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測る、描く、守る。
第19回 i-Conを支える

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 国土交通省では、建設分野の生産性向上を目指してi-Construction(アイ・コンストラクション)の導入を推進しています。土木施工現場で利用する情報の電子化、3次元化を行い、さまざま工程でシームレスに活用することで、生産性の向上を目指しています。

 これまでの標準的な土木施工では、測量、設計、施工、検査、維持管理という建設生産システムの中で作業が行われますが、実際には、概略設計を行う前の現状把握、詳細設計のための情報収集、施工開始前の現況確認、施工状況の把握や最終的な出来形の管理、施工後の維持管理など、多くの工程で測量作業が行われています。このような個々の工程で行われている測量作業で得られる情報は、図面などの紙媒体で作成され、それぞれの場面でのみ利用されることが多く、情報の共有化が十分進んでいるとはいえませんでした。それが各工程の効率化や、自動化の妨げともなっていたのです。

 こうした状況が変わり、土木施工の多くの場面で測量の成果を共通して利用することができるようになれば、どのような変化が期待できるでしょうか。これまでより効率的な作業が可能となることは間違いなさそうです。それを確実なものとするためには、測量で得られる情報の電子化と3次元化を進め、各工程をシームレス化できるような仕組みを考えることが必要です。現在、国交省では、国土地理院を含む関係部署が連携しながらルールを策定するなど、環境整備を行っています。

 また、レーザ計測技術やドローンなど最新の技術を測量に導入することで、効率的に3次元データを作る取り組みも重要ですので、国土地理院では技術マニュアルの作成などを進め、普及に努めています。

 効率的に測量を行い、3次元データを整備し、これを皆で共有して利用していくことは、i-Constructionが目指す生産性向上に大きく貢献するものだと考えます。国交省が目指している「新3K」<給与(水準の向上)・休暇(の取得)・希望(の持てる産業への転換)>が実現できるよう、測量で得られた情報の電子化、3次元化やルール策定など、生産性向上に向けた取り組みを引き続き進めてまいります。(国土地理院)

執筆者プロフィール

建設産業にとっての地理空間情報は、もはや、測量分野やICT土工などに関わる人たちだけのものではない。このコラムでは国土地理院からの寄稿を連載。深化した測量の姿と進化し続ける地理空間情報の“いま”と“これから”をお伝えする。