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業界一丸となって挑みたい

2017/10/2 

ともすれば、これまでは“他人事”であるかのように受け止められてきた「働き方改革」が、建設業にとっても“自分事”として受け止められるようになってきた。「千載一遇にしてラストチャンス」(日本建設業連合会、山内隆司会長)という認識を建設業界全体の共通のものとして、元請け、下請けに関係なく、業の未来を左右するこの超難問に挑みたい。
 もし、日本建設業史なるものがこの後に編さんされるとしたら、2017年9月の業界動向は、間違いなく紙面を割いて記録に留められることになるに違いない。
 日建連は9月22日の理事会で『働き方改革推進の基本方針』『週休二日実現行動計画試案(案)』『時間外労働の適正化に向けた自主規制の試行』『改めて労務賃金改善の推進』―のいわゆる働き方改革4点セットを一挙に決議。全国建設業協会(全建、近藤晴貞会長)もこれと歩調を合わせ、都道府県協会や会員企業が働き方改革を進める際の指針となる『働き方改革行動憲章』を21日の理事会で決議した。
 建設産業専門団体連合会(建専連)も間髪入れず、これに呼応。22日の理事会後に会見した才賀清二郎会長は「専門工事業の週休2日実現に向け、発注者に適正価格、適正工期への理解を得つつ、総合工事業団体と協働して取り組みたい」との決意を示してみせた。
 国土交通省も建設業団体のこうした積極的な姿勢を歓迎している。
 9月26日の閣議後に会見した石井啓一国土交通相は「将来の担い手を確保する働き方改革に向けた第一歩」とコメント。国交省としても、関係省庁連絡会議で決定した『建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン』の周知を徹底するなど「実効性のある具体策を講じていきたい」との考えを示した。
 建設業の「働き方改革」の当面の目標は週休2日の実現。だが、その道を切り開いていくには「適正工期の確保」と建設技能労働者の「賃金水準の向上」という、高く、ぶ厚い壁を突破しなければならない。
 全国中小建設業協会(全中建、豊田剛会長)は9月25日、国土交通省を訪れ、田村計土地・建設産業局長らに計画的な工事の発注、適正な工期設定など、建設現場の週休2日を実現できる施策を講じるよう求め、全国建設産業団体連合会(建産連、渡邉勇雄会長)は9月27日に開いた全国会長会議で、「賃金体系の抜本的見直しとなるよう積算基準を改訂するよう求める」大会決議を採択した。
 次期通常国会に提出される見通しの改正労働基準法(働き方改革関連法)が成立し、施行されてから5年後には、建設業にも罰則付きの時間外労働の上限規制が適用される。
 日建連は、不当に短い工期での受注は「工期ダンピング」だとして、断固排除する決意を示す一方、建設技能者の賃金水準についても全産業労働者平均レベルとすべく、取り組みをさらに強化する考えだ。だが、建設業のそれは業界全体が一丸となって取り組まなければ実現できるものではない。「働き方改革」を“自分事”として認識した建設業が次に起こすべき行動は「自助」、そして「協働」だ。