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建設業での外国人材受入れを成功させる!
第1回 建設業で従事可能な外国人材の『在留資格』は限定されている

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 外国人が日本に滞在するためには「在留資格」が必要であり、2018年8月時点で、日本には28種類の在留資格が存在します。在留資格は査証(ビザ)と混同されることが多いのですが、査証が日本入国時に「上陸許可」を取得するために必要なものであるのに対して、在留資格は日本に滞在し活動するための根拠となる資格であり、明確に異なります。

 法務省の「在留外国人統計 統計表」によれば、2017年12月末時点で2,561,848人(在留資格「短期滞在」を除く)の外国人が日本に滞在しています。このうち、身分に基づく在留資格(永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者、特別永住者)が約56%を占めており、留学が約12%、技能実習が10.7%です。

 建設業に携わる外国人数は、平成29年10月末時点で55,168人(厚生労働省「外国人雇用届出状況」による)であり、平成23年10月末から約3.3倍に増えています。このうち多くを占めるのが技能実習の在留資格を付与されている外国人技能実習生です。

 そもそも、建設業の現場作業に携わることができるのは、身分に基づく在留資格、留学、技能実習、特定活動(外国人建設就労者、就職活動等をおこなっている外国人)に限られています。就職活動等を行っている外国人や留学生は資格外活動許可を得ていれば週28時間以内(留学生は長期休暇中を除く)の就労が認められるという限定的なものです。
 
 技能実習修了を条件として受け入れられる外国人建設就労者に関しては、平成27年4月から平成30年6月末までで約4,000名(国土交通省「建設分野におけるが外国人材の受け入れ状況」による)を受入れていますが、東京オリパラ大会の関連施設整備等による一時的な建設需要の増大に対応するための事業であり、平成33年3月までの時限的な措置です。結果として建設業でも、他業種と同様に外国人技能実習生の割合が高くなってきています。

 さらに今後(最短で平成31年4月から)、新しい在留資格が設置されることが政府の「骨太の方針 2018」(経済財政運営と改革の基本方針 2018)に明記され、建設業における現場作業が可能な外国人が増加されることが予想されます。

 この連載では、これから増えゆく外国人就業者を雇用するにあたって、押さえておくべき知識や、起こりがちなトラブルとその対策等をお伝えすることで、貴社の事業継続・事業発展に少しでも寄与できることを目指したいと考えております。

執筆者プロフィール

株式会社ワールディング 代表取締役 谷口正俊

谷口正俊
株式会社ワールディング 代表取締役
1973年イタリア・ローマ生まれ。早稲田大学商学部卒業後、(株)ベネッセコーポレーション入社。同社退社後、2000年7月「教育を通じてより良い世の中へ」と、教育関連企業(株)ウィル・シードを共同創業、代表取締役副社長就任。大手企業400社の人財育成支援及び、全国の小中学校に新しいタイプの体感型教育プログラムを提供。同社副社長を退任後、2006年6月、(株)アクティブリッジの設立に参加。7年に亘るベトナム事業展開の後、2013年3月、(株)ワールディングを設立。日系企業のベトナム進出支援、ベトナム人材採用・育成事業を展開中。日本とベトナムを往復する日々を送っている。