、地図に記されることになります。

 国土地理院では、国土の現況を速やかに地図に残し、その正確さはもちろん、提供する情報もまた最新だと言われるよう電子国土基本図の迅速な更新に取り組んでいきます。(国土地理院)

執筆者プロフィール

建設産業にとっての地理空間情報は、もはや、測量分野やICT土工などに関わる人たちだけのものではない。このコラムでは国土地理院からの寄稿を連載。深化した測量の姿と進化し続ける地理空間情報の“いま”と“これから”をお伝えする。