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測る、描く、守る。
第20回 3次元地図への挑戦

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 いま、3次元地図が注目されています。3次元地図は、私たちが通常目にするような平面上に書かれた(2次元)地図とは異なり、立体的に見たり扱ったりすることができる地図のことです。例えば、通常の地図でも建物や地形に影が付いていれば、ある程度立体的に把握することができますが、3次元地図の場合、コンピュータの画面で見れば、あたかも現地で歩き回っているような感覚を持つことができます。

 最近では、ICT(情報通信技術)の発展により、容易に3次元データを活用できるようになり、建設を含めてさまざまな分野で3次元データの活用が進展しつつあります。

 たとえば、i-Constructionでは施工現場で利用する情報を3次元化し、測量・設計・施工・検査・維持管理でシームレスに活用することで、生産性の向上につなげる取り組みが行われています。

 また、自動車の自動走行、無人航空機によるインフラ管理、物流などにおける生産性向上の実現に欠かせないものとして、3次元地図データの需要が高まっています。

 さらに、最近は駅構内や商店街などの屋内で、GPSなど位置を知るための衛星の電波が受信できなくても、スマートフォンを使って自分の位置を知り、ナビゲーションを行う(携帯ナビ)技術が確立されてきました。これに屋内空間の3次元地図を用いることで、たとえば高齢者や障害者に対する移動支援(アクセシビリティの向上)が実現し、災害時の屋内における避難誘導支援などへと技術を応用、進化させていくことが期待されています。

 このように、建設分野を始め、さまざまな分野で3次元地図の需要が高まってきており、特定の目的で整備した3次元地図を他の分野でも活用できるようにするための環境が整いつつあります。

 このため、国土地理院では、さまざまな分野で3次元地図の活用を加速するための仕組みの検討、屋内3次元地図の作成コストをできるだけ少なくなるための手法の開発など、「はかる・えがく・まもる」取り組みを進めています。(国土地理院)

執筆者プロフィール

建設産業にとっての地理空間情報は、もはや、測量分野やICT土工などに関わる人たちだけのものではない。このコラムでは国土地理院からの寄稿を連載。深化した測量の姿と進化し続ける地理空間情報の“いま”と“これから”をお伝えする。