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発注者は、まだやることがある

2016/7/9 

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ことしも、豪雨災害と斜面崩壊に伴う労働災害の発生が心配される季節がやってきた。わずかな量に過ぎないように思える1立方bの土砂は、約2dの重量に相当する。もし、埋もれたり、はさまれたりするようなことにでもなれば、ほぼ確実に圧死する。発注者、設計者、施工者は、地盤リスク情報の共有を徹底し、斜面崩壊による労働災害の防止に向けて、これまで以上に努力したい。
 労働安全衛生総合研究所が行った「斜面の掘削作業中の崩壊による労働災害の分析」によって、▽擁壁施工中の災害が約7割を占める▽法面の勾配が1対0・5以上の急斜面で多発している▽崩壊土量50平方b未満の小規模な崩壊によるものが6割を占める▽災害発生の3日前までに降雨があった例が6割を占める―ことなどが分かっている。
 しかし、土砂崩壊のメカニズムは複雑で、崩壊の規模や地盤の移動形態の想定は難しい。たとえば、切土の法面を対象にしたボーリングなどの事前調査は、トンネルや橋梁などの土木構造物と比べてもその数量は少なく、想定外の断層破砕帯やぜい弱な地質が出現する場合が多い、とも言われている。
 にもかかわらず、斜面・土砂崩壊によって発生した労働災害には、地盤状態を把握しないまま掘削してしまって斜面崩壊を起こしたり、掘削中の降雨や湧水が斜面崩壊を発生させ、労働災害を起こしているケースが少なくない。
 こうした状況を重くみた厚生労働省は、斜面の掘削工事を安全に行うには、地山の状況を「事前に」かつ的確に把握し、得られた情報を確実に設計・施工に反映させる必要があると判断。「斜面崩壊による労働災害の防止対策に関するガイドライン」を2015年6月に策定し、労働安全衛生規則(安衛則)第355条が規定している作業箇所の「調査」と、安衛則第358条が規定している「点検」の確実な履行を求めている。
 設計者には、ボーリングなどによる事前調査を行い、地山の地質の状況(土・岩質)、地盤条件(斜面の安定性)などの的確な把握に努めるよう促している。
 また、施工者(元方事業者)には、点検者を選任するとともに、総括安全衛生責任者またはこれに準じる者を確認者として選任し、設計・施工段階別点検表や、日常点検表、変状時点検表を用いた点検・確認とリスクアセスメントを確実に実施するよう督励している。
 一方で、ガイドラインは、地盤リスクが判明した場合には、発注、設計、施工―に関わる3者が速やかに情報を共有し、必要がある場合、発注者は適切に設計図書を変更、公共工事標準請負約款に基づき施工に必要な費用や工期を適切に確保するよう、促してもいる。
 ただ、一つ、腑に落ちないことがある。このガイドラインには「発注者が主体的に行うこと」に関する記述が見当たらないことだ。
 地盤・地質の専門家を積極的に活用するスキームづくりなど、発注者自らが地盤リスクを低減するためにできることは、まだまだある。労働災害ゼロは官民挙げてのテーマのはず。「私は言うだけ、するのはあなた」では、説得力に欠ける。

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