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■中小建設業者の会社法=第3回 〜資本金1円株式会社は特か損か〜

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 会社法の施行に伴い株式会社の最低資本金制度が廃止されました。これにより、株式会社は、資本金1円でも設立可能になり、独立して開業するのが飛躍的に容易になりました。従来の確認会社については、5年以内に資本金の増資をして1,000万円にすることが義務づけられていましたが、最低資本金そのものが無くなったので、増資する必要はありません。
 では、建設業界においても資本金1円の会社で充分でしょうか。建設業といえば、真っ先に思い浮かぶのが建設業許可です。新しく設立した会社で建設業許可を取得する必要が出た場合(500万円未満(建築一式工事については、1,500万円未満か延べ面積が150u未満の木造住宅)の軽微な工事以外の工事受注をしたい場合)に、許可を取得するに当たって、いくつかの要件が必要になります。その要件の一つに財産的基礎というのがあります。一般建設業の許可の場合は、500万円以上の自己資本が必要ですが、決算期が未到来の新設法人の場合は、資本金が500万円以上ないと同額の資金調達能力があるかないかが問われます。したがって、法人を設立して建設業許可の取得を予定している方は、予め500万円以上の資本金で設立をするのが望ましいといえます。ちなみに特定建設業の許可の取得を予定している場合には、資本金は、4,000万円以上が必要になります。
 また、設立して以降に公共工事の受注を予定している場合には、経営事項審査を受けた後に官公庁に入札参加資格審査申請をする必要がありますが、この経営事項審査においても自己資本は重要な審査ポイントになっており、資本金が小さければ小さいほど、自己資本も小さくなるので、経営規模の評点(X2)や経営状況分析の評点(Y)において点数を低くしてしまいます。
 したがって、資本金を低くして簡易に設立をするということは魅力ですが、建設業の場合は、許可の取得や公共工事の受注を考えた場合には、それ相応の資本金で設立した方が優位であるといえるのではないでしょうか。

建設業法実務研究会ホームページ http://www.primoss.jp/kgk/


執筆者プロフィール

建設業法実務研究会 行政書士 中西 豊