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建設業の働き方改革
第4回 建設業の人材採用 成功のポイント

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 労働集約型産業である建設業にとって、人材確保は事業継続をも左右する重要事項だが、昨今の人手不足環境に苦しむ建設会社は多い。なぜ、人が採れないのか。なぜ、建設業に人が集まらないのか。

 東洋経済ONLINEが2018年4月に発表した「企業好感度ランキング」を見ると、上位100社に入る建設業は、積水ハウス1社のみ。スーパーゼネコンは200社以内にも入っていない。災害が起これば真っ先に現場に駆け付け労をいとわず復旧に務め、社会インフラ整備や国土強靭化に力を尽くす、社会貢献度の高い事業を営む建設業が、なぜ好感を持って受け入れられないのか。ここに、建設業の採用難の一端が表れていると思う。

 まず感じるのが、「自分達の存在を知らしめる術をもたない会社が多い」ということだ。あるいは「知らしめようとしていない」と言ってもよい。採用で言えば、ハローワークやホームページに求人票や募集要項を出して、「わが社も採用に力を入れてます」という会社が多い。年間数百万をかけて求人媒体に広告を出すのが一般的な昨今、これでは人は集まらない。せめて自社のホームページに採用専門サイトをリンクし、先輩社員の声や社風、会社のミッションを発信してほしい。とくに昨今の若者は、会社に入ってどんな仕事をしたいかというより、「この会社は自分を育ててくれるのか?」、「人間関係の良い会社か?」という視点で会社を見て選ぶ傾向にある。明るい雰囲気を打ち出すことは、必要だろう。

 もうひとつは、1件数億円というスケールの大きな仕事、街の姿をも変えうるダイナミックな仕事であるにもかかわらず、それが魅力として発信されていない。そして、その仕事に従事する技術者が「カッコイイ」仕事なのだという訴求に乏しい。建設業の魅力が、世の中に十分伝わっていないから、前述のような好感度ランキングの結果になるのではないか。

 とはいえ昨今、ブランディングに注力し、地域社会との接点を増やす努力をしている建設会社が増えてきたとも感じる。自社のプロモーション動画をホームページで紹介する会社も多くなってきた。非常に意義ある取り組みだと思う。世の中になくてはならない事業を営んでいる、そのことをしっかりと発信することが、人材採用の成功ポイントだと思う。

執筆者プロフィール

株式会社タナベ経営 東北支社部長 山内一成

山内一成
株式会社タナベ経営 東北支社部長
福島大学経済学部卒業。タナベ経営入社後、社員教育の企画・運営や研修教材の開発・制作、ホームページの作成等に従事。現在は事業戦略立案、営業部門強化、事業承継に伴う後継体制づくり、人材育成を専門としてコンサルティング活動を展開。建設業をはじめ住宅・リフォーム業、建材卸業、不動産業など建設関連企業への支援実績は豊富。