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■「建設業の戦略営業 ―基本編―」=弟3回 戦略営業のステップ

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 前回は戦略営業の前提として、市場に打って出て行くための提案型営業は、ひとえに能動的な活動を心がけねばならないことをお話しした。今回は建設業における戦略営業のステップについて解説したいと思う。
まず、「戦略」という言葉について、読者の皆様はどのようなイメージをお持ちだろうか。経営戦略、事業戦略など日常の企業活動の中で良く使われるこの「戦略(Strategy)」という用語は、もともと軍事用語から来ている。戦争はまさしく勝つか負けるか。すなわち生き死にを意味する事から、当然戦争に勝利するための作戦を軍隊は綿密に立てる。戦略という言葉の定義は様々な解釈が存在するが、筆者の研究所ではこの言葉の定義を戦争においてもビジネスの競争社会においても共通の理念として「常に勝つための明確なる特徴づけ」と定義している。
戦略営業はこのような事から「営業(担当者または営業組織)の目標(受注、顧客拡大等)達成のための明確な仕組みにもとづく能動的な営業活動」と筆者は定義する。建設業において、この「戦略営業」をどのようなステップで目標達成に近づけていけばよいだろうか。
建設業における戦略営業のステップは基本的には次のレベル1からレベル5までの段階でステップアップしていく。各レベルの具体的な解説は次回以降に順次進めていくが、内容的には概略以下のとおりである。

<レベル1:ターゲットを明確にした活動>
顧客市場について、取引客と新規客の別にターゲットの明確化と、アプローチ頻度を決定し、計画化する活動。

<レベル2:営業の有効性を高める活動>
工事案件を発掘する活動を「有効訪問活動」と位置づけ、その有効性の高い営業活動を維持・促進するためのプロセス管理活動。

<レベル3:顧客コミュニケーションを向上させる活動>
顧客とより深い商談を行うために顧客に好かれ、役に立ち、信頼される営業担当者となるために営業スキル(技能)を高めて、顧客コミュニケーションを向上させる活動。

<レベル4:顧客ニーズを把握し、自社の優位性を促進する活動>
顧客ニーズを把握した上で、他社との競合に勝つための自社の優位性を促進し、受注につなげていく活動。

<レベル5:提案営業ができる活動>
提案ツール(プレゼン資料等)を標準化(パターン化)し、社内情報共有化を進めながら、個別案件提案力を強化していく活動。

レベル1からレベル5は、すごろくのようにレベル5まで行けば終わりという事ではなく、常に営業プロセスの中で状態を監視・測定し、何か問題が生じれば常にレベル1まで戻って確認・改善を行うことが重要である。これはまさしくプロセス管理としてのPDCA活動(計画・実行・確認・改善のマネジメントサイクル活動)が機能しなければならない。
 次回からは「戦略営業」のステップにもとづきレベル1から解説を行う。


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執筆者プロフィール

鞄本コンサルタントグループ 建設産業システム研究所 副部長コンサルタント 酒井 誠一