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次代のコンストラクションカンパニー
第1回 「社会課題解決」時代
「建設を極め、建設らしくないを追求する」ビジネスモデル革新

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 少子高齢化に歯止めがかからない。空き家問題、高齢者が原因となる事故の増加など、「暮らし」で様々な歪が生まれています。一方、社会を支えるインフラも老朽化が著しく、社会の仕組みを抜本的に見直す「社会課題解決時代」が到来しています。この課題解決の主役、それが「建設業」だと筆者は考えています。

 しかし、多くの建設事業者が、従来型の「ハコモノ」・「公共」中心の受注型経営から変化できていません。地域差こそあれ、復興・東京オリンピック需要と向き合う必要があるからです。しかし、「特需」は必ず終息し、その後に「反動減」がやってきます。
それゆえ、「次の一手」が必要である、その鍵は「建設を極め、建設らしくないを追求する」にあります。

1.建設を極める

中堅建設業A社。「何でも出来るは、何も出来ない」との方針の下、「食品工場建設」で選ばれる道を選択。専門チームづくり、食品業専門展示会への出展や媒体活用などのブランディング活動投資などを敢行。設計施工型で特命を得る「究める道」を確立。結果、堅調な受注と粗利益率の改善により、好業績を堅持しています。
「極める」とは「分野や工法」など自社の強みを特定し、設計・施工一体のビジネスモデルを確立することです。一方、A社の総受注高の5割は通常の建設事業。受注産業ゆえ、全体のバランスの中で「極める」ことも大切です。

2.建設らしくないを追求する

「らしくないの追求」とは、受注型モデルから脱却し、事業のサービス化を行うことです。「あらゆる事業はサービス化する」。建設業とて例外ではありません。
B社は、地方に本社を構える中堅建設会社。一度危機を乗り越えた同社は、施設建設だけでなく、その後の運営事業にまで進出。「自転車や徒歩で暮らせる街づくり」の一翼を担うとして、事業のサービス化を加速させ、増収・増益基調です。「地元と共に生きる」という選択が同社のビジネスモデルを明確にしています。
「建設を極め、建設らしくないを追求する」ビジネスモデル革新こそが、ポスト2020の道であると提言したいと思います。

執筆者プロフィール

タナベ経営 常務取締役 中村敏之

中村敏之
タナベ経営 常務取締役
「次代の経営者育成なくして企業なし」をコンサルティングの信条とし、100年発展モデルへチャレンジする企業の戦略パートナー。 豊富な現場経験に基づく「ビジョンマネジメント型コンサルティング(VM経営)」は具体的で、クライアント企業から分かりやすいと大きな信頼を得ている。関西学院大学卒。