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次代のコンストラクションカンパニー
第4回 中堅・中小建設業における成功モデル

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 株式会社タナベ経営が主催する「建設ソリューション成長戦略研究会」を通じて、全国の優良中堅・中小建設業のビジネスモデルに触れるにつれ、成熟市場である建設市場でも、利益を出し、成長する余地はまだまだあるのだということを改めて知らされる。

1.技術力を高め、受注力アップを図る
 土木工事を主体とするA社は、有資格者・技能者を育てる社内育成システムを充実させることで、行政に対して「技術力に優れた会社」という認知度を高めることに注力。請け負った元請工事の評価点は地場同業者と比べて高く、圧倒的な受注力を実現している。
 また、環境関連技術に精通したB社は、ある分野の技術で大臣表彰を受けるほどであり、技術提案力の高さが評価され受注力がアップ。わずか4年の間に県営土木工事の受注額を倍増させることに成功した。

2.提案力を磨く
 建築工事を主体とするC社は、大型の民間建築工事の提案を行う際、社長自身が審査員となる社内プレゼンテーションを、実際の依頼主へのプレゼン日の3日前に実施している。プレゼン内容は、専門的見地に立ったものであるのは当然として、依頼主の立場に立って、動画等を使い、分かりやすさ、受け入れられやすさも重視している。そこで社長の目に適わない案件については、依頼主にプレゼン日の延期を申し出るほどの徹底ぶり。その努力の甲斐あって、同社の受注成約率と粗利率は、同業の経営者が聞いて驚く水準にある。

3.越境戦略による受注拡大
 地場では屈指の売上規模を誇るD社は、将来的に県内の建設市場が大きく縮小することをにらみ、いち早く東京市場に進出。東京の建設市場に明るく幅広い人脈をもつ営業人材を採用し、東京での営業展開に注力。現在では売上の25%以上を東京市場で稼ぐようになり、地場にいる直営施工部隊の異動も検討されている。
 典型的な受注産業である建設業にとって、受注力の強化は生命線と言える。しかし、その受注力を高める努力、方法については、各社とも改善を図る余地が多分にあるのではないか。

執筆者プロフィール

タナベ経営 コンサルティング戦略本部 東北支社部長 山内一成

山内一成
タナベ経営 コンサルティング戦略本部 東北支社部長