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第21回 GSI−LBで人材育成

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 ドローン(無人航空機、UAV)が世の中に急速に普及し、測量分野でもその活用が進められています。国土交通省が推進するi-Construction(アイ・コンストラクション)でもドローンを測量などに活用することで、生産性を向上させる取り組みが行われています。比較的狭い範囲の測量であることなど、条件がそろえばドローンを利用して効率的、経済的に測量を行うことができるようになります。今後、ドローンを利用した測量はさらに広がっていくことでしょう。

 国土地理院は、わが国で行われている測量について、精度確保などの観点から技術的な助言などを行っています。ドローンを用いた測量(UAV測量)についても、国土地理院の職員自身がドローンに対する十分な知識や経験を有していなければなりません。

 こうした環境変化に対応するため、国土地理院は昨年2016年3月に「国土地理院ランドバード」(GSI−LB)という体制を整備しました。国土地理院の職員約150人を対象にドローンの操縦技術や測量での利用方法などの研修・訓練を行い、ドローンを用いた測量などでも活躍できる人材の育成を進めています。国土地理院には各地方に出先機関(地方測量部など)がありますが、そうした部署でも実際にドローンの操縦を行い、測量を行う人たちに適切な助言ができるよう、人材育成の取り組みを続けています。

 GSI−LBの取り組みなどによって技術や知識を身に付けた職員は、災害対応の場面でも活躍しています。例えば、昨年発生した熊本地震や東北地方における豪雨災害などの際にも、災害直後にGSI−LBのメンバーが現地に急行して被災状況をドローンで撮影し、災害対応を行う関係部署や国民に情報を提供しました。今後も迅速かつ的確な対応ができるよう、体制を充実させていきます。

 ドローンの活用が急速に進んでいます。ドローンの操縦などを正しく行うことができる技術者を確保・育成することが大きな課題となってきています。ドローンを利用した測量は、従来の測量の可能性を大きく広げるものですし、測量技術者の活躍の場を広げる大きなチャンスといえます。

 国土地理院は、今後も関係機関や学識者、実務者の人たちと連携し、GSI−LBの取り組みなどを通じて、i-Constructionをはじめ、新たな分野で活躍する技術者の育成を進めていきます。(国土地理院)

執筆者プロフィール

建設産業にとっての地理空間情報は、もはや、測量分野やICT土工などに関わる人たちだけのものではない。このコラムでは国土地理院からの寄稿を連載。深化した測量の姿と進化し続ける地理空間情報の“いま”と“これから”をお伝えする。