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第5回・最終回 建設業における人材戦略

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 前回のコラムの中でも記載したように、建設技能者は、「10年後に100万人前後減少する」と見られている。建設業における人材戦略は、「採用」「育成」「活躍」の3つの側面よりバランス良く組み立てる必要があると言える。

(1)現代型人材育成システムへの進化
 これまでの建設業界における人材育成上の課題をあげると2点ある。@「上司の背中を見て仕事を覚えろ」と言う現場スタイルでは人は育たなくなっている。A教える側(トレーナー)のスキルのばらつきによって、人材の成長スピード・成長度合においてバラツキが発生している。
 これらのような課題が、発生している状況では、早期の人材育成は難しく、結果的には、ビジョンの実現は不可能となる。この課題を解決するための仕組みが社内アカデミー(人材育成システム)である。
 社内アカデミーとは、ビジョン実現に向けて、必要なあるべき人材を明確にし、早期戦力化するための人材育成システムである。インプットのOJTだけでなく現場で体感するOFF-JTの仕組みをプラスすることで立体的な教育が可能となる。また、入社後の個人のキャリアアップが体系的に見えることで採用においてもプラス材料となる。

(2)女性が活躍できる体制が人材活躍を促進する
 建設業における人材活躍の重要ポイントは、女性活躍を支援する体制づくりである。国土交通省からも「もっと女性が活躍できる建設業」など発信されているが、全産業の中でも、建設業における女性比率は最も低く、現場環境改善から実施しなければならないのが実情である。

(3)戦略リーダーの育成
 事業の道なき道をつくり、現場の状況判断をした上で事業戦略を組み立てるのが戦略リーダーの存在である。ビジョン実現にかかせない役割と言える。

 今後、自社の中期ビジョンを実現するためには、人材戦略はかかせないテーマと言える。この機会に「採用」「育成」「活躍」において、バランスが崩れていないか確認いただきたい。

執筆者プロフィール

タナベ経営 コンサルティング戦略本部大阪本部副本部長 竹内建一郎

竹内建一郎
タナベ経営 コンサルティング戦略本部大阪本部副本部長