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建設不動産会社の顧客目線・顧客重視の実現
〜問題の可視化と履歴管理によるマンション建物バリューアップのコツ〜
第1回 建設不動産会社の考え方

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 突然ですが、建設不動産業界に属する、大手企業の企業理念や行動指針などをじっくりと読んだことはありますか? 昔は会社案内を取り寄せて・・・ということでしたが、今はWebサイトを使って企業がどんな考え方をしていて、それを日々の行動指針に落とし込もうとしているか、すぐに分かるようになりました。企業理念ですからそれぞれの会社のDNAとしてずっと変わらない言葉があり、これを「ビジョン」「経営目標」「行動指針」に落とし込む段階で、時代に応じてキーワードを加筆修正したり、「年次目標」を盛り込んだりして従業員教育に生かす―そんなところでしょうか。

 もちろん、歴史のある企業のことですから、とても素晴らしい文言が並んでいます。
 「街の価値の最大化」「より良い社会資産の創造」「美しい生活環境を創造」・・・。これに加え最近のキーワードとしては、「グローバル」「個の結集」「自由闊達(かったつ)」あたりがよく見られます。個人的に感じたのは、「自分たちが社会資本を作っていく」という気概と大きく物事をとらえる視点。素晴らしいです。日本の成長の一端を担ってきたという自負や今後にむけての強い決意も感じられます。

 それでは金融業や小売業など、その他の業界と比較してみましょう。決定的な性質の違いがあります。どんなことでしょうか。

 実は「顧客目線」「顧客重視」という文言を使っているケースが、とても少ないのです。何社かは「顧客第一」(大手ゼネコン)「ステークホルダーとの信頼関係維持」(大手不動産)を掲げていたのですが、あくまで3番手、4番手のキーワードになっているのです。どうやらこの辺りに、「供給者側の論理」が強いこの業界の特徴や、一般消費者との間に存在する根深く根本的な考え方の「ズレ」が生じているのではないでしょうか。

 皆さんはどう感じましたか?

 それでは「顧客目線」「顧客重視」とはどういうことでしょうか。建設不動産業界と他業界との違いはどんなところにあるのでしょうか。

 本コラムでは、建設不動産会社の「顧客目線」「顧客重視」をどのように実現することができるのか考えてみようと思います。

執筆者プロフィール

株式会社建物検査・調査・診断研究所(Biid) 代表取締役社長 安部博文

安部博文
株式会社建物検査・調査・診断研究所(Biid) 代表取締役社長
info@biid.co.jp
一級建築士、一級施工管理技士、住宅性能評価員。20年間の施工現場経験を礎として、検査業務に従事して10年以上。豊富な経験と「本質を突き詰める」鋭い視線で新築施工検査、既存建物調査に挑む。趣味は釣り。息子と猫を溺愛。1963年島根県出身。 http://www.biid.co.JP