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建滴 TPPと建設業、見極めるべき影響

2011/10/24 東京版 掲載記事より

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環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉への参加をめぐる政府内の調整が大詰めを迎えている。政府・民主党は11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)までにTPP交渉への参加問題の決着を目指しているが、建設業界は正確な情報をあらゆる面から整理・分析した上でその影響を見極めるべきだ。
 TPPはもともと2006年5月にシンガポールやブルネイなど4カ国で発効した経済連携協定だ。現在ではこれに米国、オーストラリアなど7カ国が参加を表明し協定づくりの交渉が進められている。例外を設けず原則全品目の関税や貿易の障害になる非関税障壁を撤廃し、地域・ブロック内の経済交流を活発化させるのがこの協定の狙いだ。米国を中心とした参加表明国や加盟国の思惑は、輸出主導による日本市場への参入で経済成長を目指すことにある。
 しかし、輸出産業でなく地域固有の性格を持つ建設業にとって、TPPに加入することは産業の崩壊につながりかねないと指摘する専門家は少なくない。
 TPPの適用範囲には公共事業を含む政府支出の多くが該当する「政府調達」が含まれる。加入した場合、現行のWTO政府調達協定よりも適用基準が大幅に下がり、地方自治体発注の国際入札は工事、コンサルの分野で拡大し、特にコンサルの分野では設計委託の大半が国際入札になってしまう。海外企業の参入で入札手続きの煩雑化や長期化を引き起こすだけでなく、公共事業の遅延が起こると予測されている。
 国際入札が増大する分、これまで地域の建設業を守るために設けられた条件が「非関税障壁」の名の下に緩和か撤廃される可能性が高まる。分離・分割発注を止め、海外の建設企業が参入しやすいよう発注ロットの拡大を求められたり、地方自治体が導入しているランク別の入札方式や地域要件も廃止される可能性も否定できない。
 また、地域の建設業を振興するために総合評価方式で評価されている災害復旧支援なども海外の建設企業にとって不利となる「非関税障壁」に当たり、撤廃圧力が強まることが想定され、これまでのローカルルールは一切通じなくなる。
 さらにTPPの加入で労働市場が自由化されれば安い労働力が近隣のアジア加盟国から大量に流入し低価格競争は一層激化する。地域建設業者の受注と収益を大幅に奪うだけでなく、建設労働者の雇用と就労条件を悪化させてしまう可能性もあるのだ。
 TPP交渉に参加しなければ日本にとって不利な条件を飲まざる得なくなり、“経済成長のバス”に乗り遅れるというのが推進派の主張である。推進派と反対派の構図もいまや「経済成長」と「既得権の擁護」の対立に置かれがちだ。建設業界がより一層の合理化を図ることは必要だが、TPP加入が建設産業の明日を左右する分岐点になる可能性を注視し、対応を考えなければならない。

東部
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